野村ホールディングス | アドバイザリー・ボード

野村ホールディングスでは、2001年より業務執行の意思決定機関である経営会議の諮問機関としてアドバイザリー・ボードを設置しています。

2015年からは、アジアの著名な有識者4名を第8期アドバイザリー・ボードメンバーに迎え、2017年4月までの2年間に、東京やシンガポールなどで4回の会合を開催しました。毎回、当社の経営陣とミーティングの場を設け、アジアを中心とした当社のビジネス展開や、組織運営・人材育成のあり方など、さまざまな観点で意見交換を行い、アドバイスを受けています。

また、メンバーは野村證券の営業店を訪問し、コンサルティング営業の様子を見学し説明を受けるなど、ビジネスの最前線を体感しています。メンバーからは、「野村の人材、そしてコンサルティングの質の高さに感銘を受けた。海外でも大きな競争力を有するだろう」といったコメントも寄せられています。

ディーパック・パレック氏
(インド)
HDFCグループ会長
1993年より、インドの住宅開発金融会社グループHDFCグループの会長。財界および政府の委員会において数多くの委員を務める。
ゴー・チョクトン氏
(シンガポール)
シンガポール名誉上級相
1990年より2004年までシンガポール首相を務めた後、同年より2011年まで同国上級相。2011年から同国名誉上級相および通貨庁上級顧問。
ソフィアン・ワナンディ氏
(インドネシア)
インドネシア副大統領上級顧問
インドネシア経営者協会元会長。同国のコングロマリット企業Santini Group創立者。2014年11月から同国副大統領上級顧問。
カン・トラクルフーン氏
(タイ)
サイアム・セメント・グループ取締役、アドバイザリー・コミッティ チェアマン
1913年設立のタイ大手複合企業サイアム・セメント・グループで、2006年よりCEOを務め、2016年よりアドバイザリー・コミッティ チェアマン、2014年度には、日本科学技術連盟からデミング賞普及・推進功労賞を受賞。

左から、ゴー・チョクトン氏、ディーパック・パレック氏、ソフィアン・ワナンディ氏、カン・トラクルフーン氏。

アドバイザリー・ボードメンバーインタビュー

革新性と持続性の企業価値への反映により、野村は創立100周年を迎えるまでにアジアの代表のみならず、グローバル・リーダーになれると信じています アドバイザリー・ボードメンバー カン・トラクルフーン

アドバイザリー・ボードメンバー
サイアム・セメント・グループ取締役、アドバイザリー・コミッティ チェアマン

カン・トラクルフーン

1913年設立のタイ大手複合企業サイアム・セメント・グループで、2006年よりCEOを務め、2016年よりアドバイザリー・コミッティ チェアマン、2014年度には、日本科学技術連盟からデミング賞普及・推進功労賞を受賞

サイアム・セメント・グループのCEO等としてのご経験や、ご自身の経営理念から、野村グループの経営への示唆をお願いいたします。

グローバルな競争力として、最も重要な要素は適応力と対応力であり、企業文化に定着させる必要があります。社員には高い柔軟性と、進んで変化を受け入れることが求められます。つまり、人材こそが企業のグローバルにおける競争力を左右する決定的な財産といえるのです。経営者は、社員の帰属意識を高め、持続的な能力の発揮を促すために、社員を守りその地位向上にコミットしなければなりません。

1997年のアジア通貨危機では、多くの企業が社員の解雇に踏み切りました。サイアム・セメント・グループ(SCG)も甚大な損失を受けましたが、若者への雇用機会提供が、「人口ピラミッド」問題の回避につながり、結果として社会のためになるという信念のもと、解雇は行わず、毎年200人の若者の採用を続けました。

社員の能力や生産性向上には、研修をはじめ自己啓発プログラムや、後継者育成プロセス、定期的能力評価、意識調査、CSR活動といった幅広いエンゲージメント・プログラムも大切です。リーダーとなる社員は、いかなる場面や階層においても、公平性、倫理観、持続的成長へのコミットメントといった面で手本となるよう、役割や責任を果たさなければいけません。部下の潜在能力を引き出すために、チャレンジングな課題を与えたり、コーチングを行ったりする必要もあります。私も毎年何百時間も費やして新入社員から経営陣までさまざまな階層の社員を個人的に指導しました。

社員サーベイは、若手社員の退職理由等、傾向について洞察を得るのに有効です。例えば、SCGでは退職した若手社員のうち、最大の割合を占める40%が、その理由に学業を上げていることがわかりました。そこで、海外留学した元社員のネットワークを構築し、留学中の支援等の制度を整え、卒業後の復職を奨励しています。また、若い世代はボランティア精神が高いことも明らかになったため、新入社員研修の段階から参加できる、各種のCSRプログラムを用意しました。社会や環境への貢献活動を通じ、社員は仕事や会社に誇りを持てるのです。

野村グループは「最大の財産は人材」と明言しており、特に若い世代の社員に向けては、CSR活動への参加をさらに推進されるとよいでしょう。

ダイバーシティには力と価値があります。SCGでは全従業員の約32%に当たる1万7,000人以上の社員が、タイ以外の国で宗教、文化、ジェンダーを超え、一丸となって働いています。野村も社員の多様性から多大な恩恵を得ているでしょう。これまでに170回以上日本を訪れた経験から、私は日本の働く女性たちは非常に優秀であるにもかかわらず、十分に力を発揮しきれていないと感じています。高齢化と労働人口の減少が重なるなか、女性のキャリア支援施策の展開は、野村のような金融機関においては特に、高いプラスの効果をもたらすだろうと、大きな潜在性を感じています。「女性活躍推進のリーディング・カンパニーである野村」というブランドを目指してもよいのではないでしょうか。

アジア資本市場発展への貢献を目指す野村グループの取り組みをどのようにご覧になっていますか。

野村にはアジアの成長を支え、アジアを代表するグローバル金融サービス・グループとなる卓越したポテンシャルがあると考えています。アジア各地域では、市場の発展状況や顧客ニーズに差がみられますが、野村には、日本、北米、欧州で培った幅広い経験があり、それらを活かしてアジア各国のトレンドに対応することが可能です。

中国への投資については、これまでの会合で議論してきたとおり、避けては通れない課題です。パートナー選びは極めて重要であり、良い相手を見つけるには相当の努力を要するでしょう。人民元の国際化戦略も野村にとってビジネスチャンスといえます。香港はすでに金融センターとしての地位を確立していますが、シンガポールの台頭は著しく、香港を超えつつあるかもしれません。金融センターになるべく奮闘中の台湾には、投資先としてのポテンシャルを感じます。

野村グループの持続的な企業価値向上のために何が必要とお考えでしょうか。

野村は日本の金融機関のなかでもかなり先進的であり、アジアを代表するグローバル金融サービス・グループを目指す野村のビジョンには賛成です。加えて、「イノベーション」と「サステナビリティ」という側面を際立たせることで、革新的で持続的な企業である、というブランドイメージを確立してもらいたいです。良き企業市民としてのグローバルな責任の全うと、お客様に喜ばれる新商品やサービスの持続的な提供の両立は、野村であればなしえると信じています。ブランド強化には、社員と地域社会との結びつきを強めるような企業活動やCSR活動のさらなる推進が効果的ではないでしょうか。

将来にわたり競争を勝ち抜くためには、企業文化によって培われる組織の強さが必要です。野村の高い将来性とダイナミックな企業文化については、2年間のアドバイザリー・ボードでの経験を通じて深く理解できました。また、取締役会の過半数が外国人や社外の取締役で構成されていることからも明らかなように、経営陣には「進取の気風」があります。

革新性と持続性の企業価値への反映により、野村は創立100周年を迎えるまでにアジアの代表のみならず、グローバル・リーダーになれると信じています。

今後アドバイザリー・ボードを最大限に活用するためのアドバイスをお願いいたします。

現在のメンバーでアドバイザリー・ボードがスタートして2年が経ちますが、永井グループCEOをはじめとした野村の経営陣と、私たちボードメンバーの信頼が深まり、より円滑で自由な議論ができるようになってきました。ボードの知見を経営に活用するためには、オープンな対話を躊躇せずに行っていくことが一番です。ボードメンバーの意見が、過去の経験にとらわれ、一定の状況においては適切でない場合もあるでしょう。互いに率直な考えをぶつけ合い、忌憚のない意見交換を通じて得たものを野村グループの経営に活かしてかしていただければ、これ以上の喜びはありません。