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組織の透明性と信頼性の確保|信頼の回復に向けて

今般の野村證券元社員によるインサイダー取引事件は、資本市場に対する信頼を著しく毀損せしめたものであり、この事実を厳粛に受け止め、深く反省しております。
野村證券株式会社は、社外委員で構成する特別調査委員会による提言を受け、2008年6月6日に以下の再発防止策を決定いたしました。また、金融庁から2008年7月3日に業務改善命令を受け、これに基づき、業務改善報告書を提出し、受理されました。今後は、再発防止策を深度のある形で着実に実行し、一層の内部管理態勢の強化と職業倫理の確立に努め、ステークホルダーのみなさまからの信頼の早期回復に向けて全力で取り組んでまいります。

I. 案件情報管理態勢に関する再発防止策

(1)

企業情報部における案件情報管理の基本観である以下の2点を、「案件情報管理の基本方針」として明文化し、その遵守を再徹底する。

  1. 1)未公開の案件情報を企業情報部内にとどめ、部外に漏洩させない。
  2. 2)企業情報部内においても未公開の案件情報は業務遂行上必要な範囲にとどめる。

(2)

上記(1)の基本観にもとづき、以下の内容を「案件情報管理ガイドライン」の中で明文化しさらに厳格に運用する。

  1. 1)案件における顧客実名の用禁止およびコードネーム使用の徹底
  2. 2)部内の個別案件打合せでの会議室利用の徹底
  3. 3)ロッカーの常時施錠
  4. 4)退社時の資料格納、シュレッダー処分等を含めた印刷書類の厳格管理

(3)

案件情報管理システムなどの部内情報システムのアクセス制限が、上記(1)の基本観が十分に反映されたシステム設計になっていることを継続的に確認する。

(4)

各種システムについてのアクセスログの定期的な検証を行い、問題を発見した場合には速やかに対応できるような態勢を確立する。

(5)

部内におけるシステム開発は、社内IT専門部署と一層連携して実施し、利用開始に当たっては十分なテストを行い、安全性を確認する。

(6)

上記(1)の「案件情報管理の基本方針」に則り、企業情報部のレイアウトを見直し、課単位で仕切りを設ける。また、課毎にプリンターを設置し、会議室を増設するなど、設備の拡充を行う。さらに、モニターカメラによる監視を実施する。

(7)

上記施策について、その実施状況、実効性等を検証すべく、企業情報部が定期的に自主点検を行う。同時に、インターナル・オーディット部が、当該自主点検のレビューを厳格かつ頻繁に実施し、実効性の担保を図る。

II. 人事管理・研修の強化

(1)

職業倫理の確立

  1. 1)企業情報部社員に対して、職業倫理の確立を人事管理の最上位の目標に位置づける。
  2. 2)トップ自らが職業倫理の確立とコンプライアンスが経営の最重要課題であることを再度明確にする。
  3. 3)新たに、企業情報部を担当し、インベストメント・バンキング部門の育成研修担当を兼務する役員クラスを任命する。

(2)

採用・配属

  1. 1)採用に際しては、業務遂行能力に優先して、まずは当該人材の職業倫理観を見極めるべく、倫理観のチェックや適性テスト等の実施を含め、採用方法の一層の充実を図る。
  2. 2)キャリア採用においては、人事部門の役割を拡大してそのチェック機能、関与度合いを高めるべく、人事部門の面接の回数を増やすなどの対応を講じる。
  3. 3)企業情報部におけるキャリア採用者の配置では、M&A業務に関する経験が十分でない者は、他部署に一定期間(必要に応じて半年間程度)配属し、その間に職業倫理に関する研修等を行い、適性と職業倫理意識を見極めた上で、企業情報部に配属する。

(3)

研修

  1. 1)職業倫理教育を最重要課題として、採用・配属時の研修をより充実、深化させ、定期的に継続する。とりわけ、職業倫理が資本市場で活動するための根本であり、これに反する行為を行った場合、業界、会社、個人の信用を著しく毀損し、回復しがたい損失を受けるものであることを徹底的に理解させる。
  2. 2)研修に際しては、個々の社員の実情(新卒かキャリア採用か、これまでの経歴の差異等)にも着目した肌理細かな研修プログラムの策定を行う。
  3. 3)研修においては、十分に具体的な説明をする。たとえば、法令違反行為は必ず摘発されること、会社としてもモニタリングを強化していること、社会的制裁が大きいことなどを参加者に具体的かつ確実に理解させる。
  4. 4)機密情報の管理に関して、案件情報の共有を認められた者以外への漏洩が禁止されていることを周知徹底することに加え、同僚や家族等であっても案件に関する情報について絶対に漏洩してはならないことを繰り返し徹底して教え込む。
  5. 5)年2回実施している誓約書の提出を受ける際に、その内容の確認を行い、この機会に合わせて研修を行う。
  6. 6)研修履歴の記録を確実なものとし、個々人の習得レベルを明確にし、それに応じた研修を継続的に実施する体制を確立する。

(4)

人事マネジメント

  1. 1)現場における指導の重要性を再確認する。部長、課長、ディールマネージャーが課員への指導を肌理細かに行うことができるように考え方を整理し、実行に移す。これらの者が部下の執務態度に不審な点はないか、生活に乱れた点がないかなどを常に注意を払っていることを示し、その際、日々の業務で目が届く範囲で生活態度等も含め全人格的な対応が求められていることを良く認識させる。
  2. 2)人事評価において、案件情報管理が不十分な場合、重大なマイナス要因となることを明確化する。
  3. 3)インストラクター制度を充実させ、メンター制度等(キャリア採用者向けのインストラクター類似の制度)を導入する。

III. 株式取引規制に係る取り組み

企業情報部の属するインベストメント・バンキング部門では、社員の株式の取引については厳しく制約した運用となっている。悪質と認められる地場出し等については、懲戒解雇処分を含めて厳格に対処する。なお、日本証券業協会は、内部者取引防止に関する内部管理体制等検討ワーキングにて「内部者取引防止に関する内部管理体制等の在り方に関する論点整理」を提言しており、弊社としてもこの取り組みに全面的に協力していく。

以上

コンプライアンスの徹底にあたり

野村證券株式会社
グループ・コンプライアンス統括責任者
常務執行役 田中 浩

今般の元社員によるインサイダー取引事件を受けた再発防止策において、職業倫理の確立を人事管理の最上位の目標に位置づけることを明示しております。私たちは今ここで改めて原点に立ち返り、職業倫理とコンプライアンスがすべての事業活動の根幹にあることを肝に銘じなければなりません。
そして、コンプライアンスを徹底していくにあたっては、情報管理態勢の強化とともに、社員一人ひとりが職業倫理に基づき適正な判断をしていくことの重要性を強く感じています。
すなわち、制度や仕組みに基づくルール・ベースによる規制と、社員個々人の判断に基づくプリンシプル・ベースによる規制との両面から進めていくことが必要であると考えています。
私たちは個々のお客さまから信頼され安心されてはじめて投資ができるわけですから、形式的にルールを決めるだけではなく、考え方や価値観といった本質的な部分が非常に重要となります。そういう意味で、制度や仕組みに基づくルール・ベースの規制に加えて、基本的な考え方や原則を示して、あとは社員個々人の判断に委ねるプリンシプル・ベースによる規制についても重要になってきます。
その前提として、いざ現実の局面で的確な判断がなされるように、ケーススタディを取り入れた研修を積極的に行うなど、判断能力の向上にこれまで以上に力を入れて取り組む必要があると思っています。
今日のようにマーケットが急速に拡大している状況においては、お客さまからの信頼、信用があってはじめて事業の伸張が可能となり、ビジネス上の成果もあげることができます。また、訴訟リスクやトラブルへの対応として常に適正な業務プロセスを踏むことが不可欠です。つまり自分自身の成果を上げ、自分自身の身を守るという二つの面から、コンプライアンスは自分自身のためにも大事だということを社員のみなさんに理解してもらいたいと思います。
さらに、社員から見て納得できないようなルールでは結局は建前で終わってしまうため、現場レベルで納得できないものを見直し実質的な業務活動ができるように、社内ルールと業務フローを見直す取り組みを進めています。
社員の誰もが理解し守れるルールを設定し、判断を要する局面では、プリンシプルに従って適切な判断のもとに行動することが、コンプライアンスの基本だと考えています。

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