第三者意見/外部評価
 |
|
 |
 経済人コー円卓会議日本委員会 専務理事 事務局長 関西学院大学大学院 経営戦略研究科 准教授 石田 寛 |
|
野村グループのCSRに関する取り組みにおける最大の特徴は、渡部社長が就任時に掲げた経営ビジョンを活かして、どのようにCSRに展開していくことができるかである。野村グループは、「ワールドクラスの競争力を備えた金融サービスを目指す」、「変化を作り出すことで、内外の資本市場の発展に寄与し、成長機会を創造する」、「『日本を含むアジア』と欧米との架け橋になることを志向する」と経営方針として掲げている。そして、市場は、この経営方針を遂行するために掲げた「変化を作り出す」、「ワールドクラス」、「スピード」という3つのキーワードをベースに、経営的視点で捉えた野村グループのCSR体制をどのように構築していくのかを注目している。その中で渡部社長は、CSRレポートのトップコミットメントとして、高い公共性を持ち続け、本業を通じて社会に貢献しながら、ワールドクラスの品質を作り上げていくことのメッセージを発しており、その方向性について特に問題ないものと考えている。 野村グループとして、持続的にビジネスを展開していく上で不可欠な要素であるコーポレート・ガバナンスやコンプライアンス体制の仕組みについては、過去の不祥事を教訓に金融機関としても高い意識を持って取り組んできたといえる。しかしながら、今回発生したインサイダー取引事件を受けて、従来の仕組みや制度では限界であったことが明らかになった。今後法令遵守の徹底だけではなく、社員一人ひとりが「法令遵守以上の信頼の精神」を身につけていくことが重要である。これこそが現場で働いている社員の現場力を強化していくことになり、社会からの信頼を得ることにつながっていく。 そして、経営的視点で捉えたCSRとしては、潜在リスクを把握するための手段として、CSR活動をより経営戦略の一環として取り組んでいくように働きかけていくことが肝要である。そういう意味で、2008年度に、経営層で構成されるCSR委員会を立ち上げた点は一歩前進したといえる。また2007年度より取り組みを開始したマテリアリティ測定は、さまざまな課題に対して野村グループの重点領域を評価するにあたって、多くの関係部署が関与する形で実行され、結果として16項目に及ぶ重要性の高い項目の抽出を行ったことから、高く評価に値するものと考える。今後は、マテリアリティ測定で抽出された課題を、各部署におけるマネジメントの仕組みに落とし込み、PDCAサイクルに展開していくことが期待される。 そうしたなかで、2007年度野村グループにとって本業に沿ったCSRの取り組みとして評価すべき点は、クリーンテックベンチャー投資を通じた環境への貢献、金融・経済リテラシーの向上として取り組んでいる金融教育のプログラムとハッピー・キャリア&ライフプロジェクトが挙げられる。今後このマネジメントの仕組みをより充実したものにするために、現場レベルだけの対応に止まることなく、経営レベルおよびマネジメント層が社会からの期待や要請と経営戦略との目指す方向が合致しているか、適宜情報収集・分析を行い、意思決定を行うというプロセスを構築していくことが極めて重要である。 最後に、金融業界におけるリーディングカンパニーとして、ワールドクラスの企業を目指すからには、その活動が社会や将来に与える影響の大きさを十分に理解すると同時に、野村グループだからこそ提供できる付加価値とは何かを常に意識するかが重要である。より良い社会と将来に向けて野村グループが果たすべき役割と責任は極めて大きく、より一層の努力が求められるといえるであろう。
|
野村グループのCSRへの取り組みは高く評価され、野村ホールディングスは、Dow Jones Sustainability Indexes(ダウジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)、FTSE4Good Index、MS-SRI(モーニングスター社会的責任投資株価指数/2006年9月時点)の3つのSRI(Socially Responsible Investment:社会的責任投資)インデックスの組入銘柄として採用されています。
 |
|
Dow Jones Sustainability Indexes
米国ダウ・ジョーンズ社とスイスのSAM(Sustainable Asset Management)が選ぶ、世界ではじめて作られたサステナビリティ株式指標。 |
 |
FTSE4Good Index
英国のフィナンシャル・タイムズ社とロンドン証券取引所の子会社であるFTSEが作成する、世界中の優良企業を選定した社会的責任投資指標。 |
 |
MS‐SRI
モーニングスター株式会社が国内上場企業の中から社会性に優れた企業と評価する150社を選定し、その株価を指数化した国内初の社会的責任投資株価指数。 |