
立命館大学政策 |
これまでの証券市場や金融・経済知識の理解を広めようとする活動のなかで、顕著になってきたことが、日本の子どもたちは知っておくべき経済の基礎知識が十分に教えられていないという点でした。2004年度に「全国の小中学校教職員に対する経済・金融教育(金銭教育)に関するアンケート」を実施し、「経済・金融教育の実施と普及を阻害しているものは?」と質問したところ、「教材の未整備」と答えた先生が半数を超えました。こうした結果を受け、教育現場で役に立つ教材をつくることはできないだろうかと構想を重ねてきました。 |
2008年3月には、佐和教授監修のもと『街のTシャツ屋さん』につながる小学校高学年向け副教材『街のけいざい教室』を作成しました。2008年6月現在、1,200校からの要望があり約11万部を寄贈しております。 |
筑波大学附属小学校教諭 |

これまで教育現場で金融・経済教育が進まなかった要因について、都留先生は次のように分析してくれました。
「教材がないということが第一の理由です。そして小学校は担任制であり、専門の先生が教えるわけではないということも理由に挙げられます。社会の先生であれば多少なりとも興味を持っていますが、担任が国語や理科、音楽、図工などの先生の場合、経済教育に対する興味は薄いと言えます。また、経済についてほとんど知らない先生が、子どもたちに教えなければならないという状況にあり、ハードルが非常に高いのです。」
そこで、副教材として授業で使ってもらうには、子どもたちにとってわかりやすいというだけでなく、小学校の先生たちから見て、「この絵は楽しいな、子どもが見たらいろいろなことを発想しそうだな、教材を学ぶことで子どもが自ら経済のことを勉強したいと興味を持つだろうな、これなら自分も楽しく教えられそうだな」と感じてもらえることが大切であると考えました。色使いから、文字の大きさ、内容のわかりやすさ、イメージまで、留意すべき点は数多くありました。また、テキストのなかに出てくる経済体験シーンに用いるイラスト表現についても、実際に小学校の教壇に立たれている先生の声を反映しました。「子どもには”暗黙知”といって、言葉にならない、形にならない知識ができてしまいます。ですからたとえば、お店や工場で働いている人、株主など、テキストに登場する人物に、女性や障がい者もきちんと描くことをお願いしました。男性ばかりに偏らず、いろいろな人が自然にすべて入っているということが、本来の自然さであるからです。非常に細かいところですが、子どもが触るものについては充分に配慮して構成していくことが必要なのです。」
同じくプロジェクトに参加された、筑波大学附属小学校の臼井先生はこのように話してくださいました。
「新教育課程における金融・経済の内容については、当初騒がれていたほどの大きな変革はなく、現実問題として、今後の金融・経済の取り組みについては、先進諸国との遅れがますます顕著になってしまうのではないかとの危惧を感じています。こういった背景を考えますと、今回の『街のけいざい教室』のテキストの与える意義は大きいのではないかと考えます。」
「子ども向けの経済教育に対して賛否両論の意見がありますが、経済教育についての間違った認識・イメージからの発言であることが多いのではないでしょうか。今回の教材は、こうしたイメージを根本から払拭できるものができあがったと思います。」(都留先生)
『街のけいざい教室』は、小学生向けの教材として誕生しましたが、先生や保護者を含めた大人たちにとっても、金融・経済のしくみについての基本的な知識の底辺をレベルアップすることのできる素材になることを期待しています。