インドにおける恵まれない子どもたちに対する取り組み

急速な経済成長の一方で、インドにはなお深刻な貧困問題が存在しています。貧困者率は都市部より農村部の方が高いものの、極端な貧困者は都市部に集中しているといわれています。また、教育面では初等教育終了までにドロップアウトしてしまう児童の割合が高いことなどが課題となっています。これらの課題に取り組む野村グループのポワイ拠点とNPOパートナーの皆さんが活動について議論しました。

左から
Vidya (NGO) プログラム・ヘッド マナビー・シンガ
アシーマ・チャリタブル・トラスト エデュケーション＆ドナー・リレーションズ サヌア・シャイク
ウダーン・インディア・ファウンデーション プログラム・マネージャー セナー・セナパティ
野村ポワイ 採用、人事、D&I、CSRヘッド ナターシャ・マトゥール
野村ポワイ CSR担当 ルビー・ラヒール

シンガ氏：ムンバイにはスラム街で暮らす大勢の恵まれない人々がいます。多くはインド各地からの移住者で、読み書きのできない人々です。彼らは子どもに教育を受けさせることができず、親が無職や低収入であるために、子どもたちは学校を休んで働きに出なければなりません。とりわけ女の子の場合は、日々の育児や家事の手伝いをさせられるために、通学を続けるのが難しく、中退の割合が高くなっています。このような子どもたちの周囲には、就学意欲をかき立てるお手本となる人物がいないことも問題です。

シャイク氏：初等教育は無料で受けられるのにもかかわらず、こういった生活状況によって就学機会が妨げられています。政府や地方自治体、企業やNGOは懸命に改善努力をしていますが、さほど効果は現れておらず、インドでは中退および未就学の問題にいまだ頭を抱えています。

マトゥール：当社は、NGOパートナーの協力を得て、英会話、土曜クラブ、コンピュータプログラム、中退者の復学プログラムなど、社員ボランティアによる就学支援プログラムを提供しています。恵まれない子どもたちの数は増加しており、支援する子どもたちの人数を拡大し、支援エリアを広げるべく、各地のNGOとも連携したいと考えています。

ラヒール：活動の効果測定方法として、支援を受けた子どもの人数や社員ボランティアの数、ボランティア活動時間を集計しています。また、活動を通して集められた募金額も一定の指標になります。一方、未対応の問題や既存の問題に対してもっと良い方法で取り組んでいくためには、イノベーションが不可欠であると認識しています。

社員ボランティア：当社では、社員のスキルと能力を活かした活動を通じて積極的にコミュニティに貢献しています。具体的には、社員ボランティアが、恵まれない子どもたちにコンピュータの基礎や英会話、算数、科学を教えています。

セナパティ氏：野村の社員ボランティアの多くは、自らのリーダーシップや組織運営能力を活かして、ボランティア活動の指揮を執っています。彼らは、支援する子どもたちと互いに信頼し、尊重し合う関係を築いており、子どもたちの模範になる存在として尊敬されています。

マトゥール：自らのスキルや時間を活かして地域社会に恩返しすることは、社員の充実感にもつながっています。ボランティア活動は、社員がさまざまなNGOと密接に連携し活動する基盤となっています。地域社会に溶け込み、教育支援をはじめ小児病棟や老人ホームで奉仕したり、恵まれない子どもたちや女性たちと一緒に過ごしたりします。また、共通の目標に向けた活動を職場外でも経験することで、社員間のチームワークの強化につながっています。

社員ボランティア：資金面の支援にとどまらない協力が必要です。長期的なコミットメントや本格的な社会貢献を積極的に行うことが重要でしょう。さらに、当社のNGOパートナーと共同で研修や意識啓発活動に取り組むとともに、NGOパートナーの活動そのものも支援する必要があります。

ラヒール：社員によるボランティア活動に注力し、持続的な効果を地域社会にもたらす取り組みを行っていく予定です。また、NGOパートナーの組織の発展も支援していきます。

マトゥール：当社の社会貢献活動体制を引き続き強化します。今日私たちの社会を悩ませているさまざまな課題に対する社員の意識を高めるため、今年はとくに社員の積極的な参加に重点をおいて活動していきたいと思います。

社会の明日のために