東日本大震災被災地の復興支援

野村證券は、地震や津波に加え、福島第一原子力発電所の事故によって深刻かつ多大な影響を受けている福島において、復興に向けた取り組みを懸命に続けている福島大学との間に、震災復興支援に関する連携協定を2012年4月に締結しました。この連携協定を通じて、福島大学のみならず、広く福島県の復興にお役に立ちたいと考えています。

写真:入戸野 修

国立大学法人 福島大学
学長
入戸野 修

写真:野崎 洋一

福島県
企画調整部長
野崎 洋一

写真:大森 勝

野村證券
法人企画部 部長
大森 勝

まず入戸野学長にお伺いします。震災復興に対する現在の課題は何でしょう。また福島大学として当社との連携を決意なさった理由は何でしょう。

大学だけでは不足するノウハウやネットワークを段階的に活用していくために

入戸野氏:福島大学には本来、地方の高等教育機関として、地域に役立つ人材を育成するという役割があります。今回の大地震と原発事故が起こった時点で、そうした本来的な役割にとどまらず、地域の大学として何ができるか、何かしなくては、と改めて考え、動き出しました。最初は学内施設に被災者を受け入れ、教員や学生たちがボランティアとして、避難してきた方たちをケアする体制をとりました。これらの活動を通じて、震災発生当初は少なからず地域に貢献できたと思うのですが、それから一年何カ月か経ってみると、やはり、課題が被災直後とは違ったものになってきます。これからは本当の意味での復興に向けた取り組みが必要ですが、そのためには、大学にある情報や知見だけでは不十分であり、民間企業など外部のネットワークをお借りする必要があるとわかってきました。とはいえ、公共性の高い国立大学法人である当学と、特定の企業とが、いきなりタッグを組むわけにはいきません。そこで、幅広い業界とネットワークをもつ野村グループと緩やかに連携することで、大学にはない情報や、その背景にあるさまざまな企業のノウハウを得て、そこから我々がすぐにできることと、長期にわたってできることを選んで、展開していくのが良いのではないかと考えました。さらに次のステップとして、最適な機会があれば、野村グループのネットワークを通じて、さまざまな業種の企業や金融機関と提携することもありえるでしょう。そうしたステップを踏んで取り組みを続けていくために、今回の協定を結んだのです。

次に野崎様にお伺いしますが、行政機関として今回の当社と大学の協定についてどのようなご意見があるでしょうか。

復興に向けて、行政にはない機能やノウハウをお借りしたい

野崎氏:野村グループには、いろんなツール、つまり機能やノウハウがあると思います。今後の復興に向けて、行政だけでは不足する部分についてのノウハウをお借りする必要がありますし、そうしたノウハウともつ野村グループと一緒にさまざまな取り組みを進めていくことは、福島県全体にとって大きなプラスになると考えています。福島大学が野村のサポートで力をつけて、復興に向けていろんな支援を要する市町村にどんどん入っていき、いろんなアドバイスができるようになることを期待しています。

ネットワークの多様さと視点の広さが、野村グループを選んだ理由

入戸野氏:野村グループのネットワークは非常に多様だと思っています。私たちがパートナーとして選んだ理由もそこにあります。県の農産物の風評被害対策や、今後のエネルギー問題の解決など、復興への課題は山積していますが、野村には、農業、水力発電、省エネ化関係、スマートグリッドなどの取り組みがあり、なかには私どもでは想像していなかったようなものもあるわけで、そこに期待しています。同様に、そうした多様性をもつが故の、視野の広さにも期待しています。復興支援に取り組むにあたって難しいのは、大学人の知財が限られていることです。もっと広い視野に立って長期的に見て、ある意味では夢というか、未来を明るくするような発想も必要だと思います。ところが、実際にはそこまで余裕がなく、個人の研究範囲や地域のなかだけで考えてしまいがちです。野村からも、もっと視点を広げるべきとの指摘があり、その点にとても感謝しています。

大森:多様性をうまく持ち込むことで、新しいものをつくるということですね。当社のもつネットワークや民間企業、企業人としての視点を、うまく復興支援に使っていただきたいです。

行政から見た現状の課題とは何でしょうか。

福島の復興を考えるとき、課題となるのは医療と雇用

野崎氏:震災から一年以上たっても、まだ自宅に帰れず、どうなるかわからない不安な人たちが大勢いて、去年の3月10日の生活を取り戻したいという切実な願いがあります。実際、去年一年間の県の人口は、県外に避難された方以外に、4万人以上減っています。これは、通常よりもかなり多い数です。その背景には、環境が変わる、仮設住宅で生活する、いろいろなストレスがかかる、これらが要因になっていると考えられます。こうした数字からわかるように、避難されている方たちへの支援と同時に、県内に残った方に以前の暮らしを取り戻していただくことが喫緊の課題です。そこで、昨年、具体的な復興ビジョンと復興計画をつくって、今年を復興元年とし、具体的に歩み出そうと、県をあげて取り組んでいます。今後、少子高齢化が想定以上に進んでいくという危機感があるなかで、福島の復興には、将来福島を担う若い世代、子どもたちが安心して住めるような環境をつくっていくことが最も重要だと考えています。そのためには医療の問題と雇用の問題がある。そこで、医療については、全国に誇れるような健康長寿県を目指すことを復興計画に盛り込みました。一方の雇用については、県外から来ていただく企業に対して、そこに雇用が生まれれば、その人数に応じて補助金を出します。この制度により、県内に企業を誘致する機運が盛り上がってきています。そこで期待しているのが、再生可能エネルギーの普及です。福島は原子力の事故でこれだけ大変なことになってしまったので、原子力に依存しない、持続可能な社会をつくっていこうということを理念の一つに掲げました。これも雇用につなげていきたいですね。さまざまな制度や取り組みを通じて、県下各地域をそれぞれに活性化させ、福島県全体の復興につなげていきます。

大森: 福島県の現在の課題に対する優先順位ははっきりしているのですね。あとは、それを具体的にどうやって実現していくか、さまざまな関係者とどのように連携し、成果を出していくのか、という段階ですね。

復興には地域が一体となった取り組みが不可欠

野崎氏:今回の復興計画でも明確にしたことですが、復興は行政だけでやれることではない。阪神淡路大震災のときも最初は復興特需があったそうですが、その後にぐっと落ち込んだそうです。公共の投資だけで、いつまでも引っ張っていけるものではない。しっかり民間企業が根付いて、地元経済とともに持続的に成長していけるようにしなければならない。だからこそ、企業、NPO、住民の方々が一緒になって復興に向けてかかわっていかないと、絶対、福島の復興は実現できない。そのための仕組みを考えていかなければなりません。

入戸野氏:そうした取り組みを福島県や市町村、各種団体、NPOなどと連携しながら長期的に進めていくために、当学では2011年4月に「うつくしまふくしま未来支援センター」を立ち上げました。このセンターでは、これから風評被害をはじめとする、被災地に関するさまざまな調査に共同で取り組んでいきますが、そこで大切なのが、被災地の当事者と、野村のような外から見た人の視点を上手にミックスする、活かすということです。また、この経験を学問として活かすためには、いざ新しい災害が起きたとき、応用できるくらいに、体系化する必要があります。そこまでいけるよう助力いただきたいと思います。

大森:当社は「支援」というよりも一緒に動いていきます。その代わり、言うべきことは言わせていただきます。オブラートに包んでいる時間はない。

復興に向けた切実な想いを、しっかりと共有して欲しい

野崎氏:確かに、行政は民間の方々に意見されると身構えがち。しかし、震災が起こって、いろんな方々の力をお借りして、一緒にやっていかないとできないのははっきりしました。民間の方々の視点で、これが足りないというのをどんどん厳しく指摘してほしい。復興計画をつくるときに、県内の高校生にアンケートを取ったところ、福島に残ろう、残ってがんばりたいという回答が多かったんですよ。彼らの気持ちに応えていくような、復興の取り組みをしていかなければいけないと、ひしひしと感じています。

入戸野氏:こと大学での取り組みについては、すぐにはお金に結びつきませんが、復興の過程で当然お金は動いていきます。調査一つとっても、そういう視点をもって実施すべきだと思います。「うつくしま福島未来センター」が具体的に動き出し、復興へ向けた取り組みの基盤となるような調査研究を行うにあたっても、野村の知見を取り入れたいと思います。

ご意見を受けて

地域経済とともに生きる企業として、福島の復興に貢献し、ともに新しい未来をつくっていきたい。

大森:日本全国に178の本支店ネットワークをもつ当社は、まさに地域経済とともに生きている会社であり、地域経済の発展がなければ、会社の発展もありません。そのため、地域経済の発展に今まで以上に積極的にコミットすべく、全国各地の大学や地方自治体とともに地域活性化の取り組みを行っています。

東日本大震災からの復興に取り組む福島県内にも3店舗をもつ当社は、これまでも福島大学や福島県に対して情報提供や意見交換などを行ってきました。今回の協定締結を機に、福島大学が取り組む復興支援活動を、当社のネットワークなどを駆使してサポートさせていただくことで、福島の一日も早い復興を果たすとともに、一緒に新しい未来をつくっていきたいと考えています。また、この経験を踏まえて、さまざまな地域経済における課題にも挑戦していきたいと思います。

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