セキュリティ・トークン・オファリング(STO)
ブロックチェーン技術を活用した資金調達/証券投資
セキュリティ・トークン(ST)とは
セキュリティ・トークンは、有価証券とされる権利をデジタル化して、ブロックチェーン等の技術を活用したシステム上で発行・管理される、法令に準拠した有価証券であり、デジタル証券とも呼ばれています。2020年5月施行の改正金融商品取引法で「電子記録移転有価証券表示権利等」と規定され、金融機関での取り扱いが可能になりました。セキュリティ・トークンを活用した資金調達をセキュリティ・トークン・オファリング(STO)といいます。
これまでは、例えば、証券保管振替機構/取引所などの機関が取扱わないオルタナティブ・アセットを投資対象とする金融商品については、一度に大量の取引が発生する様な公募・小口の形式、また、セカンダリーでの売買が頻繁に発生する様な形式での取り扱いが実務上困難でしたが、ブロックチェーン等の技術を活用してこのような金融商品の管理の仕組みをデジタル化/ST化することで、実務上取り扱いが可能になりました。
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンは、暗号資産「ビットコイン」の技術基盤として誕生した概念です。
従来の中央集権型のデータ管理とは異なり、取引などを記録するための台帳をネットワーク上の複数のコンピューターで相互確認し、外部からの改ざんを防ぐ仕組みです。

野村グループの取組み
2021年8月、野村證券は、国内初となる公募型不動産セキュリティ・トークンの引受け・販売を実施しました。以降、多くの公募型不動産セキュリティ・トークン及び社債セキュリティ・トークンを取り扱い、投資家に新たな投資の選択肢を提供しています。詳細は以下の関連リンクをご参照ください。
今後も、ブロックチェーン等のデジタル技術を活用して、お客様のニーズに応える多種多様な商品/サービスの提供を目指します。
関連リンク
- 野村の不動産セキュリティ・トークン - 野村の不動産セキュリティ・トークン(野村證券ホームページへ)
- 国内過去最大規模の不動産セキュリティ・トークンの公募及び発行完了について
- 国内初の商業施設を投資対象とした不動産セキュリティ・トークンの公募および発行完了について
- 国内初、賃貸戸建『Kolet(コレット)』を投資対象とする不動産セキュリティ・トークンの公募及び発行完了について
- 本邦事業会社として初の仕組みとなる「公募自己募集型デジタル債」の発行に関する協業について
- 国内初のデジタルな仕組みを用いた環境債「ホールセール向けグリーン・デジタル・トラック・ボンド」の発行に関する協業について
- 日立によるデジタル環境債の発行に向けた協業について
Laser Digital
2022年9月、Laser Digital Holdingsをスイスに設立しました。スイス、UAE(ドバイ、アブダビ)、英国、日本に拠点を設置し、海外機関投資家・法人向けに暗号資産のトレーディング・サービスや運用サービス等を提供することで、急速に成長するデジタル・アセット領域のビジネス機会を追求しています。
「野村SRIイノベーション・センター」を設立
2020年 9月、野村ホールディングスは、米国の非営利研究開発機関であるSRI International(エスアールアイ・インターナショナル、SRI)と提携し、「野村SRIイノベーション・センター」(NSIC)を設立することに合意しました。
NSICは、シリコンバレーの中心にあるSRIのキャンパス(カリフォルニア州メンローパーク市)内にコワーキング・スペースを備え、入居する会員企業とSRIの専門家が現地で緊密に協働する、初めての日本企業向けに特化した会員制イノベーション・センターで、2021年10月に設立されました。

SRIは1946年に米国で設立された研究開発機関で、基礎研究、市場展開に向けたシステム・製品開発や、ベンチャー支援を行っています。米国政府、政府機関が主要顧客で、過去にはインターネット、AIアシスタントのSiri、コンピューターのマウス、遠隔操作手術システム、映像音声技術、衛生関連技術などを産み出してきた米国を代表する研究機関です。1963年に、日本法人を設立して以来、日本企業とも数多く協業してきました。

SRIは、コンピューターのマウスやSiri、遠隔操作手術システムなどを開発
NSICでは、会員である日本企業と、大学の研究機関や技術研究開発ラボ、スタートアップ企業などを繋ぐとともに、ワークショップやゲストレクチャーなどの会員の要望に合わせたプログラムを通じて、高度技術の市場への移転、進化するビジネスモデルおよび革新的なベストプラクティスなどについてイノベーションを促進しています。
シリコンバレーに進出し大きな成果を出している日本企業もある中で、イノベーションの明確化やスタートアップへのアクセスなど、悩みや課題を抱えている企業も少なからず存在しています。今回の提携、NSICの設立を通じて野村は、日本企業が抱えるそうした課題の解消と、世界に向けたイノベーションの推進をサポートしていくとともに、日本企業と米国の架け橋となるべく取り組んでいきます。
関連リンク(ニュースリリース)
Web3
デジタル・アセットに代表されるWeb3領域において、戦略出資、事業提携等を通じ、国内外の有力パートナーと共に、クリプト関連ビジネス、デジタル通貨、ステーブルコイン、メタバース等の事業開発を行っています。また、Web3領域における資金調達などのビジネス機会の創出を追求していきます。
関連リンク(ニュースリリース)
BOOSTRY
BOOSTRYは、ブロックチェーンなどの先進的なテクノロジーを用いて有価証券を含むさまざまな権利をデジタル化して流通させるためのプラットフォームを提供しています。
今までにない価値を生み出そうとする資金調達者である『挑戦者』と、それを支える投資家である『ファン』を、もっと自由につなげる、次世代の資金調達モデル・投資体験を提供する会社です。
主要事業
- 証券会社等がデジタル証券を取扱うためのシステム提供
- 銀行等がデジタル証券を発行管理するためのシステム提供
- 有価証券を販売する金融機関の販売や社内管理用のシステム提供
- 有価証券以外の権利をデジタルで流通させるためのスマホアプリ等の提供
- BOOSTRYのサービス
主なニュースリリース
参考情報
- BOOSTRYの取組含めた国内のデジタル証券の実績
- セキュリティートークン(ST・RWA)ダッシュボード
- デジタル証券に関する情報提供ブログ
- BOOSTRY BLOG
- BOOSTRYが支援するデジタル証券のブロックチェーン基盤
- 多数の金融機関等で運営する『ibet for Fin』
AIの取り組み
野村グループは、AIなどイノベーションや新技術の活用に積極的に取り組み、個人投資家の裾野を広げ、「貯蓄から資産形成へ」の動きをより一層加速させることを目指して、投資家のニーズに応えるさまざまなサービスを提供しています。
機械学習等の先端技術を活用した新たな資産運用手法の開発
野村アセットマネジメントの資産運用先端技術研究部では、機械学習を始めとする統計学や情報科学分野の先端技術を活用した新たな運用手法の研究・開発を行っています。技術的にも世界の最先端を追求しており、その一部は、人工知能分野の最高峰会議の1つといわれる米国人工知能学会(AAAI: Association for the Advancement of Artificial Intelligence)や国際人工知能会議(IJCAI: International Joint Conference on Artificial Intelligence)等で採択されています。
1. 極端なリスクシナリオに基づく新しいポートフォリオ最適化の提案
資産運用では、リーマンショックやコロナ禍の拡大等、極端なリスクシナリオが顕在化した場合に、巨額の損失が発生する傾向があることが知られています。国際人工知能会議(IJCAI)2020にて発表した論文"RM-CVaR: Regularized Multiple β-CVaR Portfolio"では、こうした極端なリスクシナリオにおいて発生が見込まれる損失額を最小化するという観点に立ち、新たなポートフォリオ構築手法を提案しました。
金融業界では、例えば、発生する見込みが5%未満の極端なリスクシナリオを除外して、平時を想定した場合に、最大でどの程度の損失が発生し得るか(VaR)に注目してリスク管理が行われています。逆に、平時には「異常な」シナリオとして除外される極端なリスクシナリオ下のみを考えた時に発生し得る損失額の平均値は「期待ショートフォール(CVaR)」と呼ばれ、また異常なシナリオとして除外対象とする基準となる発生見込み(閾値)は「信頼係数」とそれぞれ呼ばれますが、シナリオ分析に用いるデータや信頼係数を少し変更するとCVaRの値が大きく変化してしまいがちであることが知られています。
上記の論文においては、こうしたさまざまなシナリオデータ、信頼係数の下で算出されるCVaRを等価に扱いつつ、全体として得られるCVaRを最小化するようなポートフォリオ構築手法を提案しました。実際に、複数のベンチマークデータを用いた実験により、提案したポートフォリオは他の手法と比較して、リスク・リターンの効率が良く、損失額が抑制されていることが確認できました。
2. さまざまな市場分析に応用可能な汎用性の高い株価予測手法の提案
株価予測においては、これまで2つの課題を解決することが期待されていました。1つは、過去の株価データを用いて機械を学習させた場合、ごく稀に起こる特殊要因が「例外」としてではなく、予測のための「重要な説明要因」として解釈され、予測のパフォーマンスが極端に落ちてしまう(過学習)という課題です。もう1つは、予測対象とする銘柄や市場によっては、そもそも予測のために入手できるデータが少ない場合があり、そうした利用可能なデータが少ない場合においても、さまざまな将来シナリオを機械に効率的に学習できる方法が求められる、という課題です。
資産運用先端技術研究部とニューヨーク大学の小宮山純平助教は共同で、米国人工知能学会(AAAI)20にて、上記2つの課題を同時に解決させる株価予測手法を提案しました。具体的に、深層学習(deep learning)に基づく株価予測手法において、「RankIC」(相対順位化された情報係数)と呼ばれる指標が一定水準に達した際に学習を自動停止させることで、過学習を未然に防ぐことを示すとともに、予測対象とは異なる市場から収集したデータに基づいてモデルを学習させ、そのモデルを別の市場の予測に再利用する(「転移学習」)ための具体的な手法を提案しました。実際に、北米市場およびアジア市場を対象とした株価指数(MSCI指数)の予測において、今回のモデルが既存の株価予測モデルよりも、収益性の観点でより良い高い成果を生むことを示しました。
野村グループは、独自の視点・手法で新たな資産運用モデルを開発することを通じて、お客様に対してより一層の投資機会と付加価値を提供していく予定です。
金融における量子技術の活用
量子技術は日本だけでなく世界において、注目されている技術です。特に人工知能(AI)やデータ連携基盤など各国における経済・産業政策上、競争力の源泉となる重要な技術インフラをさらに飛躍的・非連続的に発展させる鍵となる基盤技術として注目されています。
当社では、量子コンピュータの活用検証は2018年2月、量子暗号技術の活用検証は2020年12月より実施しています。国内金融機関において量子技術の金融業務における活用にいち早く取り組んでいます。特に、量子暗号領域においては、金融機関の稼働しているシステム環境に装置を設置して検証する取り組みとして、日本国内初の試みでした。
野村グループは、今後も最新テクノロジーの活用とサイバーセキュリティ強化に関する施策を通じて、お客様に対する安心・信頼を高めたサービスをご提供できるよう、取り組みを続けていきます。
関連リンク(ニュースリリース)