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資産運用ビジネス高度化に向けた取組みについて
2024年1月23日
野村ホールディングス株式会社
野村ホールディングス株式会社(代表執行役社長 グループCEO:奥田健太郎、以下「当社」)は、「金融資本市場を通じて、真に豊かな社会の創造に貢献する」ことを野村グループの社会的使命(ミッション)として掲げ、創業以来、幅広い金融サービスの提供を通じて、リスクマネーを循環させ、金融資本市場の発展、お客様への最適なソリューションの提供に取り組んできました。
日本政府が「資産運用立国実現プラン」を掲げ、預金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで、さらなる投資や消費に繋がる「成長と分配の好循環」の実現を目指す中、野村グループの果たす役割は非常に大きいと認識しています。
野村グループは以下の取組みを通じて、社会課題の解決につながる投資の好循環を促し、資産運用立国の実現に貢献していきます。
野村グループにおける資産運用ビジネスの経営戦略上の位置付け
野村グループは、資産運用ビジネスの中核を担うインベストメント・マネジメント部門を主要3セグメントの一つに位置付けています。
野村グループは、2021年4月に、多様化するお客様の運用ニーズに応える商品ラインナップの拡充やサービスの向上を目的として、広義のアセット・マネジメント・ビジネスを担うインベストメント・マネジメント部門を設立しました。同部門は、野村アセットマネジメントをはじめとした伝統的資産を中心とした運用会社から、オルタナティブ資産関連の投資・運用会社の全てを結集して、新たに設立された部門です。同部門は、株式・債券に代表される伝統的資産からプライベート・エクイティ等のオルタナティブ資産まで、さまざまなアセットクラスからなる商品・サービスを通じて、社会課題の解決につながる投資の好循環の実現を目指しています。
また、当社は資産運用ビジネスにおいて、投資商品やサービス・ソリューションの供給源であり、その品質や品揃えがお客様の満足度や中長期的な資産拡大に直結するインベストメント・マネジメント部門を野村グループにおける成長領域と位置付けています。野村グループは、こうした成長機会を追求し、さらに積極的に経営資本・人的資本を追加投入することで、グループ経営における同部門の比重を高めていきます。その際、運用資産規模を追求するだけでなく、高度な運用力やソリューション創出力に裏付けられた付加価値の高い資産運用サービスを提供することで、お客様のみならずさまざまなステークホルダーの期待に応えていきます。
さらに、当社は資産運用ビジネスの展開に際して、グループの総合力の発揮を目指します。例えば、1990年代から金融経済教育を通じた社会全体の金融リテラシー向上への取組みを行っています。また、企業向けのワークプレイス・サービスやデジタル技術を活用した資産形成・資産管理サービスの拡充等を通じた、より幅広いお客様への資産運用サービスの提供等を行っています。このように、野村グループは、インベストメント・マネジメント部門に加えて、ウェルス・マネジメントを担う営業部門、アドミニストレーションを担う野村信託銀行およびアドバイザリーを担う野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング等を擁するグループの総合力の強みを活かして、野村グループの資産運用ビジネスの持続的な成長とお客様の中長期的な資産拡大のサポートを目指していきます。
運用力向上の方針
野村グループでは、資産運用力の向上には専門性の高い運用人材の獲得や発掘、育成に長期的にコミットしていくことが何より重要と考えています。今後も経営の最重要課題の一つとして、以下の取組み等を通じて、運用力向上のために経済資本・人的資本を投入し、投資対象や投資戦略の多様化に努めていきます。
投資対象分野の拡張
インベストメント・マネジメント部門の設立以降、パブリック領域におけるグローバル運用の強化、クレジット、サステナブル投資等運用戦略の拡充に加え、プライベート領域やリアルアセット領域における投資対象分野の拡張に注力してきました。成長ステージにある非上場企業への投資や、事業承継問題の解決につながる非上場企業への投資などがその一例です。投資対象や投資戦略を多様化し投資家と投資対象のつながりを深化・拡充することで、経済・社会の持続的成長の実現に取り組んでいきます。
パートナーシップやインオーガニックの活用
知見を有するパートナーとの提携や外部から運用チームの獲得、また、常時検討している多様なインオーガニックを含めて、積極的に運用力の強化・拡充を行っています。
運用力開発を目的とした投資
野村グループでは、インハウス運用の競争力向上のため、新規運用戦略やプロダクト開発、社内運用人材の育成、運用トラックレコードの獲得、などを目的としたシード投資や、新規領域および未進出地域への進出などを目的としたR&D(研究開発)投資に、2023年11月末時点で約850億円の資金を投じています。今後、グローバル水準の運用力獲得に向けて、これらの運用力開発を目的とした投資額を1,000億円超まで拡大していきます。その中で、新たな取組みとして、これらの運用力開発を目的とした投資対象を、新興運用会社(いわゆるEmerging Manager)や新規に日本へ進出する外国運用会社、既存の運用会社や異業種パートナーとの新規分野での協業等に拡張し、新興運用会社の発掘・育成、外国運用会社の参入促進等による日本の資産運用業の高度化に寄与すると共に、運用力や商品提供力のさらなる強化につなげていきます。
人事・報酬体系
インベストメント・マネジメント部門傘下の運用会社においては、競争力があり、かつ、中長期の運用パフォーマンスと連動させることでお客様との利害が一致する報酬体系を採用しています。また、インベストメント・マネジメント部門の中核会社である野村アセットマネジメントでは、(1)専門性の高い人材育成に向けたコース別採用、(2)インハウスのアクティブ運用者の育成、(3)運用パフォーマンスに基づく評価の徹底(ペイ・フォー・パフォーマンス)、健全な競争環境の整備等の取組みを行っています。
プロダクトガバナンス強化
野村グループは、資産運用立国実現プランが目指す家計の安定的な資産形成の実現のためには、お客様の最善の利益に適った商品提供を確保するための枠組みであるプロダクトガバナンスが重要であると認識しており、継続的にその取組みを高度化しています。例えば、投資信託を設定する野村アセットマネジメントでは、以下の取組みを行っています。
- 資産運用に資するプロダクトやサービスのクオリティを一層向上させるため、専門部署や委員会を新設する等、プロダクトガバナンス体制を強化しました。
- 商品の組成、勧誘、償還までの各プロセスに対するガバナンスを強化するとともに、運用する公募投資信託についてのレビュー(ファンド・レビュー)を実施し、その結果やそれを踏まえた改善状況を「ファンド・レビュー・レポート」としてホームページ上で公開し、改善に向けた取組みの透明性を高めるとともに投資信託の運営・管理体制の向上を図っています。
- 投資信託を用いたポートフォリオ構築のための情報開示として、ホームページ上に自社の代表的な公募投資信託を役割別に分類した「コア」・「コアプラス」分類を公開しました。さらに、お客様から選ばれる運用会社となることを目指し、透明性を向上させるべく、グローバルな運用体制を開示しました。運用者の氏名だけでなく、運用において大切にしていることや投資家の皆様へのメッセージを開示することで、運用商品への信頼向上に努めています。
資産運用ビジネスに係る業務運営・ガバナンス体制の整備
野村グループでは、営業、インベストメント・マネジメント、ホールセールの3部門が横断的に連携し、世界約30の国や地域に展開するネットワークを通じて、国内外のお客様に付加価値の高い商品・サービスを提供しています。資産運用を託される者が負っているフィデューシャリー・デューティーを果たすため、業務運営・ガバナンス体制を適切に整備することは、野村グループの資産運用ビジネスにおける根幹を成すものです。そこで、野村グループは以下の体制整備を行っています。
- 広義のアセット・マネジメント・ビジネスを担うインベストメント・マネジメント部門は、投資信託の販売会社や運用資産の発注先ブローカーとなりうる野村證券を含めた他部門との兼務役職員はおらず、運用における独立性を確保し、利益相反を適切に管理する業務運営体制を構築しています。
- ガバナンスの観点では、当社が経営の監督と業務執行を分離し、取締役会から執行役へ業務執行権限を委任する指名委員会等設置会社であるのに加え、主要子会社である野村アセットマネジメントおよび野村證券は、監査等委員会設置会社としてそれぞれ独立社外取締役を選任した上で、ガバナンスの高度化に向けた取組みを行っています。野村アセットマネジメントでは独立社外取締役が取締役会議長および監査等委員長を務めています。
- 野村グループは、利益相反によってグループ各社のお客様の利益が不当に害されることを防止するため、利益相反管理方針を定めグループ内の利益相反のおそれのある取引を適切に管理しています。加えて、野村アセットマネジメントでは、利益相反管理を含めた投資信託の運営・管理状況を検証する機関として、独立社外取締役を含む業務執行から独立の立場にあるメンバーが過半数を占める「ファンド業務運営諮問会議」を設置しています。また、スチュワードシップ活動において発生する可能性のある利益相反を適切に管理するため、運用・調査関係者のみで構成される「責任投資委員会」を設置し、スチュワードシップ活動における方針の策定等を行うとともに、利益相反管理統括責任者と独立社外取締役を含む業務執行から独立の立場にある者のみによって構成される「責任投資諮問会議」を設けています。特に利益相反を伴う議決権行使等のスチュワードシップ活動については、利益相反によりお客様の利益が損なわれることなく意思決定されるよう監視しています。
野村グループは、これからも資産運用関連ビジネスを含めたグループ全体での業務運営・ガバナンス体制のさらなる高度化に継続的に取り組みます。