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「投資家はこう見ている―削減貢献量を企業価値向上につなげるには―」レポートを発行
2025年3月10日
野村ホールディングス株式会社
野村ホールディングス株式会社(代表執行役社長グループCEO:奥田健太郎、以下「当社」)は、このたび、「削減貢献量レポート 投資家はこう見ている―削減貢献量を企業価値向上につなげるには―」(以下「本レポート」)を発行しました。

脱炭素が求められる時代において、企業のGHG(温室効果ガス)排出量削減の取組みは、投資家が企業を分析し投資する際の重要な判断基準になっています。一方で、新たな評価基準として、企業による社会全体のGHG排出量削減への貢献を企業の課題解決力として評価する「削減貢献量」が注目されています。
削減貢献量については、国内企業(TOPIX500 構成企業)による開示率は15.8%と発展途上ではあるものの、2023年に開催されたG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合による共同声明で言及されるなど、国内外において普及に向けた取組みが進んでいます。
当社は、GXリーグ※1において100社以上が参画する 「GX経営促進ワーキング・グループ」※2(以下「本WG」)の幹事企業として、約3年間にわたり削減貢献量について議論をリードしてきました。その中で、削減貢献量の算定・開示を進めている事業会社より、投資家は削減貢献量をどう見ているのか、という質問が数多く寄せられたことを受け、削減貢献量が企業価値向上につながるのか、について投資家の視点でさまざまなアプローチにより分析し、本レポートをまとめました。事業会社および機関投資家を中心としたステークホルダーの皆様にご覧頂くことで、削減貢献量のさらなる普及が進むと考えています。
野村グループは、野村アセットマネジメントなどの投資家としての側面に加えて、投資銀行として事業会社をサポートする役割、さらにはリサーチ機能を持つコンテンツ・カンパニーなど、多様なビジネスを展開しています。本レポートでは、こうした多様な視点を活かして分析を行っています。
引き続き、当社はグループの総合力を生かして「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」というパーパスのもと、削減貢献量の普及、さらには社会全体の脱炭素化の実現に向けて貢献していきます。
※1 GXとは、「グリーントランスフォーメーション」の略。2050年カーボンニュートラルや、2030年の国としての温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた取組みを経済の成長の機会と捉え、排出削減と産業競争力の向上の実現に向けた、経済社会システム全体の変革を行うことを指す。 2022年2月1日に経済産業省 産業技術環境局が「GXリーグ基本構想」を発表し、GXヘの挑戦を行い、現在および未来社会における持続的な成長実現を目指す企業が同様の取組みを行う企業・官・学と共に協働する場として「GXリーグ」を設立。
※2 2022年9月30日付ニュースリリース「GXリーグにおける『GX経営促進ワーキング・グループ』の設立と幹事企業就任について」を参照。
【ご参考】本レポート各章の概要
寄稿:経済産業省、GX推進機構
1章:GX経営促進ワーキング・グループにおける取り組み-削減貢献量の推進に向けた3年間の歩み
本WGの3年間にわたる取組みとメンバー企業との議論にもとづいて策定した成果物について紹介しています。セクターが異なる100社以上からなる本WGだからこそ実現できたことに加えて、その多様性ゆえに難航した合意形成への道のりや、脱ガラパゴス化を目指してどのようにグローバルなイニシアチブとの連携を実現したのか等、幹事企業としての経験をお伝えします。
2章:削減貢献量、企業価値とリンクするか?
削減貢献量の概要および、削減貢献量に関するガイダンスの現況、算出のメソドロジー等を紹介した上で、削減貢献量と企業価値との関係性を考察しています。企業のGHG排出量削減に向けた革新技術の開発、新たな取組みを適切に評価する上で、削減貢献量の概念が重要であると述べています。
3章:投資家としての活用意義と活用方法-当社ポートフォリオにおけるファイナンスド・削減貢献量の算出
資産運用会社という投資家の視点で、野村アセットマネジメントが企業評価に削減貢献量をどのように活用しているかを紹介するとともに、エンゲージメントツールとしての重要性などを述べています。また、気候変動の機会を定量的に把握することを目的として、野村アセットマネジメントの運用資産(国内株式)の「ファイナンスド・削減貢献量」を今回初めて試算しています。
4章:削減貢献量を用いた定量分析
機関投資家向けに投資戦略を立案するポートフォリオ・ストラテジストの視点で削減貢献量を開示している企業の株価動向を分析しています。また、機関投資家の広範囲な利用を見込むために、削減貢献量開示について望まれる改善点を示しています。
5章:GHG排出量(Scope1+2、Scope3)削減と企業価値-GHGインパクトを活用した企業価値向上戦略
企業価値評価を専門とするクオンツ・リサーチャーの視点からGHG排出量(Scope1,2,3)が企業価値に与える影響を分析しています。「売上高当りScope1+2」が大きい「多排出セクター」による自社排出量の削減(ネガティブ・インパクトの低減)が企業価値向上に資する点と、「売上高当りScope3」が大きい「サプライチェーン排出依存セクター」によるサプライチェーン全体のGHG削減貢献量の拡大(ポジティブ・インパクトの拡大)が企業価値向上に資する点について、分析結果にもとづいて述べています。