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ISS社レポートに対する当社の見解について

2025年6月4日

野村ホールディングス株式会社

野村ホールディングス株式会社(代表執行役社長 グループCEO:奥田健太郎、以下「当社」)が2025年6月24日開催予定の当社第121回定時株主総会に付議する「第1号議案 取締役12名選任の件」に対して、議決権行使助言会社のInstitutional Shareholder Services, Inc. (インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ社、以下「ISS社」)が永井浩二および奥田健太郎の両氏の重任に反対推奨するレポートを発行しました。
つきましては、下記のとおり、指名委員会※1(委員長:大島卓氏(社外取締役))による当社の見解※2を記させていただきます。株主の皆様におかれましては、当社定時株主総会招集ご通知および本内容を今一度ご一読いただき、改めて当該議案へのご理解を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

※1 指名委員会等設置会社である当社の取締役候補者の決定は、指名委員会においてこれを行っています。なお、永井浩二氏は指名委員および報酬委員を務めていますが、コーポレート・ガバナンスのさらなる高度化を企図し、本総会終結の時をもって同氏は各委員を退任し、本総会終了後は指名委員会および報酬委員会の構成員をすべて社外取締役とする予定です。
※2 利害関係を有する永井浩二氏は、下記2.の見解形成に加わっておりません。

1. ISS社の見解

ISS社は、一連の事案※3を踏まえ、今回、永井浩二および奥田健太郎の両氏の重任に反対推奨を行っています。

※3 当社子会社の野村證券株式会社は、2021年3月の国債先物取引において法令違反に該当する事実が認められたとして、2024年10月に金融庁より課徴金納付命令を受けました(以下「事案1」)※4
同年10月、野村證券株式会社の元社員が広島県警察により逮捕され、同年11月に広島地方検察庁により起訴されました※5。また、2025年2月、同社の元社員が警視庁により逮捕されました(両元社員事案あわせて、以下「事案2」)※6
※4 詳細につきましては、2024年10月31日付リリース「証券取引等監視委員会による勧告事案にかかる再発防止策について」をご参照ください。
※5 詳細につきましては、2024年12月3日付リリース「当社元社員の起訴を受けてのお詫びと対応策について」をご参照ください。
※6 詳細につきましては、2025年2月6日付リリース「当社元社員の逮捕と継続的な対応策の実施について」をご参照ください。

2. 当社の見解

まず、一連の事案により、お客様および株主の皆様をはじめ、広く社会の皆様にご迷惑・ご心配をおかけしたことにつきましては、当社としても重く受け止めています。

その上で、当社といたしましては、これまでの取締役会の活動等を踏まえ、永井浩二および奥田健太郎の両氏が当社の取締役会を構成するメンバーとしてふさわしい人材であると考え、指名委員会において議論を尽くし、取締役候補者を決定しています。主な根拠は以下のとおりです。

(1) 事案への適切な対応

一連の事案を受け、役員報酬の自主返上の申し出があり、報酬委員会が報酬の減額を決議し、また、取締役会による監督のもと、経営陣は以下のとおり対応しています※7

事案1につきましては、国債先物取引(自己勘定)に従事していた野村證券株式会社の社員1名による2021年3月9日の取引に起因するものであり、当該取引以降、国債先物取引業務の見直し等に取り組んでいましたが、上記命令を受け、野村證券株式会社は、フロントにおける再発防止策(第1の防衛線)、コンプライアンスにおける再発防止策(第2の防衛線)および内部監査部署による検証(第3の防衛線)等から構成される再発防止策を策定の上、実行に移しています。なお、当該再発防止策の一環として、モニタリング態勢高度化のための新組織を設立しましたが、その後、既存組織の通常業務に移行し定着化する等、当該対応は順調に進捗しています。
事案2につきましては、野村證券株式会社は、業務改革推進委員会の設置、「お客様のご自宅への訪問」に関する監督強化、社員の業務活動におけるモニタリング強化および不正検知のために社員が職場から一定期間離れる制度のウェルス・マネジメント部門への拡大等から構成される対応策を定め、実行に移しています。なお、当該対応策の十分性に関して外部専門家による評価を受け、再発防止に向けた土台の整備が進捗していることを確認し、識別された課題について助言を受ける等、実効性ある再発防止に努めています。

また、上記事項に際し、両氏は以下の対応を行っています。
永井浩二氏は、これまで長年にわたり野村グループの業務に携わってきた経験を存分に発揮し、取締役会の議長(非業務執行)として、両事案に係る効果的かつ効率的な監督を主導しています。
奥田健太郎氏は、執行役を兼務する取締役として、事案1につきましては法令遵守体制および内部管理体制のより一層の強化・充実等に向けた再発防止策の策定・実行、事案2につきましてはお客様に安心して野村證券株式会社のサービスをご利用いただくべく、業務改革推進委員会の設置等、厳格かつ実効性を高めた対応策の策定・実行をそれぞれリードしています。

※7 各事案の再発防止策・対応策と進捗状況等の詳細につきましては、当社プレゼンテーション資料「野村グループのガバナンスへの取り組み」をご参照ください。

(2) 好調な業績および中長期的な経営ビジョン達成に向けた着実な前進

2025年3月期決算は、安定収益の拡大やホールセール部門収益の多様化、コスト・コントロール等、中長期的な取組みを着実に進めた結果、当期純利益は3,407億円と過去最高となりました。ROEは10.0%に達し、設定した目標水準を達成しています。また、その結果、2025年3月期の一株当たり配当額は、創立100周年記念配当も含めて、過去最高の年間57円としています。なお、上記の一連の事案による業績への影響は軽微にとどまっています。
また、先日発表した、豪マッコーリー・グループの米国資産運用会社の全株式取得※8は、2030年に向けた経営ビジョン「Reaching for Sustainable Growth」を達成するため、インベストメント・マネジメント部門の運用資産残高および収益規模の拡大とともに、米国でのプレゼンス向上を目指す戦略的な取組みの一環です。
このように、これまで奥田健太郎氏を中心として進めてきた「パブリックに加え、プライベート領域の拡大・強化」という戦略のもと、(1) 日本のフランチャイズを活かしたグローバル戦略の深化、(2) 安定収益の飛躍的な成長、(3) 「プラットフォーム」提供戦略のさらなる推進、という野村グループの経営の注力テーマが着実に実を結び、中長期的な経営ビジョンを達成するための基盤が確立しつつある当社状況に鑑みて、現経営体制を維持することが株主の皆様の利益にかなうものと考えます。

※8 詳細につきましては、2025年4月22日付リリース「マッコーリー・グループの米国資産運用会社の全株式取得で合意」をご参照ください。

(3) 適切な取締役会構成および実効的な取締役会運営への寄与

当社の取締役会は、取締役候補者12名のうち各分野に精通した社外取締役候補者が8名を占め、また、社内出身の取締役候補者4名のうち2名が非業務執行であり、社外取締役候補者とあわせて非業務執行の取締役候補者は12名中10名に達する構成となっています。
このような構成の取締役会において、永井浩二氏は、これまでの長年の経験から野村グループの業務および証券業界のプラクティスに精通しており、取締役会の議長(非業務執行)として、取締役会の議論の質を高め、取締役会を効果的かつ効率的に運営することに加え、自らも執行に対して問題提起を行うなどの重要な役割を果たしています。また、奥田健太郎氏は、執行のトップを兼ねる取締役として、当社の業務執行に係る重要事項の取締役会への報告や取締役会において提起された課題の執行への円滑な連携および適切な対応の実施等を通じて、取締役会が当社の業務執行の状況を把握することを容易にし、もって取締役会の経営監督の実効性確保に資する、言わば、経営の監督が中心的な役割である取締役会と執行との橋渡し役としての重要な役割を果たしています。
なお、直近実施した、取締役会の実効性に関する第三者評価において、当社の取締役会構成の多様性、各取締役の深い知見・専門性および適切な議事運営、能動的な各委員会活動の実施について高い水準の評価を受けています。また、2024年度に実施した実効性評価においても、グループ企業価値向上への貢献、取締役会の多様な人員構成および議題選定・報告の効率化による審議充実の取組み等について評価する意見を多く受領する等、引き続き、全体として高い水準の評価を維持しています。

以上のとおり、当社といたしましては、引き続き、両氏が取締役としてそれぞれの立場から諸施策等を強力に推進することが、当社のさらなる企業価値の向上に必要不可欠と考えます。

なお、ご参考までに、同じく議決権行使助言会社のGlass, Lewis & Co., LLC(グラスルイスLLC)は両氏の重任に対して賛成推奨を行っており、その主な要因として、上記の各事案はあくまで元社員個人の行動によるものであり、組織的な問題や関与等は認められないこと、および再発防止策・対応策の策定・実行や役員報酬の自主返上等を通じて一定の責任を果たしていること、を挙げておりますことを申し添えます。

【ご参考】

永井浩二氏の略歴

1981年4月 当社入社
2003年4月 野村證券株式会社取締役
2003年6月 同社執行役
2007年4月 同社常務執行役
2008年10月 同社常務(執行役員)
2009年4月 同社執行役兼専務(執行役員)
2011年4月 同社Co-COO兼執行役副社長
2012年4月 当社執行役員(兼 野村證券株式会社取締役兼代表執行役社長)
2012年8月 当社代表執行役グループCEO(兼 野村證券株式会社取締役兼代表執行役社長)
2013年6月 当社取締役兼代表執行役グループCEO(兼 野村證券株式会社取締役兼代表執行役社長)
2017年4月 当社取締役兼代表執行役社長グループCEO(兼 野村證券株式会社取締役会長)
2020年4月 当社取締役会長(兼 野村證券株式会社取締役会長)(現任)

奥田健太郎氏の略歴

1987年4月 当社入社
2010年4月 野村證券株式会社執行役員
2012年4月 同社常務(執行役員)
2012年8月 当社常務(執行役員)(兼 野村證券株式会社常務(執行役員))
2013年4月 当社執行役員(兼 野村證券株式会社常務(執行役員))
2015年4月 当社執行役員(兼 野村證券株式会社専務(執行役員))
2016年4月 当社執行役員(兼 野村證券株式会社執行役兼専務(執行役員))
2017年4月 当社執行役員(兼 野村證券株式会社専務(執行役員))
2018年4月 当社執行役グループCo-COO(兼 野村證券株式会社取締役兼執行役副社長)
2019年4月 当社執行役副社長グループCo-COO
2020年4月 当社代表執行役社長グループCEO(兼 野村證券株式会社代表取締役)
2020年6月 当社取締役兼代表執行役社長グループCEO(兼 野村證券株式会社代表取締役)
2021年6月 当社取締役兼代表執行役社長グループCEO(兼 野村證券株式会社代表取締役社長)(現任)