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証券取引等監視委員会による勧告事案にかかる再発防止策について

2024年10月31日

野村證券株式会社

野村證券株式会社(以下「当社」)は、2024年10月31日付ニュースリリース「野村證券に対する金融庁による課徴金納付命令について」で開示しましたとおり、2021年3月の国債先物取引において法令違反に該当する事実が認められたとして、金融庁より課徴金納付命令(2,176万円)を受け、本日これを納付いたしました。

当社は、当該取引以降、国債先物取引業務の見直し等に取り組むとともに再発防止策を検討してまいりましたが、このたび、下記のとおり取りまとめました。

今後は、再発防止策を着実に実行することにより、法令遵守体制および内部管理体制のより一層の強化・充実を図り、再発の防止と信頼の回復に努めてまいります。

事案の概要

当社の自己勘定取引に従事していた社員1名が、2021年3月9日午前8時45分49秒頃から同日午後2時16分59秒頃までの間、大阪取引所において、長期国債先物の最良売り気配あるいはこれに劣後する価格に複数の売り注文を重層的に入れて売り板を厚くした上で、同先物を下値で買い付け、又は、最良買い気配あるいはこれに劣後する価格に複数の買い注文を重層的に入れて買い板を厚くした上で、同先物を上値で売り付けることを交互に繰り返すなどの方法により、合計2,466単位の売付けの申込みを行うとともに合計462単位を買い付ける一方、合計1,619単位の買付けの申込みを行うとともに合計462単位を売り付けるなどし、もって、自己の計算において、同先物の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、大阪取引所における同先物の相場を変動させるべき一連の市場デリバティブ取引およびその申込みをしたものです。

本事案発生に係る原因等

当社では、高いレベルでのコンプライアンス・リスク管理の実現を当社の業務を支える重要な基盤と考え、人事評価にERCC(職業倫理、リスク管理、コンプライアンスおよびコンダクト)レーティングを導入すること等、内部管理体制の強化に取り組んでまいりました。
具体的には、すべての役職員が能動的にリスク管理に取り組む方針のもと、フロント部署(1線)、コンプライアンス関連部署(2線)、内部監査部署(3線)それぞれが責任を果たす三線管理のリスク管理体制を設けております。

過去の他社事案などを踏まえて管理体制の強化を行っておりましたが、本事案発生の原因につきまして、以下の点に十分ではない点があったと認識しております。

再発防止に関する取組み

上記の原因をふまえ、以下のような再発防止策を実施してまいります。

フロントにおける再発防止策

(1)トレーダーに対する意識付けの徹底
フロントにおいては、従前より過去事例を題材にするなどして不公正取引に関する研修を継続的に行っております。本事案の発生を受け、国債先物を通常取引として扱うトレーダー全員に対し、改めて研修を行いました。また、今後も、相場操縦取引を含めた不公正取引について、より一段深く理解をさせ高い意識を持たせるため、継続して研修を行ってまいります。
加えて、新たにコンプライアンスを交えたミーティングを定期的に開催し、不公正取引類型の共有や参加者間での議論を行い、一層の深い理解を浸透させます。
また、これまでもコンダクトを人事評価項目に組み込んでまいりましたが、人事・コンプライアンスの関与を深め、さらなる高度化に取り組んでまいります。

(2)フロントにおける売買管理体制の強化
国債先物を主に扱う部署においては、各トレーダーの上席者が主に市場リスクの観点で取引状況をモニタリングしておりましたが、それに加え、国債先物の個々の発注・取消態様のモニタリングも開始し、フロントでの売買管理体制を強化しました。具体的には、取引時間帯において見せ玉などの疑わしい取引がないかをシステム上で随時確認するとともに、取引時間の終了後にも発注・取消の履歴等を各トレーダーの上席者が事後確認する運用を開始しました。フロント・オフィス・スーパービジョン(FOS)の枠組みの中で事後確認が適切に行われるよう追跡し、モニタリング状況をレビューすることで、フロントでの売買管理の確実な運営を担保します。

コンプライアンスにおける再発防止策

本件取引当時の当社の売買審査システムにおいては、一定の数量を超える注文の取消しは抽出されるものの、本件取引のような重層的な一連の取引を抽出して確認できるような仕様にはなっておりませんでした。当該売買審査システムについては、すでに改修を行い、本件取引のような重層的な見せ玉形態の発注・取消状況を検知し確認できるようになっております。その後、かかる形態の発注・取消状況は検知されておりません。今後も売買審査システムを含む監視、監督機能等について、自社だけでなく外部の視点も取り入れながら改善するなど、不断の見直しを行います。
また、フロントとコンプライアンスとの間で、取引のモニタリングに関して定期的なコミュニケーションを拡充し、双方の観点からの課題と問題意識を共有することとし、さらなる監視、監督機能の高度化に取り組んでまいります。

内部監査部署による検証

再発防止策の進捗にあわせてインターナル・オーディットによる検証を実施し、1線や2線におけるその運用状況や有効性等を確認してまいります。また、野村グループの統制環境の向上のため、内部監査プログラム等のさらなる高度化に向けて取り組んでまいります。

新組織の設立

上記の再発防止策を踏まえ、フロントおよびコンプライアンスにおける施策の早期実施を担保することに加え、モニタリング態勢を主導的に高度化させていくための新部署として「グローバル・マーケッツ・サーベイランス企画部」を設立いたしました。
新部署では、前述したフロントおよびコンプライアンスの再発防止に向けた取組みに関し、各取組みの実施状況の確認や、客観的な視点での実効性の検証を行います。また、モニタリング態勢の高度化をはたすべく、主要国の規制環境の動向や外部知見の収集・分析等を通じて特定された諸課題に対する対応策の策定・見直し等を行うとともに、これらを継続して実践することができる人材育成、組織運営を行います。

法令遵守の徹底に向けた経営陣の取組み

2024年4月、野村グループのパーパス「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」が策定されました。当社におけるパーパスの浸透・実践に向けた取組みにおいて、健全な金融資本市場の育成への当社グループの責任についてテーマとして取り上げ、すべての役員および社員に浸透を図ってまいります。
また、定期的にすべての役員および社員向けに行っているコンプライアンス・コンダクト研修で本事案を取り上げ、問題点の共有を行い、市場の公正性・公平性を確保することが証券会社の基本であるという認識向上を図り、市場の健全性の確保をテーマとして業務上注意すべき点を再確認させてまいります。その際、既存の価値観にとらわれることなく、外部環境等の変化を捉え、自らの常識を疑うことや内省する姿勢の徹底を一層強く意識させ、証券会社のあるべき価値観・行動規範をさらに深く浸透させてまいります。

役職員の責任の明確化

本事案に関し、以下のとおり役員報酬の自主返上の申し出がありました。

(発生時は2021年3月9日、勧告時は2024年9月25日時点)

発生時:代表取締役社長 自主返納
20%×2か月
勧告時:代表取締役社長 報酬の一部返上
20%×2か月
発生時:取締役専務 グローバル・マーケッツ担当
勧告時:代表取締役副社長
報酬の一部返上
20%×2か月
勧告時:常務 グローバル・マーケッツ ジャパン・ヘッド 報酬の一部返上
10%×2か月
発生時:執行役員 グローバル・マーケッツ担当
勧告時:同上
報酬の一部返上
20%×2か月
発生時:代表取締役副社長 コンプライアンス・リーガル管掌、内部管理統括責任者 報酬の一部返上
10%×2か月
勧告時:常務 コンプライアンス・リーガル管掌 報酬の一部返上
10%×2か月
発生時:執行役員 コンプライアンス本部担当
勧告時:代表取締役常務 コンプライアンス本部担当、内部管理統括責任者
報酬の一部返上
20%×2か月

行為者およびその管理者については、社内規程に基づき厳正に処分を行いました。

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