メタバースが実現するサステナブルな社会

AIは脳科学や神経科学を理論基盤として、コンピュータの処理能力が向上したこと、ビッグデータが大量に集積されたことによって、2010年代には人間を上回る画像認識精度の達成、教師無し学習の実用化など大きな進歩を遂げました。
そして、これから数年以内に、メタバースを起点に半導体関連市場が大きな技術進化を遂げると野村では考えています。メタバースによるバリアフリー社会の実現も、遠い未来の話ではないかもしれません。

そもそもメタバースとは?

メタバースの定義について、まだ統一した見解は存在していません。日本バーチャルリアリティ学会では、2011年に次の4要件を備えたものをメタバースと定義しています。

  • 3次元のシミュレーション空間を持つ
  • 自己投射性のあるアバターが存在する、
  • 複数アバターが同一の三次元空間を共有することができる
  • 空間内にオブジェクトを創造することができる

さらに、経済性、没入性、アクセス性を加えた7要件をメタバースの必須要件とする考え方も提唱されています。

AIを応用して脳科学に大きな進展

進化したAI技術が脳科学及び応用領域にも進歩をもたらしています。実用化に近いもののなかには、たとえば、被験者がさまざまな言葉を発している時の脳波を測定し、そのデータをAIで解析することで、脳波から文章を高い精度で書き起こす文章生成システム、そして、被験者の夢の内容と、その時の脳波を記録しAIで解析することで、どのような夢を見ているのかを推定するシステムがあげられます。

第三の勢力の参入で、さらなるAIと脳科学の進化がもたらされる

アカデミアの世界でAIと脳科学の知見が融合し、大きな成果を出してきましたが、今後はゲームプログラマが本格的に参入。脳科学の知見をメタバースゲームに応用することで、ブレインマシンインタフェイス(BMI)が大きな進化を遂げ、頭の中で考えるだけで、機器の操作、メッセージの入力、アバターの操作ができるようになると期待されます。

BMIの進化によってメタバースが招来する理想社会がさらに豊かに

BMIの実用化は、病気などで寝たきりや言葉を発せなくなった患者などが、周囲の人間と意思疎通する道を開くものと期待されています。BMIによって記憶障害、難聴、抑うつ、不眠、依存症、脳卒中、麻痺、発作など、神経疾患の解決を目指すスタートアップ企業も出てきました。さらにBMIが進化し、味覚、触覚、嗅覚を脳内で再現することが可能になれば、よりリアリティの高い体験を提供することもできます。
またメタバースは、障がい者や高齢者の社会活動への参加ハードルを下げることから、バリアフリー社会の構築に有効な技術だと考えられています。さまざまな社会課題解決への期待がメタバースに寄せられ、この世界が今後大きく発展していく可能性があります。

野村リサーチレポート「メタバースと半導体製造装置業界」(2022年3月)より

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