林 宏美
- 米国証券取引委員会(SEC)は、2025年4月14日、環境面のサステナビリティに焦点を当てた米国初の証券取引所となるグリーン・インパクト証券取引所(GIX)の新設を承認した。ニューヨーク証券取引所(NYSE)やNasdaq、Cboeという三大証券取引所グループに属さない第三極の証券取引所として6つ目となるGIXは、米国金融業規制機構(FINRA)の承認を経て、2026年の早い段階で取引を開始する方針である。
- GIXの方針は、親会社で、自社の経済的利益に加えて、様々なステークホルダーの利益にも配慮する会社形態をとるグリーン・エクスチェンジ・パブリック・ベネフィット・コーポレーション(GEPBC)のミッションに直結している。
- GIXへの上場は、重複上場のみとされており、上場時点で、NYSEやNasdaqといった他の取引所への上場が不可欠となる。GIX上場企業は、自社が掲げた環境面のサステナビリティ目標(短期、中期、長期)、同目標達成に向けた取り組みの進捗状況、そうした取り組みを促すガバナンス体制等の開示が求められる。なお、取引システムは第三極の証券取引所の一つであるメンバーズ取引所(MEMX)のシステムを利用する。
- GIXに環境面のサステナビリティを志向する企業が集結すれば、そうした企業と同様な志向をする投資家とを結ぶ場としてGIXの意義を見出せる。もっとも、GIXと類似した構想で、長期志向の企業と同様な投資家を結ぶ場として設立されたロングターム証券取引所(LTSE)の実績が伸びていない点に鑑みると、その先行きに楽観的な見通しは立てにくいであろう。