林 宏美
- 自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は、2024年10月に開催された生物多様性条約第16回締約国会議(CBD-COP16)において、企業や金融機関のTNFD提言に基づく開示準備を支援するため、オープンアクセスの自然関連データプラットフォーム(NDPF)構想を打ち出した。TNFD提言に則した開示では、経営陣の役割などの定性面に加えて、自然関連データを利用した定量的な評価も求められているが、現状、質の高いデータの収集には様々な課題がある。
- NDPFの対象は、(1)TNFD提言に則した開示、(2)科学に基づく目標ネットワーク(SBTN)が開発した手法を参照した自然関連の目標設定、(3)TNFDが提示したガイダンス案に則した自然移行計画の構築等を行うために、企業や金融機関が必要とするデータである。NDPFで取得できるデータは、信頼性を確保するべく、プリンシプルベース・アプローチに基づく一連のデータ原則を満たすことが求められる。
- TNFDは、2025年に実施するNDPFベータ版のパイロットテスト結果を踏まえて、新たにNDPFを構築して自然関連データへのオープンアクセスを長期的に可能とする環境を整備するのか、或いは、既存のデータプラットフォームをアップグレードするのか、について最終判断をする方針である。
- 多種多様な自然関連データが乱立するなかで、NDPFを構築することは、データの標準化や自然関連開示の後押しにつながる。その一方で、NDPF実装には相当な時間を要すること、NDPFの持続的な運営に必要な資金調達、有償データサービスとの線引きなど課題も少なくない。