江夏 あかね

要約

  1. 政府は2025年6月13日、「地方創生2.0基本構想」(以下、基本構想)を閣議決定した。基本構想では、地方創生2.0の目指す姿として14個の定量的な目標が掲げられるとともに、政策の5本柱が示された。また、国の役割の1つとして、「地域等における課題解決と企業価値向上を目指す企業への投資(インパクト投資)の担い手育成と実践の後押しを行う」と挙げられた。
  2. 日本で2009年から続く総人口の減少や急速な少子高齢化は、経済・社会面において様々な困難をもたらす可能性がある。基本構想にも示された施策を通じて、人口規模が縮小しても経済成長し、社会が機能する未来、すなわち「地方創生2.0」を実現することが、国としての日本の持続可能性において不可欠であることは言うまでもない。
  3. 国・地方公共団体のリソースに限りがあることに鑑みると、地域の多様なステークホルダーも「地方創生2.0」の実現に向けて大切な役割を果たすと想定されるとともに、インパクト投資の活用も地域課題解決の一助になり得ると考えられる。
  4. 「地方創生2.0」の実現に資するインパクト投資の推進に向けた主な論点としては、(1)ニーズに基づくインパクト投資の推進、(2)複数地域による協働の模索、(3)地域課題に関するデータの拡充、が挙げられる。
  5. 特に、各地域が抱える課題で行政が担うことが難しい分野を改めて特定し、その分野を中心にインパクト投資を推進することで、地域課題対応(=インパクトの創出)と(地域における)インパクト投資の発展という2つのメリットの発現を期待することが可能になると考えられる。