西山 賢吾

要約

  1. 2025年6月に開催された株主総会では、経営トップの取締役選任議案否決や、特別決議が要件である株主提案可決など、耳目を集める事例が見られた。とはいえ、Russell/Nomura Large インデックス構成企業ベース(196社)の結果を見ると、機関投資家の議決権基準が厳格化しているにもかかわらず、取締役選任議案を中心に多くの会社側議案の平均賛成率が前年を上回っており、基準厳格化への対応が順調に進んでいることを示した。
  2. 株主提案については、上程企業数、議案数とも前年を上回った。しかし、昨年に続き平均賛成率の低下及び賛成率が10%未満となった企業の割合の上昇が見られ、株主提案の内容の「質」が一段と低下しているように見える。
  3. 2026年以降の機関投資家による議決権行使基準改定において検討が進められるものとしては、(1)ROE(自己資本利益率)基準の引き上げ(主として8%)、(2)女性取締役の選任拡大(主として取締役会に占める女性取締役の割合10%以上など)、(3)社外取締役の選任割合(支配株主が存在しない企業に対しても取締役の過半の独立社外取締役を要請)、(4)社外取締役の独立性判断基準の一つとなる兼任社数の設定、(5)政策保有株式に関する数値基準の厳格化、などが挙げられる。
  4. 議決権行使基準の厳格化とともに、企業価値向上の観点から企業・投資家間での対話が活発化、高度化することにより、両者の認識ギャップの縮小が期待される。そのためには、企業・投資家間の双方から対話の内容や、対話を受けての今後の方針、対応といった情報の積極的な開示や説明も併せて求められる。特に機関投資家では「エンゲージメントとエスカレーション」の重要性が高まることが見込まれる。