江夏 あかね

要約

  1. オレンジボンドは、端的には持続可能な開発目標(SDGs)の5番にも謳われているジェンダー平等を実現するためのプロジェクトに充当すべく発行する債券を指しており、オレンジ色は、SDGsの5番の色に由来している。
  2. オレンジボンドは、シンガポールの企業であるImpact Investment Exchange(IIX)が同社設立の特別目的事業体(WLB Asset II D Pte. Ltd.)を通じて2022年12月に発行したのが世界初、日本では伊藤忠商事が2025年9月に国内初の起債を行った。世界では2025年10月末時点で、10銘柄のオレンジボンドが存在するとみられる。
  3. 日本では、2009年から総人口の減少や急速な少子高齢化が進んでおり、女性や高齢者も含めた労働力確保に向けて、ジェンダー平等の実現等を目的として様々な取り組みが進められてきた。しかしながら、世界経済フォーラム(WEF)によると、日本のジェンダーギャップ指数(2025年)は118位とG7の中で最も低い水準となっている。
  4. 日本の金融市場でも、ジェンダー平等の実現に資する取り組みや金融商品はこれまでも見られてきた。しかし、今般、日本にも登場したオレンジボンドは、資金使途を日本のジェンダー課題解決に限定することも可能といった意味で、新規性があり、注目に値する。今後、日本にとってオレンジボンドが意義のある金融商品になるためには、発行額の蓄積や発行体の多様化のみならず、インパクトを確実に創出し、ジェンダー課題の解決に真に貢献していくことが大切と言える。