江夏 あかね
- 日本ではこれまで、2012年10月に施行された「地球温暖化対策のための税」(温対税)を始めとして、東京都及び埼玉県による排出量取引制度、証書・クレジット制度としてJ-クレジット、二国間クレジット制度(JCM)及び非化石証書といった複数のカーボンプライシング制度が導入されてきた。これらの制度は、企業等の脱炭素化に向けた意識向上、脱炭素投資の喚起に加え、国際協力への貢献等に一定の効果があったと評価される。
- 2026年度から排出量取引制度(GX〔グリーン・トランスフォーメーション〕-ETS)が本格稼働予定となっている。GX-ETSが既存のカーボンプライシング制度との相乗効果を創出するための注目点としては、(1)既存の制度との連携・調整、(2)カーボン・クレジット市場の質や透明性の確保、(3)日本のカーボンプライシング制度全体での適切な価格水準の形成や制度の最適化、が挙げられる。
- 特に、カーボンプライシングには企業の排出削減を促すといった効果が期待できる一方、二酸化炭素(CO2)排出に伴うコストが過度に高まれば、企業の生産活動に影響を及ぼし、日本の産業界の国際競争力の低下につながりかねない。その意味で、個々の制度のみならず、制度全体におけるプラスとマイナスの影響を定期的に検証し、適切な価格水準の形成や制度の最適化を図ることが、脱炭素化を進める上で重要になると言える。