江夏 あかね
- 世界各国・地域では近年、環境目的に資する経済活動を示すタクソノミー(分類枠組み)を策定する動きが観察されてきたが、2025年に入って各国・地域における対応の多様化が見られる。オーストラリアでは2025年6月にサステナブルファイナンス・タクソノミーが公表された一方、英国では同年7月、政府がグリーンタクソノミーの開発中止を発表した。
- オーストラリアのサステナブルファイナンス・タクソノミーについては、同国の産業事情等を踏まえて鉱業や農業等のセクターが対象とされたほか、グリーンとトランジションの2つの分類が示されたことが大きな特徴と言える。英国のグリーンタクソノミーについては、開発中止となったが、同国が環境目標の達成に引き続きコミットするとともに、ネットゼロ経済への世界的な移行と自然再生への投資を加速させるのに役立つべく、最善の政策を検討していく旨が明らかにされた。
- オーストラリアと英国は、タクソノミーについて対照的な道筋を選択したものの、ネットゼロ経済への移行(トランジション)をファイナンスや開示を通じて進めていくといったスタンスは共通していると解釈される。
- 世界のトランジションボンドの国別発行残高(2025年6月末時点、ブルームバーグのデータベースに基づく)を見ると、英国については全体の約3%、オーストラリアは実績がない状況である。両国においては、グリーンボンドを始めとして持続可能な開発目標(SDGs)に資する債券の発行は行われているものの、今後、タクソノミーをめぐる対応等も通じて、両国におけるトランジションファイナンスの活性化や、多排出産業も含めた発行体の多様化につながるのかが注目される。