江夏 あかね
- 移行計画は、端的には、脱炭素化に向けて温室効果ガス(GHG)排出量をどのように削減していくか、事業を移行していくかといった道筋を示すものである。近年は、金融機関や投資家が投融資に当たって移行計画を活用する傾向が見られている。
- 世界では、2020年代に入って気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による移行計画に関するガイダンス、英国の移行計画タスクフォース(TPT)による開示フレームワーク、国際会計基準(IFRS)財団が設置した国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)による気候移行計画ガイダンス等も後押しする形で企業による移行計画の策定・公表が進みつつあり、移行計画の開示を義務化している国・地域もある。
- 日本では、移行計画は、発行体や投資家により、脱炭素の取り組みの透明性・信頼性を高めるツールとして認識されているものの、開示内容にばらつきがあり、企業間での比較可能性が欠如している等の課題も指摘されている。
- 移行計画は、トランジション・ファイナンスの基軸として機能するポテンシャルが期待される。移行計画に関する今後の論点としては、(1)利用者にとっての有用性の確保・向上、(2)円滑かつ確実な移行を後押しする伴走者としての活用、(3)策定・開示も通じた企業価値向上、が挙げられる。