投資家と企業との対話ガイドラインの策定とCGコードの改訂

野村資本市場研究所 西山 賢吾

要約

  1. 我が国のコーポレートガバナンス改革はここまで一定の成果を上げているが、その水準をさらに高める上で残されている課題に対応するため、2018年6月1日、『投資家と企業との対話ガイドライン』が策定、公表されるとともに、コーポレートガバナンス・コードの改訂が実施された。
  2. 今回のガイドラインとコードの改訂で最も注目されるのは、『資本コストの的確な把握』であろう。今回資本コストの定義や明確な計算方法は示されていないが、重要なことは、資本コストの算出そのものに終始するのではなく、資本コストの計算に用いた各種数値の採用根拠やその背景にある中長期的な経営ビジョンを示し、投資家との対話を深めることである。
  3. 資本コストと並び注目される政策保有株式に関しては、保有すべきではないという意見と、合理性があれば一定量の保有を容認する意見がある。しかし、今回の対話ガイドラインの制定やコードの改訂により、保有の合理性に対し従来以上に納得感のある説明が求められると考えられるため、保有の合理性に乏しい株式の売却を求める声はさらに強まるであろう。
  4. 我が国企業ではコードの各原則について、まず遵守ありきという考えを持つ上場企業が少なくないように見えるが、具体的な対応をせず形式的な遵守に留まるよりは、明確な理由を説明した上で受け入れない原則があるという対応の方が望ましいと考えられる。さらに、これからは「コンプライ・オア・エクスプレイン」ベースから、原則受け入れの諾否にかかわらず企業の姿勢を主体的、かつ明確に示す「コンプライ・アンド・エクスプレイン」ベースでの対応が期待される。
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