機関投資家が注目し始めた気候関連財務情報
-ESG投資拡大に伴い重要性が高まる積極開示-

野村資本市場研究所 板津 直孝

要約

  1. 金融安定理事会(FSB)が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、2017年6月、最終報告書を公表し、投資家やその他のステークホルダーが、重要な気候関連のリスク及び機会が企業にもたらす財務インパクトを理解する上で、有用な情報開示の枠組みを提言した。その後の1年間で、欧米の機関投資家は気候関連の情報開示に対する関心を着実に高めており、日本企業が注視すべき状況になっている。
  2. 背景には、世界各国で拡大し始めたESG(環境、社会、企業投資)投資がある。欧米の機関投資家の多くは、気候変動をポートフォリオの重要なリスク要因に位置づけ、投資で優先すべき一つに掲げている。そして、気候関連の情報開示が不十分な企業に対しては、議決権を行使して改善を求める集団的エンゲージメントや、気候変動に対する取り組みが不十分な企業への投資を引き上げるダイベストメントを拡大している。その対象は、日本企業にも広がっている。
  3. TCFDの最終報告書の公表により、開示の枠組みが提示されたことから、欧米の機関投資家のこうした動きは、具体性を伴ってますます盛んになると考えられる。こうした欧米の気候関連の情報開示に対する顕著な反応は、現在、日本企業が日本国内において得られる感触と大きく異なるため、株主構成において欧米の機関投資家の比率が高い日本企業は、特に注視する必要があろう。
  4. 気候関連の情報開示の国際的な方向性は、財務報告との一元化であり、日本企業にとっては、財務報告と気候関連財務情報との親和性を一層高める準備が必要である。日本企業と欧米の投資家との対話においては、投資家が、TCFDの提言に則した気候関連財務情報開示を期待していることを認識する必要があろう。
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