グリーンローン原則の制定と今後の展開

野村資本市場研究所 江夏 あかね、富永 健司

要約

  1. 英国のローン・マーケット・アソシエーション(LMA)及びアジア太平洋地域のアジア・パシフィック・ローン・マーケット・アソシエーション(APLMA)は2018 年3月21日、「グリーンローン原則」(GLP)を発表した。
  2. GLPは、国際資本市場協会(ICMA)によるGBPを参考にしつつ策定された自主的ガイドラインであり、ローン案件ごとにグリーン性を評価するものとなる。全体的にGBPがベースとなっており、適格グリーンプロジェクトや4つの核となる要素は、GBP と同じ項目が挙げられているほか、GBPと同様に、4項目とは別に、外部評価についても説明が行われている。
  3. 環境関連分野の金融市場では、グリーンボンドの発行額の伸びが際立ってきたが、グリーンローンにおいても国際的に準拠可能な原則としてGLPが制定されたことを契機に、融資額が増加する可能性が生じている。
  4. グリーンローンとグリーンボンドには、金融商品として異なる特長がある。資金調達主体は、今後についても、調達需要や市場環境等を踏まえて使い勝手がより良い手法で資金調達を行うとみられる。GBPがベースとなってGLPが策定されたことにより、資金調達主体、資金の出し手にとって、両商品をほぼ同じベースで比較することが可能になることから、環境関連分野の金融市場におけるシームレス化が進み、市場全体の活性化につながることもあり得る。
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