我が国上場企業の株式持ち合い状況(2017年度)

野村資本市場研究所 西山 賢吾

要約

  1. 野村資本市場研究所算出の2017年度「持ち合い比率」(上場銀行と上場事業法人の株式保有比率、子会社、関連会社を除く)は9.5%(前年度比-0.6%ポイント)、そして、持ち合い比率に保険会社の株式保有比率(子会社、関連会社を除く)を加えた「広義持ち合い比率」は14.1%(同-0.8%ポイント)となった。政策株式の保有に対し機関投資家を中心に厳しい見方がされる中で、それらの保有見直し、削減を行う動きが進んだことから、「持ち合い比率」、「広義持ち合い比率」とも 2011年度以降7年連続で前年度を下回るとともに、7年連続で過去最低を更新した。
  2. 株式持ち合いの状況を保有主体別にみると、上場銀行や保険会社等金融機関は政策保有株式圧縮を続けているが、保有の削減はここまで長期にわたりかつ継続的に実施しており、削減が必要な保有株式も相対的に少ないと考えられるため、保有比率は小幅の低下に留まっている。事業法人の保有比率低下幅も大きくはないが、コーポレートガバナンス・コードの策定等を契機に、金融機関に比べ遅れていた政策保有株式を見直す動きが進み始めてきたように見える。
  3. 2018年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードや、同月に公表された金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループの報告書などから考えると、政策株式の保有合理性に対する説明は従来以上に求められると想定されることから、それらの見直し、圧縮を検討する企業が増えると考えられる。よって、政策保有株式の緩やかな圧縮(株式持ち合いの解消)は当面続くと考える。
  4. 政策保有株式は投資家と企業との対話の重要なテーマとなるが、特に、政策保有株式が必要と考える企業は、多数の投資家が納得するような合理的な説明を行う必要がある。一方、株式持ち合いが過去に比べ少なくなった中では、投資家は、保有圧縮のみを求めるのだけではなく、中長期的かつ持続的な企業価値を高める上で政策株式の保有が真に必要かという観点から、企業と議論を深めることも肝要と考える。
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