TCFDによる現状報告レポートの公表

野村資本市場研究所 江夏 あかね

要約

  1. 金融安定理事会(FSB)の下部組織である気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は2018年9月、2017年6月に公表した提言の浸透状況を示す現状報告レポートを公表した。
  2. 現状報告レポートは、TCFD提言に基づく実際の開示状況に加え、企業が提言に沿った開示を行う際に有益と思われる追加的情報(情報開示事例等)で構成されている。
  3. 現状報告レポートにおいては、2017年6月の提言から1年余りしか経過しておらず、企業が既存の情報開示の枠組みに提言を取り組むために十分な時間がなかった感は否めない。また、提言は、ある程度浸透しつつあるものの、情報開示の充実に向けた一層の取組みが求められると言えよう。
  4. TCFDは、FSBにより設置された国際的に注目されるタスクフォースである上、国際連合の責任投資原則(PRI)やパリ協定の流れの中で投資家が気候関連財務情報の開示に関心を高める傾向は世界的に続くとみられる。これを踏まえると、2019年半ばにも予定される現状報告レポートの第2弾も含めて、企業・投資家ともにTCFD関連の動きを注視することが重要であると考えられる。
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