ASEAN域内のグリーンボンド市場の動向と今後の注目点

野村資本市場研究所 富永 健司、北野 陽平

要約

  1. 近年、グリーンボンドの発行体の地域が多様化する中、ASEAN(東南アジア諸国連合)域内の発行体によるグリーンボンド発行は2016年に始まり、2018年末までに計45億米ドルが発行されるに至っている。背景として、ASEAN各国も地球温暖化対策を定めた国際枠組みであるパリ協定に署名しており、温室効果ガス排出削減に取り組んでいることなどが挙げられる。
  2. グリーンプロジェクトのための資金調達手段としてグリーンボンドの重要性が高まりつつある中で、ASEAN資本市場フォーラム(ACMF)は2017年11月、ASEANグリーンボンド基準(AGBS)を公表した。AGBSの目的は、グリーンボンドの透明性、一貫性、統一性の向上を通じて、域内のグリーンボンド市場を発展させることである。
  3. 各国レベルでも、金融規制当局等により、グリーンボンドの発行拡大を目的としたざまざまな取り組みや施策が行われている。インドネシアではASEAN域内初のソブリン・グリーンスクーク発行、マレーシアとシンガポールでは発行補助スキームの導入、フィリピンとタイではAGBSを活用した発行ガイドラインの策定といった動きが見られる。
  4. 現時点では国内投資家の関心が高いとは言い難いものの、ESG投資にコミットする動きはASEAN域内における機関投資家等の間で広がりつつある。今後、機関投資家や個人富裕層の間でESG投資が普及すれば、グリーンボンドへ投資の拡大につながる可能性がある。
  5. ASEAN域内ではグリーンボンド発行の動きは緒についたばかりである。グリーンボンド市場において、発行促進のためにどのような施策が講じられていくのか、また投資家がグリーンボンドに資金を配分する動きが広がっていくのか、今後の動向が注目されよう。
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