欧州連合のグリーンボンド基準(EU GBS)案の注目点と今後の展開

野村資本市場研究所 江夏 あかね、富永 健司

要約

  1. 欧州委員会が設置したサステナブルファイナンスに関するテクニカル・エキスパート・グループ(TEG)のサブグループは2019年3月6日、欧州連合(EU)のグリーンボンド基準(EU GBS)案を公表した。今回の提案は、欧州委員会が2018年3月8日に採択したアクションプランを受けたものとなっている。
  2. EU GBSのモデル案は、世界的に最も浸透しているとみられる国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)に類似している点が多いものの、全般的に、より厳格な内容となっている。また、サステナブルファイナンスに確実に資金の流れを振り向けるための提案が複数盛り込まれている。同案をめぐっては、TEGが各ステークホルダーから意見を徴収した上で、2019年6月にも最終報告書を取りまとめる予定となっている。
  3. 世界においてグリーンボンドに関する基準やガイドラインは複数存在するが、グリーンボンド市場でEU諸国の銘柄が約 4 割を占めていることやEU GBS案において導入支援策が複数示されていること等に鑑みると、後発とはいえ、EU GBS案が将来的に世界に広く浸透していく可能性はあると考えられる。発行体・投資家等が環境、社会及びガバナンス(ESG)や持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みを強化する一環として、より厳格かつ環境的インパクトが創出される債券として、EU GBSに適合したグリーンボンドを選好することもあり得よう。
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