EUにおけるサステナブルファイナンス確立に向けた動き
-タクソノミー、グリーンボンド基準、ベンチマーク、開示をめぐる進展-

野村資本市場研究所 江夏 あかね、富永 健司

要約

  1. 欧州委員会が設置したサステナブルファイナンスに関するテクニカル・エキスパート・グループ(TEG)は2019年6月18日、環境関連の経済活動の分類を示したタクソノミー、欧州連合(EU)のグリーンボンド基準(EU GBS)、ベンチマークに関するレポートを公表した。また、欧州委員会は同日、気候関連財務情報開示に関するガイドラインを公表した。これらは、2018年3月8日に採択されたサステブルファイナンスに関するアクションプランの一部に対応したものになる。
  2. 今回の、TEGによるEUタクソノミー、EU GBS、ベンチマークに関するレポート、ならびに、欧州委員会による気候関連財務情報開示に関するレポートを見ると、EUタクソノミーで示された環境目的に資する経済活動等を通じて、サステナブルファイナンスへの資金の流れを着実に振り向けるための包括的な取組みの一環となっており、金融市場のみならず経済界に少なからず影響が及ぶ可能性があることが示唆された。
  3. EU経済が世界経済の約2割を占めており、サステナブルファイナンスに関してはEUの発行体によるESG債発行残高が5割程度を占める現状に鑑みると、EUのみならず、日本を含めた世界各国にどのような影響を及ぼしうるかが今後の1つの注目点になると考えられる。
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