日本経済中期見通し2020
-Worryを探せ:「極低温」経済が動く原理-

野村證券金融経済研究所 経済調査部 美和 卓、桑原 真樹、岡崎 康平、棚橋 研悟、高島 雄貴、新井 真、大越 龍文

要約

  1. 世界的に極度の金利低下が進んでいる現状を、我々は「極低温」と名付けた。大きな背景は経済成長力の低下であるが、それは既に生活水準が高いことの裏返しでもある。「極低温」において人々の関心は、水準の高い今の生活を脅かし得る心配事=Worryを探し出し、解決することに向かうのではないか。
  2. さまざまな心配事=Worry
    環境問題…環境ビジネスの景況感は良く、生産統計でも環境関連業種は堅調である。環境問題への対処は長期的な成長機会の一つでもあろう。
    健康問題…健康志向の高まりとともにスポーツ関連支出が増加している。健康を害するリスク低減を目的としたスポーツ関連ビジネスにチャンスがあろう。
    人手不足…人手不足解消のための省力化投資は長期的なテーマであろう。省力化がうまくいかない場合に賃金が急増するリスクにも配慮したい。
    日本型雇用慣行…賃金カーブのフラット化とともに転職が増える兆しが見られる。労働市場流動化がより進めば日本の生産性向上につながろう。
    低金利問題…金融機関へのストレスがビジネスモデル変革に、中央銀行へのストレスが国際通貨制度変革につながる可能性に注目したい。
    財政問題…低金利継続の中で財政政策を積極活用することの当否は、政府支出拡大が生産性向上に結び付くか否かに依存しよう。
  3. 日本は反グローバリズムの潮流から一線を画してきたが、国内労働市場の門戸開放、円金利市場のドル化が進んでおり、何らかのきっかけで反グローバリズムが台頭する可能性は否定できない。
  4. 日本経済中期見通し
    メイン・シナリオ…「極低温」が継続。サステナビリティを維持する方向へ緩やかな変化が続く。
    ダウンサイド・シナリオ…世界経済大幅悪化とともに採用されたヘリコプター・マネー政策が奏功せず、溜まった不満を背景に反グローバリズムが強まる。
    アップサイド・シナリオ…転職がさらに活発化して日本型雇用慣行が事実上崩壊、労働市場の流動性とともに労働生産性が高まる。
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