バンキング部門では、野村グループの軸足である「金融資本市場に隣接するエリア」で適正なリスクを戦略的に取りながらビジネス拡大を図るという戦略を掲げています。具体的には、顧客接点、プロダクト・サービス、システムの3つを切り口に戦略の実現に向けた取り組みを進め、2031年3月期に税引前当期純利益500億円(2025年3月期実績164億円の約3倍)の達成を目指しています。また、その達成のためのKPIとして、2031年3月末までにローン残高を2.8兆円、投信受託残高を70兆円、ノムラ・バンク・ルクセンブルク(NBL)の管理資産残高を850億ドルまで積み上げることを掲げています。
バンキング部門設立にあたり、お客様との関係構築を強化すべく、ウェルス・マネジメント部門の顧客セグメント、ホールセール部門、インベストメント・マネジメント部門に対応する形で組織の再編とプロダクト・サービスの整理を行いました。
野村グループの軸足である「金融資本市場に隣接するエリア」で、お客様のニーズを起点とする商品・サービスの開発に取り組んでいきます。
プロダクト・サービスと顧客セグメントを軸に体制構築

※1 PWMはプライベート・ウェルス・マネジメントの略
※2 WMはウェルス・マネジメントの略
※3 DCSはデジタル・カスタマー・サービスの略
野村信託銀行では、2025年5月に約20年ぶりとなる勘定系システムの更改を実施し、銀行としての基幹システムの整備・拡充を図りました。これにより、野村證券と野村信託銀行の双方に口座をおもちのお客様の口座間であれば、資金を自動振替できる預金スイープサービスの基盤が整いました。2027年3月期をめどに、預金スイープサービスの提供を開始する予定であり、今後は野村證券の口座に銀行機能を付加した金融ハイブリッドサービスの提供を通じて、お客様の利便性の向上を図っていきます。
野村信託銀行では、今般、ウェルス・マネジメント部門の顧客セグメントに対応する形で組織の再編とプロダクト・サービスの整理を行いました。対面でのコンサルティング・ニーズが強い上場企業オーナーや法人のお客様に対しては、専担部署がPBローン※1や預金・信託などの各種サービス・機能を使いながら、フルサポートで対応しています。オンラインでの取引完結ニーズが高まる富裕層のお客様に対しては、オンライン型のローン(野村Webローン)を扱う専担部署がデジタルを活用しながらお客様のニーズに応えています。各部署の役割を明確化し、サポートする組織を再編することで営業推進のスピードアップと機能向上を図り、コンプライアンスを含めた管理体制も強化しました。
また、新しいプロダクト・サービスの開発により顧客接点を増やすべく、不動産ビジネス関連部署を設置したほか、運用受託等、拡大するビジネスに対応した体制を強化するために、金融機関や諸法人に対応する部署も新設しました。
NBLでは、日本の機関投資家や富裕層に対し、主に外国籍投資信託の受託ビジネスを拡大してきました。身近な商品では、外貨MMFや毎月分配型投資信託などが挙げられますが、昨今のプライベート・アセットへの投資意欲の高まりを受け、プライベート・アセットに投資する投資信託関連サービスもさらに強化していきます。
※1 PBローンは、プライベート・バンキング・ローンの略
野村信託銀行のローンビジネスでは、PBローンにおいて、担保資産や担保取得方法を拡充し、お客様の利便性向上に向けた既存商品の改善を進めています。野村Webローンでは、担保設定可能有価証券の拡充や借入可能額を引き上げを行いました。今後も担保の拡充に加え、RS/SOローン※2によるストックオプション行使資金や納税資金の提供などを通じてワークプレイス向けローンを拡充します。
信託ビジネスでは、引き続き投資信託の受託に注力するほか、地域金融機関に対し、ファンド・トラスト(指定単)といった信託の仕組みを使い、プライベート・アセットなどへの投資を行うサービスのラインアップの拡充や事業会社向けに信託を活用したスキームの開発・提供を検討していきます。また、個人の富裕層向けに、遺言代用信託や寄付信託をはじめとした承継にかかる領域や不動産関連でも信託を活用した商品・サービスを提供していきます。
NBLでは、ニーズが拡大するプライベート・アセットを中心としたファンド・アドミニストレーション業務を機関投資家向けだけでなく、カスタマイズが必要とされる富裕層のお客様のニーズにも応えられるようにサービスを拡充します。
これからも顧客ニーズを起点とし、野村グループの軸足である「金融資本市場に隣接するエリア」で新たなプロダクト・サービスの開発や既存サービスをブラッシュアップしていきます。
※2 RS/SOはRestricted Stock (譲渡制限株式)とStock Option(ストックオプション)の略。譲渡制限株式は、株式報酬の一つで、一定期間の継続勤務などを条件とし、その条件を達成するまでは譲渡(売却)が制限される株式のこと。ストックオプションは、あらかじめ決めた価格で自社株を買うことができる権利のこと
野村グループでは、1997年に野村證券が野村ホームトレードを導入、2006年には野村信託銀行がインターネットバンキングサービスを提供するなど、システムを通じたお客様の利便性向上に努めてきました。
顧客口座進化の変遷

2025年5月には、野村信託銀行の勘定系システムの更改という極めて重要なプロジェクトが完了し、システムキャパシティの拡大が可能となりました。2027年3月期には野村證券の証券口座と野村信託銀行の銀行口座間で資金を自動振替できる預金スイープサービスの提供を開始する予定です。本サービスは、野村證券の口座に銀行機能を付加した金融ハイブリッドサービスといえるものであり、お客様の利便性を格段に向上させることにつながります。また、システムにかかる各種取り組みを通じ、ビジネス・プラットフォームの整備・強化を図り、中長期的にはバンキング部門のプラットフォーム機能を野村グループ以外のお客様にもお届けできるよう進めていきます。