インベストメント・マネジメント部門|価値創造に向けた戦略
2025年3月期目標に向けた進捗
2024年3月期は好調な市況を背景に、幅広い運用商品に資金流入が継続し、運用資産残高は89兆円と過去最高を更新しました。安定収入である事業収益は2021年4月の部門設立以降で最高です。2025年3月期のKPI目標(運用資産残高、資金純流入)を上方修正し、税引前当期純利益目標である630億円の着実な達成を目指していきます。
KPIやKGIの進捗/達成状況
※下記表は横にスクロールしてご覧ください。
2024年3月末/ 2024年3月期(実績) |
2025年3月期/ 2025年3月末(目標) |
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重要業績評価指標 (KPI) |
運用資産残高 | 89.0兆円 | 89.0兆円 |
資金純流入 | 3.8兆円 | 3.4兆円 | |
重要目標達成指標 (KGI) |
税引前当期純利益 | 602億円 | 630億円 (2023年5月インベスター・デーにて公表) |
伝統的資産ビジネスにおける取り組み
伝統的資産ビジネスでは運用資産残高の拡大と商品・サービスの高付加価値化に取り組んでいます。日本政府による「資産運用立国実現プラン」は運用ビジネスにとって追い風です。NISAの制度趣旨に沿った中長期的な資産形成に資する商品を設定し、確定拠出年金(DC)でも商品ラインアップの拡充・強化を行いました。このような取り組みもあり、確定拠出年金(DC)専用ファンドでシェア1位を獲得しています。今後も資産形成層へのアプローチをさらに高度化していきます。
また、お客様本位の業務運営を実現するため、野村アセットマネジメントでは業界に先駆けて、商品の評価を行う「ファンド・レビュー・レポート」を公表し、運用実績、商品性、情報提供の3つの観点から、品質向上に向けた取り組みを開示しています。今後も高品質なファンド群に運用力を集中させ、競争力のある運用成果の創出を目指します。
オルタナティブ資産ビジネスにおける取り組み
戦略的に注力しているオルタナティブ資産ビジネスは、 2024年3月末の運用資産残高が前年比47%増の約1.9兆円と、順調に拡大しています。ゲートキーピング※1運用のノウハウを活用し、個人投資家向けにもプライベート資産の投資機会を提供しています。航空機リースでは、世界の旅客需要の回復が追い風となり、販売額が拡大しています。また、日本における「自前での」プライベート資産運用のスケール化、米国でのプライベート・クレジット運用の立ち上げ、2023年4月に開始した不動産運用ビジネスの拡大にも取り組んでいます。
1 投資家向けのオルタナティブ投資に関するパッケージ・ソリューション提供を指す。例えば、以下のようなソリューションを提供
- 外部のオルタナティブ運用会社のファンドを機関投資家に紹介する業務
- 投資案件の運用対象やファンドの仕組みを分析、評価、デューデリジェンス(DD)し、取捨選別のアドバイスを行う業務
- 投資一任契約を結び、オーダーメイドで投資を行う業務
- 投資決定、実行に際してモニタリングやファンド管理等を行う業務
2030年に向けた取り組み
2031年3月期のありたい姿
インベストメント・マネジメント部門は、高品質で付加価値の高い投資商品・サービスの提供を目指しています。 2031年3月期に向けて、運用資産残高を約129兆円に拡大すると同時に、オルタナティブ比率を現在の2%から9%程度まで伸ばしていきたいと考えています。資産運用業界の競争環境は激化しており、伝統的資産の運用報酬率は今後も低下傾向にあると想定しています。運用残高を拡大させつつ、オルタナティブ資産運用をはじめとした高付加価値の領域を強化していくことが重要です。さらに当社の投資運用ビジネスの強みが活きるようなインオーガニック戦略の機会を積極的に追求していきます。そして2031年3月期に、税前利益1,000億円規模を目指していきます。
ありたい姿の実現に向けた3つのテーマ
2031年3月期のありたい姿に向けて「国内の機会を捉えるソリューション」、「グローバルに通用する価値創造」、「世界と共に挑む新たな成長」の3つのテーマを通じて運用資産残高を拡大し、高付加価値分野に注力していきます。
運用資産残高
税引前当期純利益
2 その他にはアメリカン・センチュリー・インベストメンツ関連損益、その他損益等を含む
1. 国内の機会を捉えるソリューション
国内において、NISA/確定拠出年金(DC)、ETFといったさらなる成長が見込める分野にて運用資産残高を着実に伸長させるとともに、報酬率が相対的に高いオルタナティブ資産運用のビジネス機会を掴んでいきます。
NISA/確定拠出年金(DC)
NISA/確定拠出年金(DC)市場は日本政府の「資産所得倍増プラン」を軸とした一連の政策による成長領域であり、今後も拡大が続くと考えられます。NISAによる投資拡大を捉えるため、全国の幅広い販売チャネルを通じた商品提供、販売会社のコンサルティング力の向上支援、メディアを通じたプロモーションにより、投資家層の拡大と残高の積み上げに注力します。確定拠出年金(DC)でもグループ内の連携を強化し、さらなる残高拡大・シェア獲得を目指します。
ETF
投資家のETF保有残高は年々増加傾向にあり、特に日本で資産運用の手段として拡大の余地が大きいと考えています。商品ラインアップをさらに拡充するとともに、機関投資家、個人投資家へのマーケティングを強化します。
オルタナティブ投資
国内投資家のオルタナティブ投資は拡大しており、20年を超えるゲートキーピング・ビジネスの強みを活かして、幅広い投資家にソリューションを提供していきます。さらに、インハウス運用をスケール化し、領域・プロダクトを拡充します。これまで一部の機関投資家にしかアクセスできなかったプライベート・アセットへの投資機会を個人投資家にも提供する、いわゆる「プライベート投資の民主化」にも、さらに力を入れていきます。
2. グローバルに通用する価値創造
長年培ってきた資産運用の実績と経験をベースに、海外でも通じる商品開発、運用力の向上により、世界的な認知度向上と税前利益の拡大につなげます。
スペシャルティ・クレジット※3
アクティブ運用のなかでも超過収益を生み出しやすいスペシャルティ・クレジットの強化を、グローバル戦略の一つの柱として考えています。既存のハイ・イールド債券運用の強みを活かし、クレジット運用スペシャリストとして、世界的な認知を高めます。
日本・アジアを投資対象とする運用力
私たちは、かねてよりパブリック市場で日本・アジアを投資対象とする運用をグローバルな投資家にお届けし、多くの投資戦略でお客様より高い評価をいただいています。今後、このプレゼンスを活かし、国内プライベート・リアルアセット商品の海外展開や、アジアの成長国におけるプライベート領域への参入につなげていきます。
グローバルに通用する価値創造に向けたスペシャルティ・クレジットの強化・成長
3 先進国の国債や投資適格の社債など高格付けで流動性のあるクレジットではなく、新興国やハイ・イールド債、インフレ連動債、プライベート・クレジットなど、よりニッチな領域のクレジット運用のことを指す 運用において、一般的なクレジット以上に高い専門能力が求められる一方で、運用者によりパフォーマンスに差がつきやすい資産クラスと考えられている
4 現物債券への投資だけでなく、デリバティブ(金融派生商品)も含めたあらゆる投資手法を活用するアンコンストレインド戦略により、トータルリターンの最大化を目指す野村アセットマネジメントの英国拠点で運用するファンド
5、6 ノムラ・ホールディング・アメリカInc.の子会社として、米州のクレジット事業を統括するNomura Capital Management(NCM)が運用するファンド。Nomura Alternative Income Fund(NAIF)は、プライベート・クレジット領域におけるクローズド・エンド型のインターバル・ファンド。幅広いアセットを対象とした投資機会を、米国において主にRIA(米国において、投資家との間で締結した投資顧問(助言)契約に基づいて顧客資産のポートフォリオ策定などの助言を行う登録投資顧問業者のこと)経由で個人投資家に提供する。Nomura Credit Opportunities Fund(NCOF)は、米国プライベート・クレジット領域において、共同投資、セカンダリー投資を含む戦略で、幅広い投資機会に投資をするファンド。主に機関投資家に対して投資機会を提供することを想定している。なお、プライベート・クレジットは、ダイレクト・レンディングや不動産レンディング、スペシャルティ・ファイナンス、アセットベースト・レンディング等を含むアセットクラスを指す
3. 世界と共に挑む新たな成長
世界的視野で、社会課題の解決につながる投資の好循環を促す高品質な投資商品を開発、拡充することで、税前利益のさらなる積み上げだけでなく、パーパスの達成を目指します。
リアルアセット領域
航空機リース、不動産、森林資源などに加え、植物工場や再生可能エネルギー、新エネルギーなどへの新規展開を進めます。
研究開発(R&D)
次世代クリーンエネルギーに成長資金を提供するベンチャーキャピタル(Angeleno Group)との戦略的提携に加え、米国で中小企業の事業承継をサポートするTeamsharesへの出資も実施しました。今後も戦略的R&Dを通じて、知見を蓄積し、事業化につなげていきます。
インオーガニック機会
事業領域やバリュエーションはもちろん、私たちの投資運用ビジネスの強みが活きるよう、戦略および企業カルチャー等の要因も精査して、引き続き積極的に機会を追求していきます。