野村證券金融工学研究センター 大庭 昭彦
- はじめに
 - ファイナンス理論の進展とノーベル経済学賞
	
- ノーベル賞と経済のウェットな側面
 - メカニズムデザイン
 - マルチエージェントシミュレーション
 - 2013年のノーベル経済学賞と日本株
 
 
- 投資家心理と株式市場
	
- アベノミクスと株式市場
 - 投資マインドの高まりを促す要因
		
- NISA~個人の投資がリスク資産へ
 - GPIF~年金資産は債券からリスク資産へ
 - 高ROE追求の意識の高まり
 - 1月効果について
 
 - 新しい理論と日本株市場
 
 
- おわりに
 
- 2013年のノーベル経済学賞は「株式リターンが予測できるのかどうか」についての研究を行った3名に送られた。受賞者の一人、ロパート・シラーは彼の予測モデルで米国株、米国住宅市場の暴落をそれぞれ直前に警告したことが高く評価されている。
 - シラーの長期モデルを日本株に応用してみると、実は米国株についてよりも予測力が高い。過去の日本株のバブルも予測できている。このモデルで今の日本株のレベルを見ると、2012年末以来の上昇はあったとは言え、まだまだ割安であるという解釈ができた。
 - 一方で、シラーの考え方では短期的な動きは「投資マインド」で決まる。日本では、2012年末の政権交代を契機として、経済にも大きな変化が起き、アベノミクスが始まった。アベノミクスは、日銀を動かし、投資家を動かし、市場を動かしてきた。今後の変化で見ても個人向けの新制度や、基金の方針変更など多彩で高い効果の期待される動きが続く。VI(ボラティリティインデックス)などの心理を測る指標で見ても市場は将来に対する不安を持っていない状況で、これはアベノミクスに後押しされている結果だと思われる。こうした投資マインドの高まりを促すファクターがVIの上昇を抑えつつ、流動性を高めて行く」とすると、短期的に日本株は上昇していくことになると考えられる。
 - 2014年はどんな年になるのか、あまり楽観視してばかりではいけないのだが、ここで使ったような"世界が認めた数理技術"をもとにして考えると、悪い年にはならなそうだ。