人材マネジメント

基本的な考え方

野村グループが社会課題の解決を通じた持続的成長と企業価値向上を実現するためには、戦略的な成長投資による自己資本利益率(ROE)の向上が求められます。そのためには、野村グループの人材(人的資本)が、組織に対するエンゲージメントを高い水準に維持しながら、社会課題に対する最適解を追求するプロフェッショナル集団として付加価値を最大限に生み出し、生産性の向上、新たな価値の創造、リスク管理の高度化を追求し続けることが不可欠です。
野村グループは、長期的な視点で人材マネジメント戦略を進化させることにより人材のエンゲージメントを向上させ、人的資本がチームとしてもたらす知的資本の差別化を図り、野村グループが提供する付加価値を更に強化していくことを目指します。

野村グループの人材マネジメント戦略は、野村グループの企業理念に掲げる「挑戦」「協働」「誠実」という価値観を基礎として、採用・育成・評価・配置という人材マネジメントサイクルの差別化と、DEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)、社員の働き方およびウェルビーイングの高度化を追求することを目的としています。

当社における知的資本とは、組織力、ノウハウ、顧客とのネットワーク、ブランド等、野村グループの競争力の源泉となるあらゆる無形資産を指します。

採用について

創業以来、野村グループは「人」が最大の財産であるとして、採用活動を非常に重視してきました。優秀な人材を継続的に確保するため、国籍や人種、性別など、属性を問わない人物本位の採用方針のもと、絶えず変化する金融ビジネスに対応できる人材を幅広く募集しています。当社の業務内容や働き方を応募者の方により良く理解していただくために積極的な情報発信を行うとともに、応募者の潜在能力も重視した採用活動を行い、これらの多様な背景を持つ人材を適材適所に配置することで、一人ひとりが能力を最大限に発揮できる人材マネジメントを目指しています。

当社では、例えば以下に挙げるような取り組みを行っています。

新卒採用

コース別採用

日本国内の新卒採用において、入社時に所属する部門の担当業務を明示した「コース別採用」を行っています。ウェルス・マネジメント部門配属となる「総合職オープンコース」やインベストメント・バンキング部門配属となる「総合職インベストメント・バンキングコース」といった、それぞれの専門性に応じた入社コースを取り揃えることにより、一人ひとりの人材が自律的にキャリアを形成し、より高い専門性を身に着け、社会に還元することを後押しする仕組みになっています。また、原則として転居を伴う異動がない「総合職エリアコース」も設置しており、多様な働き方を実現出来る環境を整え、さまざまな人材が活躍できる場所を提供しています。

インターンシップなどの各種就業体験

多様な部門ごとの職務を経験することができる就業体験プログラムも多数取り揃えています。実際の職務を疑似体験することの出来る5日間の各コース別インターンシップや、業界や仕事内容の理解を深めることのできる1日限りのワークショップ等です。豊富な日程とコンテンツの中から選択することが可能であり、多くの就業希望者に業務理解を深める場を提供しています。

野村パスポート

2018年に導入した、理工系の博士課程に在籍する学生を対象とした採用プログラムです。選考を通過した学生には、入社後の配属部署が予め通知されるほか、入社の時期は博士号の取得が見込まれる年月まで延長することができます。また、博士号取得後の進路も拘束されません。このプログラムを通じて、AI開発、データサイエンス、デジタライゼーション等の分野で高い専門性をもつ人材の獲得を図っています。

キャリア採用

専門分野における高度な知識・経験を持つプロフェッショナル人材の採用を行うべく、「キャリア採用」にも力を入れています。この制度を通じて、プロフェッショナル人材の採用数は年々増加しており、近年では新卒採用数を上回る規模になっています。また、2023年1月には公式のアルムナイネットワークの構築を行いました。退職した人材も他社で得た知見を活かして野村グループのプラットフォームで価値を創造できる人的資本と捉え、中長期的に良好な関係を築くために本ネットワークを活用しています。

アルムナイネットワークの構築を開始(2023年1月11日ニュースリリース)

海外拠点においては、現地人材の雇用・育成を重視しています。詳しくは採用情報をご覧ください。

人材育成方針

野村グループは、社会課題の解決を通じた持続的成長と企業価値向上を実現するため、社員一人ひとりが社会課題に対する最適解を追求するプロフェッショナルとして付加価値を生み出し、生産性の向上、新たな価値の創造、リスク管理の高度化を追求し続ける人材を輩出するよう、人材育成に取り組みます。

研修プログラム

野村グループの研修プログラムは、グループワイド・グローバルで提供されています。

日本国内では新入社員向け導入研修やマネージャー研修などの階層別研修とともに、社員のキャリア自律の観点から社員自身のニーズと高度な専門性を養うための自己選択型研修を充実させています。加えて、パフォーマンスとポテンシャルをもとに選抜された社員を対象とした選抜型の研修として、「経営塾」などの次世代リーダーの育成を目的としたリーダーシッププログラムや女性幹部の育成を支援するプログラムも提供しています。また、外部教育団体・NGOによる公開教育プログラムへの参加支援、外部講師による複数の自己研鑽プログラムの実施、外部教育ベンダーとの研修プログラムの共同開発など、外部NGOや教育団体等とも積極的に連携し、社員の自発的な能力開発をサポートしています。

また1971年度より続く育成の仕組みとして「インストラクター制度」があります。新入社員の指導育成を行うインストラクターを任命し、1年間にわたり自律型人材の育成を行っています(2023年度272名任命)。インストラクターには春と秋にインストラクター研修を実施し、新入社員成長支援のスキル・ノウハウに加え、自身のリーダーシップを育むプログラムを提供しています。

部門や部署において必要とされる専門知識・スキル・ノウハウは、グローバル(日本国外)や各部門におけるプロフェッショナル人材育成施策として、部門独自に研修プログラムが提供されています。(詳細後述)

新世代人材向け育成プログラム(日本国内)

将来のマネジメント候補の底上げを目的として、若手中堅社員を対象に、以下の3つの自己応募・選抜型のプログラムを提供しています。

海外留学支援プログラム - 過去60年以上にわたり延べ600名以上の社員が英米を中心とした20を超えるビジネススクールやロースクールなどで学んでおり、留学後は多くの人材が世界各地で活躍しています。

ベンチャー企業出向プログラム - 成長ステージにある異業種のベンチャー企業へ約1年間出向し、出向先社員として事業開発(営業・企画・マーケティング等)に取り組むことを通じて、出向先のベンチャー企業の成長に貢献しながら、社員自らも経験値や能力を高められるプログラムです。

NNG:野村新世代育成プログラム - 「社会の持続的成長を実現させるための人材の創出」をテーマにした越境学習プログラムです。普段の業務を離れ、サステナブルな社会の実現や地方創生などの社会課題に取り組むことで、新しい気づきや学びを得ることができます。

経営人材後継者育成プログラム(グローバル)

野村マネジメント・スクールや海外の経営大学院などの外部教育機関が運営するエグゼクティブ向けプログラムへの派遣や、野村グループ内の「経営塾」プログラムの開催を通じ、国内外の幹部社員を対象とした後継者育成にも取り組んでいます。

野村経営塾 - 野村グループの経営リーダー候補育成のためのフラッグシップ・プログラムです。グローバル・グループワイドで選抜された受講者が、トップマネジメントとのディスカッションや経営体験型プログラムの受講を通じて、経営者としての世界観を体感し、経営リーダー候補としての視座・自覚・覚悟をもつことを目的に実施しています。2019年度より継続的に実施され、これまでに累計60名超が参加しています。

自己研鑽・自己選択型研修(日本国内)

語学研修 グローバルに通用するビジネススキルの向上を目指す社員に対して、実践的な語学力やスキルの強化を目的とした研修を行っています。プライベート、グループ、eラーニングなどの受講形態を用意し、各自の語学力に関する課題や学習事情に合わせたコースを選択できるようになっています。
資格取得支援 CFP、証券アナリスト資格、簿記検定、宅地建物取引士、DCプランナー、CFA等、業務においてより 高度な専門家としての役割を果たすために必要な資格取得について、会社補助等の支援制度を設けています。
NBAポータル 「社員一人ひとりの主体性を重んじ、自らを高めたいという意欲にあふれた『個』に対し、そのニーズに適う成長機会を提供する」という趣旨のもと、さまざまな形態で自己研鑽の機会を提供しています。具体的には、通信講座・eラーニング・セミナー・語学学校への通学支援を行っています。通信・eラーニングだけで約200講座を揃えるなど、幅広い学びのニーズに対応しています。
NBA Classroom 個々人に合わせた学習機会を広く提供することを目的として「NBA Classroom」を提供しています。具体的には、思考力やコミュニケーション、その他ビジネススキルなど、一人ひとりの課題や伸ばしたいスキルに合わせ、学ぶことができる仕組みをもうけています。

NBA:Nomura Business Academy(ノムラ・ビジネス・アカデミー)

グローバル・部門個別のプロフェッショナル人材育成施策(例)

グローバル:Digital IQ デジタル関連のナレッジがグローバルな金融機関の競争力を左右する時代になる中、IT関連部署に留まらずグループの全社員がその知識レベルやスキルを向上させるため、グローバル・グループ全社員を対象としたデジタルスキルの自主的な学習機会を提供しています。
ウェルス・マネジメント部門:富裕層領域スキルアッププログラム 富裕層領域パートナーとして求められる不動産やローン、事業承継等のソリューションに関する知識・スキルを伸ばすプログラムです。
ホールセール部門:Global Analyst Program グローバルで活躍できる人材を育成するため、各地域で研修を受けた新人がNYに集合し、グローバル共通のトレーニング・プログラムの他、社内ネットワーク構築の機会を提供しています。
ホールセール部門:M&Aユニバーシティ 社内外のエキスパートが若手社員向けにM&A実務に関わるトレーニングやツールを提供しています。
ファイナンス:Global Finance Training Program ファイナンスで求められる専門性やデジタルスキルをカタログ作成して明確化。専任講師によるデジタルトレーニング、社員によるファイナンスの専門知識トレーニングを実施し、各社員の進捗度をシステムにて可視化することで、データに基づいた人材育成を推進しています。

評価と報酬

野村グループがグローバルな競争力を備えた金融サービス・グループとして確固たる地位を築く上で、最大の財産となるのは人材です。

当グループでは、パフォーマンスの適正な評価と社員の育成のため、統合的な評定制度を採用しています。社員は年度初めに当社のビジネス戦略、担当の職務と行動要件に即した形で課題設定を行い、年度央および年度末にその達成度について上席者と率直に話し合うことで、適正なパフォーマンス評価とペイ・フォー・パフォーマンスの実現、更なる成長支援につなげています。また、日常的な対話を通じたパフォーマンス・マネジメントおよび育成を通年で行っており、その一環として、360度フィードバック(上席者、同僚、部下等)も実施しています。

当グループの持続的な成長と株主価値の長期的な増加、顧客への付加価値の提供ならびにグローバルな競争力と評価の向上等に資するため、グループの役職員に関する「報酬の方針」を定めています。

役職員の報酬

配置・登用

これまでの会社主導のキャリア形成支援から、人材の流動性も高まり、また働き方やライフスタイルも多様化する中、当グループでは自律的なキャリア形成支援を推進しています。社内公募制度をリニューアルした「ノムラ・キャリア」は盛況で、多くの社員が自らの意思により部門の垣根を超えた異動を実現させ、新たなキャリア開拓に取り組んでいます。

また、重要ポジションへの人材登用と後継者育成の観点から、タレントマネジメントに取り組み、ポテンシャルの高い人材に対するアセスメントの実施やコーチング、経営幹部候補生のためのリーダーシップ開発プログラムなど、自社開発による独自の能力開発支援を提供しています。

シニア層のキャリア自律に向けては、キャリア支援研修により自己理解と将来の選択肢拡大の可能性を探り、シニア層の豊富な経験値を活かせるセカンドキャリア挑戦に向けた支援制度も提供しています。

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