人材マネジメント

基本的な考え方

野村グループは「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」ことをグループのパーパスとして掲げています。このパーパスを追求し、企業価値向上を実現するためには、戦略的な成長投資による自己資本利益率(ROE)の向上が求められます。そのためには、野村グループの人材(人的資本)が、社会課題に対する最適解を追求するプロフェッショナル集団として付加価値を最大限に生み出し、生産性の向上、新たな価値の創造、リスク管理の高度化を追求し続けることが不可欠と考えます。

野村グループは、長期的な視点で人材マネジメント戦略を進化させることにより、人材のエンゲージメントを向上させ、人的資本がチームとしてもたらす知的資本の差別化を図り、野村グループが提供する付加価値を更に強化していくことを目指します。

野村グループの人材マネジメント戦略

野村グループは、1925年、84人で業務をスタートさせました。そこから約100年にわたり、国内外において強固な事業基盤を築き、幅広い金融サービスを提供する金融サービスグループとして歩んできました。この100年の歴史を作り上げてきたのは、一人ひとりの社員であり、人材は、野村グループにとっての最大の財産、付加価値の源泉そのものです。

変化の激しい時代において、約27,000名の社員が、その能力を最大限に発揮し、新たな付加価値に挑み続けるプロフェッショナル集団であり続けたいと私たちは考えています。その実現のため、野村グループでは、人材マネジメントサイクルの差別化と組織風土づくりを通じて、リーダーシップ人材の輩出、リーダーシップキャパシティ(リーダーシップ総量)の高い組織づくりを目指しています。

野村グループの人材マネジメント戦略

人材マネジメントサイクルの差別化の全体像

他社とは差別化された人材マネジメントサイクルの構築を通じて、専門性をもったリーダーシップ人材の輩出に取り組んでいます。

採用

「新たな付加価値に挑み続けるプロフェッショナル集団」への貢献が期待できる人材の獲得を目的とし、キャリア採用の強化、新卒採用も含む職種別採用、採用チャネルの多様化を行っているほか、海外拠点ではアーリーキャリアプログラムなどを通じて当社の魅力をアピールし、能力・意欲の高い多様な人材を獲得できるよう取り組んでいます。

キャリア採用の強化

既存事業の高度化や、新事業への進出・展開等を通じた新たな付加価値を生み出すためには、専門分野における高度な知識・経験を有する多様な人材が必要になることから、キャリア採用(外部人材の採用)に積極的に取り組んでいます。2021年度以降はグローバルでのキャリア採用比率が約7割を超える傾向が続いています。日本においても、野村證券における2023年度のキャリア採用比率は約5割となっています。

職種別採用

高度な専門性の追求という観点から、職種別採用を進めており、2025年4月入社より、日本国内の新卒採用においても職種別採用に完全移行します。採用後のミスマッチを防ぎ業務理解を深める場として、職種ごとのインターンシップなどの就業体験プログラムも多数用意しています。実際の職務を疑似体験することのできる5日間の各コース別インターンシップや、業界や仕事内容の理解を深めることのできる1日限りのワークショップなどを豊富な日程とコンテンツの中から選択することが可能であり、多くの就業希望者が利用しています。2023年度は約1,500名が就業体験プログラムに参加しました。プログラムの中では、架空の顧客に対して実際にM&Aをご提案する際の実務を経験したり、ライフプランシミュレーションから相続対策といった幅広い個人富裕層に対する提案業務を疑似経験すること等ができます。

採用チャネルの多様化

2018年には、理工系の博士課程に在籍する学生を対象とした採用プログラム「野村パスポート」を導入しました。選考を通過した学生には、入社後の配属部署が予め通知されるほか、入社の時期は博士号の取得が見込まれる年月まで延⻑することができます。また、博士号取得後の進路も拘束されません。このプログラムを通じて、AI開発、データサイエンス、デジタライゼーション等の分野で高い専門性をもつ人材の獲得を図っています。

また、2023年1月には当社の退職者(アルムナイ)をネットワーク化し、アルムナイとの交流を深めながらアルムナイの再雇用を積極的に促す仕組みを導入しています。2024年3月末時点でアルムナイネットワークサイトへの登録者数は約250名であり、前年比で約90名増加しています。また、リファラル採用(社員紹介採用)にも積極的に取り組んでいます。2023年度には合計約20名がリファラル採用となっています。

詳しくは採用情報をご覧ください。

育成

野村グループでは、新卒一括採用を前提とした階層別研修の体系を見直し、下記の人材育成方針のもと、プロフェッショナル人材、リーダーシップ人材の育成に向けた施策を強化させています。

人材育成方針

野村グループは、「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」というパーパスを追求するため、新たな付加価値に挑み続けるプロフェッショナル集団の形成を通じて、野村グループ人材の差別化を目指しています。

プロフェッショナル人材、リーダーシップ人材

プロフェッショナル人材、リーダーシップ人材の育成については、階層別研修を新入社員、インストラクター、マネージャー層に向けた研修に再整理したうえで、部門別の専門性を高めるため部門主導による部門別研修と自律的なキャリア形成を促進する自己研鑽プログラムの充実化に取り組み、例えば、以下の研修を実施しています。

さらに、そのなかでも経営リーダー候補の戦略的育成のため、特に、洞察力、決断力、統率力にフォーカスした段階的な学びを促進するさまざまな選抜研修プログラムを実施しています。

選抜研修プログラムとして、自己応募・選抜型で60年以上毎年派遣を続ける海外留学や、ベンチャー企業出向研修等の越境学習体験、経営リーダー候補向けフラッグシップ・プログラムである「野村経営塾」のほか「野村マネジメント・スクール」をはじめとする国内外の外部機関が提供するリーダーシップ開発プログラムなど、通常業務を超えた新たな視座・視野の獲得機会を提供しています。

海外留学では1960年の制度導入時から毎年社員を欧米アジアのビジネススクールやロースクールに派遣し、専門性や国際性を身に着ける機会を提供しています。60年以上で600名を超える社員を派遣しており、多くの社員が世界各地で活躍しています。

また、2022年度より開始したベンチャー企業出向研修では約10名の社員がさまざまな業態に出向し、1年間ベンチャー企業で経験を積んでいます。ベンチャー企業ならではのスピード感のある経営を身近で学びその経験を自社に還元しています。

「野村経営塾」:グローバル・グループワイドで選抜された受講者が、トップマネジメントとのディスカッションや経営体験型プログラムの受講を通じて、経営者としての世界観を体感し、経営リーダー候補としての視座・自覚・覚悟をもつことを目的に実施。2019年度より継続的に実施され、これまでに累計60名超が参加。

部門別研修

部門/部署 研修/プログラム名 概要
ウェルス・マネジメント部門 階層別研修 ウェルス・マネジメントビジネスに必要なスキル・マインドを習得するプログラムを、新入社員からマネジメント層まで職位に応じて階層別に実施しています。
コンタクトセンター研修 コンタクトセンターにて受電対応を行い、各商品における受発注のオペレーション、およびお客様とのコミュニケーションの基礎を学ぶプログラムです。
領域別研修 対応するお客様に応じて必要となる特化したスキル・マインドを習得するプログラムを実施しています。
ホールセール部門 Global Analyst Program グローバルで活躍できる人材を育成するため、各地域で研修を受けた新入社員がニューヨークに集合し、グローバル共通のトレーニング・プログラムの他、社内ネットワーク構築の機会を提供しています。
M&Aユニバーシティ 社内外のエキスパートが若手社員向けにM&A実務に関わるトレーニングやツールを提供しています。
ファイナンス Global Finance Training Program ファイナンスで求められる専門性やデジタルスキルをカタログ作成して明確化。専任講師によるデジタルトレーニング、社員によるファイナンスの専門知識トレーニングを実施し、各社員の進捗度をシステムにて可視化することで、データに基づいた人材育成を推進しています。
IT Early Career Program 若手社員向けに、グローバルや各地域のスピーカーによるセッション、ネットワーキングイベント、グループワークなどプログラムを実施し、ITの各種業務に必要となるIT・システム知識の習得や地域横断的な関係性構築の機会を提供しています。
グローバル共通 Digital IQ University デジタル関連のナレッジがグローバルな金融機関の競争力を左右する時代になるなか、IT関連部署に留まらずグループの全社員がその知識レベルやスキルを向上させるため、グローバル・グループ全社員を対象としたデジタルスキルの自主的な学習機会を提供しています。

自己研鑽プログラム

概要
語学研修 グローバルに通用するビジネススキルの向上を目指す社員に対して、実践的な語学力やスキルの強化を目的とした研修を行っています。プライベート、グループ、eラーニングなどの受講形態を用意し、各自の語学力に関する課題や学習事情に合わせたコースを選択できるようになっています。
資格取得支援 CFP、証券アナリスト資格、簿記検定、宅地建物取引士、DCプランナー、CFA等、業務においてより高度な専門家としての役割を果たすために必要な資格取得について、会社補助等の支援制度を設けています。
Nomura Business Academy (NBA) 自らを高めたいという成⻑意欲にあふれた「個」に対し、主体的に選び、学ぶ機会を提供しています。業務時間とそれ以外で、活用形態の異なるプログラム「NBA Classroom」と「NBA Portal」を設定し、多様な講座の中から最適な学びを選べる自己研鑽の機会を提供しています。受講料補助制度の拡充や定期的なニュースレターの発信を通じて、学びの機会を活用しやすい環境づくりに努めています。2023年度は野村グループ(国内)全体で約6,000名の社員が利用しました。
「NBA Classroom」は、業務時間に、社員同士が学び合う双方向型の形態で、すべてのビジネスパーソンがリーダーシップを発揮していくために必要不可欠な「思考力」と「コミュニケーション力」を学ぶプログラムです。
「NBA Portal」は、業務時間外に、通信講座・eラーニング・通学の形態で、約200講座を揃えるなど、幅広い学びのニーズに対応しています。環境の変化に応じた講座ラインナップとなるよう、定期的な見直しを図っています。

評価

評価に関しては、日本を含むすべての地域・部門・職種において、期待される行動(コンピテンシー)を定め、各社員のパフォーマンスを評価するための指標として活用し、各社員の業務内容に期待される生産性の水準に対する外部評価も参考に、適正な評価に基づくペイ・フォー・パフォーマンスの徹底を図っています。社員は年度初めに当社のビジネス戦略、担当の職務と行動要件に即した形で課題設定を行い、年度央および年度末にその達成度について上席者と率直に話し合うことで、適正なパフォーマンス評価とペイ・フォー・パフォーマンスの実現、更なる成長支援につなげています。また、日常的な対話を通じたパフォーマンス・マネジメントおよび育成を通年で行っています。日本国内においては、2020年4月より、原則としてすべての管理職に職務給制度を導入しています。グローバル共通の評価課題として、「未来への新たな挑戦」、「職業倫理、リスク管理、コンプライアンスおよびコンダクト」を設定しています。なお、野村證券においては、2023年度より、DEIへの理解を深め推進する取り組みを新たに評価項目としました。

また、グローバルに360度フィードバック(上席者、同僚、部下等)を導入しており、その結果について対象者と評定者との間で対話を行うことにより、対象者の成⻑支援やリーダーシップ開発につなげています。今後は、導入されている360度フィードバックの実施対象者や実施時期の統一を図っていきます。さらに、組織全体に野村グループ行動規範の考え方を徹底させ、リスク管理の高度化を図るため、コンプライアンス・コンダクト評価であるERCCレーティングを導入しています。

配置および登用

配置に関しては社員の挑戦マインドを尊重し、社員個人による自律的なキャリア形成機会として、社内公募制度を、2020年4月より「野村グループ社内公募(ノムラ・キャリア)」として刷新し、その適用範囲、規模を拡大させています。社内公募には定年後のポジションも含まれており、全世代を対象とした自律的なキャリア形成を推進しています。2023年度は約820名の応募があり、そのうち約300名が実際に異動を実現させました。

また、自律的なキャリア形成をサポートするため、キャリアデザインシートを2023年度より日本国内で導入しました。キャリアデザインシートは自身が志向する業務や専門性を記入し、キャリア実現に向けた上司との意見交換等を通じてキャリア計画を深めていく形で活用されます。これにより社員の適性や強みが発揮され、ひいては組織の生産性向上、競争力強化につながるものと考えています。

登用に関しては重要ポジションへの人材登用とそのための後継者育成という観点から、重要なポジションを担う可能性を有する人材プールをグローバルに管理しています。これらの人材プールに対してアセスメントを実施し各社員のリーダーシップ適性に応じて、さまざまなリーダーシップ開発プログラムを該当社員に提供しています。

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