経済の血液ともいわれる金融は、良好な環境・社会の維持に貢献する資金の流れを生み出すために不可欠であり、野村グループはグローバルな金融サービスグループとして、重要な役割を担っています。私たちは、事業活動を通じ、気候変動を始めとしたサステナビリティに関連する課題の解決を支援し、より良い未来を切り拓いていきます。
また、これらの取り組みは、お客様をはじめ、社会の持続的な発展に資するとともに、野村グループ自身の企業価値を維持・向上するうえでも重要であり、野村グループの「創業の精神」および「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」という野村グループのパーパスと軌を一にするものといえます。サステナビリティ委員会で策定した野村グループが重点的に取り組むべきテーマ(マテリアリティ)を軸として、金融サービスグループとしての経験や知見を活かして、ステークホルダーとともに取り組みを進め、持続可能で真に豊かな社会の創造を実現していきます。
STEP1
課題の整理
GRIガイドラインなど国内外の非財務情報開示ガイドライン、SDGs、従業員を含むステークホルダーの意見等から国内外の外部環境・課題整理
STEP2
環境認識の整理・統合
STEP1で整理・抽出した外部環境・課題をもとに、野村自身の企業価値向上のみならず、当社自身と、お客様、株主・投資家、社会・環境、社員、事業パートナーをはじめとするステークホルダーの持続的な成長・発展において重点的に取り組むべきテーマとその具体的な内容をリストアップ
STEP3
執行での議論
STEP2の結果をもとに、執行側における意見を踏まえ、マテリアリティの原案を策定
STEP4
決定
STEP3の原案をもとに、社外取締役の意見も参考にしながら、グループCEOが委員長を務めるサステナビリティ委員会にて議論し、妥当性を検証したうえで決定
野村グループでは、2008年 に「CSRの重要課題」を策定・公表して以来、世界の動きやステークホルダーの声を踏まえながら、その内容を見直してきました。
環境や社会課題に配慮したビジネスモデルの確立が求められるなか、サステナビリティと経営戦略の関連性を意識し、2019年度より、「野村グループのマテリアリティ」と改め、外部環境認識を踏まえたうえで、重点的に取り組むべき課題を特定しています。マテリアリティの内容は外部環境の変化を踏まえ毎年見直すこととしています。
マテリアリティ |
特定理由 |
リスク機会の認識 |
取り組むべき内容 |
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持続可能なグローバルビジネスモデルの構築 |
当社が資金・資本をはじめとした有形無形の資産に流動性を付加することで差別化された価値を創り出すためには、グローバルフランチャイズが重要であること、およびそのフランチャイズを持続可能な形で運営することが不可欠であるため |
リスク |
地政学リスクの高まり等による世界情勢の急激な変化による損失の発生や収益機会の喪失が生じうる |
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機会 |
グローバルな金融政策の転換や投資家のニーズ変化を適切に捉えることによる収益・ビジネス機会の拡大、ボラティリティの低減 |
環境・社会課題に対する取組の推進 |
顧客のサステナビリティへの取り組み(事業構造・構造転換等)の支援や、当社自身の環境関連活動、金融経済教育、社会貢献、イノベーション創出支援等、環境や社会に関連する取り組みはサステナブルな社会の実現および当社の企業価値向上に不可欠であるため |
リスク |
災害等による物理的損害、気候変動等に起因する取引先の信用力の低下、マーケット変動による損失の発生 |
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機会 |
脱炭素を含む自然資本への危機の緩和と適応に必要となるソリューション提供による収益・ビジネス機会の拡大 |
テクノロジー進化への対応 |
デジタルテクノロジーの進化に伴うサービス態様や働き方の多様化、新たなビジネス領域への展開、デジタル犯罪への対応等はビジネスの拡大、収益性の向上とリスクマネジメントを通じた企業価値向上に不可欠であるため |
リスク |
オンライン取引による取引手数料水準の低下による減収リスク、不充分なサイバーセキュリティ対応による信用の低下、デジタル技術の活用の遅れによる成長機会の喪失 |
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機会 |
デジタル技術・AIの活用によるサービスの最適化や業務効率化、デジタル・アセット領域ビジネス機会の拡大 |
人材の育成と多様性の確保 |
健全で、人権が尊重され、多様な人材がその能力を発揮できる組織を実現することは競争力の向上や他社との差別化、イノベーションの促進、高度なリスク管理の実現につながるため |
リスク |
過重労働等による行政処分や賠償金の発生・レピュテーショナルリスク・社員の士気低下、人材流出や人材が確保できないことによる戦略遂行の停滞、多様性不足による環境変化への対応力不足 |
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機会 |
多様な人材による競争力の向上や他社との差別化、イノベーションの促進、高度なリスク管理の実現 |
顧客や市場からの信頼 |
金融資本市場に立脚する野村グループにとって社会からの信頼は不可欠であり、全ての事業活動の礎になるため |
リスク |
信頼喪失による顧客離れ、レピュテーショナルの低下による損失の発生 |
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機会 |
信頼獲得による企業価値の向上 |

パーパス
私たちを取り巻く環境に対する認識とそれらをふまえたリスク・機会の認識 |
取り組むべき課題と内容 |
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世界情勢の変化 |
認識 |
各国の金融政策・市場の動向や、地政学リスクの高まりにより、変化が速く予測の難しい世界情勢が続く |
健全なリスクマネー循環の創出 世界情勢・市場環境の変化、お客様の状況・ニーズの変化に対応できる金融商品、サービスの提案・提供を通じた健全なリスクマネー循環を生み出します
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リスク |
リスク管理が不十分な場合やお客様のニーズに対応できない場合等に おいて、損失の発生や収益機会の喪失が生じうる |
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機会 |
金融政策の転換や投資家のニーズ変化を適切に捉えることによる収益 機会、ビジネス機会の拡大 |
環境を含む自然資本への脅威 |
認識 |
自然資本への対応は引き続きグローバルな潮流である一方、産業政策とのバランスを意識する重要性が高まっている |
自然資本保全への取り組み 自社環境活動や事業構造・構造転換の支援を通じた自然資本保全への取り組みに積極的に貢献します
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リスク |
取引先の信用リスク、マーケット変動のリスク、災害等による物理的な損害を受けるリスク、レピュテーショナルリスク等 |
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機会 |
脱炭素を含む自然資本への危機の緩和と適応に必要となるリスクマネ ーの供給(金融資本市場、プロジェクトファイナンス、M&Aなど) |
少子高齢化をはじめとする日本国内環境の変化 |
認識 |
社会構造の変化に起因したお客様のビジネス活動やニーズの変化にあわせたソリューションの提供が必要となる |
環境変化により生じる社会課題へのソリューション提供 日本国内環境の変化を見極め、野村グループの知見を活かした課題解決のためのソリューションを提供します
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リスク |
少子高齢化等の社会の変化を捉えきれず、多様性等への配慮不足や適切なサービスの不足によるお客様との取引の流出・機会損失 |
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機会 |
お客様のビジネス活動やニーズに沿ったソリューションを提供することによる、新しい収益機会の創出 |
DEI/人権、人的資本への意識の高まり |
認識 |
健全な職場環境の構築、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進、ビジネスにおける人権配慮、人的資本活用の要請が高まっている |
挑戦を支える、貢献が報われる、働きやすさを感じる組織の実現 人権が尊重され、多様な人材がその能力を発揮できる社会の実現に取り組みます
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リスク |
過重労働等による行政処分や賠償金の発生・レピュテーショナルリスク・社員の士気低下、人材流出や人材が確保できないことによる戦略遂行の停滞、多様性不足による環境変化への対応力不足 |
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機会 |
多様な人材による競争力の向上や他社との差別化、イノベーションの促進、高度なリスク管理の実現 |
ガバナンス高度化の要請 |
認識 |
コーポレート・ガバナンスの高度化、取締役会の機能強化の要請水準が高まっている |
コーポレート・ガバナンス機能の更なる発揮 社会から信頼される存在になるためガバナンスの高度化に努めます
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リスク |
ガバナンス機能が発揮されないことによるガバナンス機能不全、レピュテーショナルリスク等 |
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機会 |
リスク管理の更なる高度化、構造改革を通じたコスト削減の推進等による企業価値の向上 |

世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現
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