機関設計

指名委員会等設置会社は、社外取締役を過半数とする指名・監査・報酬の三委員会を設置し、経営の監督と業務執行の分離による監督機能の強化および透明性の向上を図るとともに、取締役会が執行役に業務執行の決定の権限を大幅に委任することで意思決定の迅速化が図られる体制です。

経営の監督と業務執行が制度的に分離された指名委員会等設置会社である当社では、取締役会および法定の指名・監査・報酬の三委員会に加え、リスク管理に関して取締役会による監督の深化を目的とする委員会である「リスク委員会」、ならびに社外取締役が当社の事業およびコーポレート・ガバナンスに関する事項について定期的に議論するための「社外取締役会議」を設置しています。

取締役会

当社の取締役会は、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を図ることを目的とし、その主たる役割を経営の監督としています。取締役会は、経営の公正性・透明性を確保するとともに、「経営の基本方針」を決定し、当該方針を踏まえたグループCEOその他の会社を経営する執行役の選任および当社の重要な業務執行の決定を行っています。

当社の取締役会は、多角的な視点から活発な議論を行うことができるよう、多様性と専門性を持った取締役で構成され、各分野における豊富な経験を活かし、当グループにおける経営の重要事項の決定や業務執行の監督を行っています。また、その監督機能を適切に発揮するため、社外取締役を過半とすることを原則としています。

当社の取締役会は、執行役を兼務しない取締役を議長とすることで、執行役の業務執行に対する監督に専念できる体制の強化を図っています。

野村ホールディングス コーポレート・ガバナンス・ガイドライン (PDF 327KB)

また、当社は、社外取締役の当グループに対する独立性を保つため当社関係者や当社の主要な借入先の業務執行者に該当しないことなどを定めた「独立性基準 (PDF 127KB)」を指名委員会において定めています。当社の社外取締役は8名全員が独立性基準を満たしており、社外取締役全員を「独立役員」として指定し、取引所に届け出ています。

取締役の構成(2022年6月20日現在)

※下記表は横にスクロールしてご覧ください。

氏名 地位 スキル
経営 国際ビジネス 金融業 会計財務 法制度・
規制
内部統制
(リスク管理含む)
デジタル
(IT)
サステナビリティ
永井 浩二 非業務執行取締役
(取締役会長)
奥田 健太郎 代表執行役社長
グループCEO
寺口 智之 代表執行役副社長
小川 祥司 非業務執行取締役
石村 和彦 社外取締役
高原 豪久 社外取締役
島崎 憲明 社外取締役
園 マリ 社外取締役
Laura Simone Unger
[ローラ・アンガー]
社外取締役
Victor Chu
[ビクター・チュー]
社外取締役
J. Christopher Giancarlo
[クリストファー・ジャンカルロ]
社外取締役
Patricia Mosser
[パトリシア・モッサー]
社外取締役

取締役へのサポート体制

当社は、監査委員会および取締役の職務を補助する専任の部署として取締役会室を設置しており、同室が監査委員会の事務局機能を果たすとともに、社外取締役に対し定期的に経営に関する情報を提供するなど、取締役の職務支援を行っています。

また、取締役会の開催に際しては、社外取締役に対し取締役会の事前説明などの機会を利用して継続的に、当社の事業内容、事業計画、財務状況、内部統制などのガバナンス体制等の重要な事項につき、必要な説明を行っています。

さらに、社外取締役は、必要に応じ、執行役および従業員に対して説明もしくは報告または資料の提出を求めることができ、当社の費用において、法務、会計その他の外部専門家を利用できることとしています。

取締役会の運営状況

取締役会は3カ月に1回以上の頻度で開催され、当社の経営を取り巻く環境やビジネスの状況などについて議論を重ねています。また、取締役会とは別に、社外取締役によるフリーディスカッションの場として定期的に開催する社外取締役会議において、野村グループの経営戦略や取締役会の運営などについて議論を実施し、監督機能の強化に役立てています。

開催回数 12回(2021年4月1日から2022年3月31日まで)

主な審議事項

  取締役会の主な議題 審議内容
第1四半期 株主との対話実施について Stakeholder Relationにおける訴求ポイントや機関投資家の反応等について報告・議論
業務執行報告 新設されたIM部門を加えた、営業、WSの各3部門の今後の課題および戦略について報告
米国顧客との取引事案における対応状況について 2021年3月に発生した米国顧客取引に起因する多額の損失について、執行側からの事案の経緯や発生原因等の報告
インベスター・デー及び中長期的な経営戦略について 当社の優先課題、経営ビジョン、ビジネス戦略について報告・議論
リスク・マネジメント報告 米国事案を踏まえ、リスク管理の強化を図るためのアクションプランの進捗状況について報告・議論
開示の高度化について 国内外の法令改正を踏まえた法定開示書類の高度化に向けた検討事項の報告・議論
第2四半期 当社のデジタルの取組みについて 当社のデジタル活用の考え方、デジタル・アセットの概要及びKomainuをはじめとした当社の具体的な取組み事例について報告・議論
業務執行報告 営業、WS、IM各部門の概況、足元の収益およびKPI等の状況について報告・議論
サステナビリティ関連報告 野村グループのサステナビリティへの取り組み及び推進体制について報告・議論
政策保有株式検討委員会報告 現時点の保有状況、今後の対応について報告・議論
リスク管理高度化に向けた取り組み及び進捗状況について 米国事案に関する改善策の進捗状況について報告・議論
第3四半期 2021年株主総会における議決権行使結果について 2021年株主総会における議決権行使状況の共有、議案に対して反対・棄権が行われた主な理由等について報告・議論
業務執行報告 営業、WS、IM各部門のミッドタームレビューを踏まえた今後の課題と戦略、及びWS部門の欧州の最適化について報告・議論
サイバーセキュリティについて 外部ベンダーによる当社のサイバーセキュリティ態勢の評価結果、及び当社のサイバーセキュリティに対する取組みについて説明・議論
コーポレートガバナンス・コード(CGコード)対応 CGコードの改訂を踏まえて、当社のCGガイドラインを改訂。加えて、当社のサステナビリティに関する具体的な対応方針を定めたサステナビリティ・ステートメントについて報告・議論
監査活動所見に対する報告 監査委員会から執行側への提言に対して、執行側からの回答を報告・議論
リスク管理高度化に向けた取り組み及び進捗状況について リスク管理高度化への各種施策の進捗状況について報告・議論。併せて、新設されたリスク委員会及びリスク管理高度化推進委員会での審議・議論内容について報告・議論
第4四半期 重要な訴訟の状況について 重要な訴訟の状況、交渉状況等について報告・議論
業務執行報告 営業、WS、IM各部門の概況、中長期的な戦略に向けた足元の取り組み、及びウクライナ情勢について報告・議論
100周年に向けた取り組みについて 100周年事業推進体制及び今年度の取り組みについて報告・議論
行動規範の改定について 本年度も見直しを行い、リスク・カルチャーの浸透を目的に「リスクと正しく向き合う」という新項目を追加する等「野村グループ行動規範2022」として改定を実施
リスク管理高度化に向けた取り組み及び進捗状況について リスク管理高度化への各種施策の進捗状況について報告・議論。併せて、高度化施策の重要要素の策定や推進体制の整備についても報告・議論

取締役会の実効性評価

当社は、2016年3月期以降、取締役会の実効性に関する評価を実施しています。取締役会の運営方法や情報提供の質・量、取締役会における議論の状況などについて、各取締役がそれぞれの項目を評価し、その結果を踏まえて、取締役会および社外取締役会議で議論を行い、課題として挙がった項目については、取締役と執行側でさらに議論を進めることで、監督機能の強化に取り組んでいます。

これらの取り組みも踏まえ、取締役会として、取締役会の実効性は本年も概ね良好な水準にあるものと評価しています。当社は、指名委員会等設置会社として、執行の機動性を確保しつつ、取締役会内外において各取締役がその知見を活用する機会の充実に努め、取締役会による監督機能のさらなる高度化を図っています。

イメージ図:取締役会の実効性評価
評価項目
  • 取締役会の構成・運営
  • 取締役会への情報提供
  • 経営目標や経営戦略への取締役会のかかわり
  • 取締役会の経営監督機能
  • 指名・監査・報酬・リスクの各委員会の構成・運営
  • ステークホルダーとの対話状況のモニタリング
  • 社外取締役会議の運営 など
結果を受けた対応 前年の結果を受けた対応
  • 2021年度は、定例議題の時間を短縮し、中長期の経営戦略、リスク管理の高度化、サステナビリティ、サイバーセキュリティ等の戦略的な議題について重点的に議論しました。
  • リスク管理の高度化の一環として、グループのリスクを監督する専門監督機関としてリスク委員会を新設しました。委員6名中5名を社外取締役とし、議長にも外国人社外取締役を選定することで執行からの独立性の高い構成としています。リスク管理の高度化の進捗状況、リスク・アペタイト・ステートメントの改訂、ウクライナ情勢等について報告・議論しています。
  • 当社のビジネスポートフォリオにおける海外比率の高まりも受け、監査委員会については外国人の社外取締役を新規に委員として選定する旨を決定しました。
今後の課題
  • リスク管理の高度化への取り組みが適切に進捗しているか引き続き監督を実施します。
  • 中長期の経営戦略、経営目標、サステナビリティ、デジタル及びITガバナンス等をはじめとした、より戦略的な議題にフォーカスするとともに、適切にモニタリングを実施していきます。

社外取締役インタビュー

コーポレート・ガバナンス体制

2022年6月20日現在

※下記表は横にスクロールしてご覧ください。

2022年3月末現在
  議長・委員長 社外取締役比率 2021年度開催回数(平均出席率)
取締役会 非業務執行取締役 67% 12回(100%)
指名委員会 社外取締役 67% 7回(100%)
報酬委員会 社外取締役 67% 9回(100%)
監査委員会 社外取締役 67% 24回(100%)
リスク委員会 社外取締役 83% 4回(100%)
社外取締役会議 社外取締役 100% 4回(100%)

委員会

指名委員会

指名委員会は、株主総会に提出する取締役の選任および解任に関する議案内容の決定を、人格・識見、倫理観、企業経営の経験や専門性、独立性などの一定の選任基準を踏まえて行っています。指名委員会は、社外取締役の石村和彦および高原豪久ならびに執行役を兼務しない取締役の永井浩二で構成され、委員長は石村和彦が務めています。

監査委員会

監査委員会は、取締役および執行役の職務執行の監査ならびに監査報告書の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任および解任ならびに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定を行う法定の機関であり、取締役会で4名の委員を選定しています。監査委員会は社外取締役の島崎憲明、園マリおよびVictor Chuならびに執行役を兼務しない取締役であり常勤監査委員の小川祥司で構成され、委員長は島崎憲明が務めています。すべての委員は、米国企業改革法で定める独立性の要件を満たしており、また、島崎憲明は同法に基づく財務専門家であり、財務および会計に関する相当程度の知見を有するものであります。

報酬委員会

報酬委員会は、取締役および執行役の報酬等の内容に係る決定に関する方針および個人別の報酬等の内容を決定しています。報酬委員会は、社外取締役の石村和彦および高原豪久ならびに執行役を兼務しない取締役の永井浩二で構成され、委員長は石村和彦が務めています。

リスク委員会

リスク委員会は、取締役会による野村グループのリスク管理の監督を補助し、リスク管理の高度化に資することを目的とする任意の機関です。リスク委員会は、社外取締役のLaura Simone Unger、島崎憲明、Victor Chu、J. Christopher GiancarloおよびPatricia Mosserならびに執行役を兼務しない取締役の小川祥司で構成され、委員長はLaura Simone Ungerが務めています。

執行役による業務執行

当社は指名委員会等設置会社であることから、取締役会が執行役に業務執行の決定の権限を、法律で認められる限りにおいて原則として委任し、執行役が当社の業務を機動的に執行する体制をとっています。取締役会の決議により執行役に委任された事項のうち、特に重要な業務の決定については、「経営会議」、「グループ・リスク管理委員会」、「サステナビリティ委員会」、「内部統制委員会」といった会議体における審議を経て決定することとしています。経営会議等での審議状況について、取締役会は、3カ月に1回以上の報告を受けることとしています。

また、高度化・専門化する金融業務における業務執行体制の一層の強化を図るため、執行役から業務執行権限の一部の委譲を受け、個々の担当分野のビジネス、オペレーションに専念する役割を担う「執行役員」を設置しています。