サステナビリティNOW #1社会課題解決に「自分ゴト化」の力を

経営ビジョンに「社会課題の解決を通じた持続的成長の実現」を掲げている野村グループ。ただ、金融サービス業はSDGsへの直接的な貢献や成果が、なかなか見えにくいとの指摘もあります。
私たちはSDGs達成のために何が出来るのか――。社会のため、そして未来のための取り組みを広げていきたいとの思いから、執行役員・谷垣浩司が有識者と対談し、さらなる可能性を議論していきます。

第一回目のお相手は、ベンチャー投資家であり、京都大学経営管理大学院客員教授の山本康正さん。対談で強調されたのは、世の中で起きていることや社会へのかかわりについて、他人事と素通りしてしまうのではなく、「自分ゴト化」して考えてみるという姿勢でした。

投資先の選定、パーパスを重視

山本さんが、幅広い選択肢から投資先を選ぶ際に大切にしているのが、なぜその事業を、その人がやるべきか、つまりパーパスだと言います。起業した人が、どのような思いでビジネスを立ち上げ、なぜその人でなければ出来なかったことなのか、が明快であればあるほど、ビジネスの成長性は高まるためです。

野村グループの一員として私たちがSDGsという社会課題に向き合う際にもその概念は共通し、大切なのは、社会問題は自分たちの課題だと「自分ゴト化」し、頭を働かせることだと話します。

エアビーの教訓
2021年8月、アフガニスタン情勢の混乱によりアフガン難民が世界中に発生すると、民泊仲介のAirbnb(エアビーアンドビー)は、2万人分の住居を無償提供すると表明し、話題になりました。
「遠い海の向こうで何か起きている」と思うだけでなく、「自分と同じような年代、もしくは自分の子供と同じような人たちが苦しんでいることを、どう自分ゴト化するかなのです」――。山本さんはエアビーの事例を挙げ、こう話します。

つまり、当事者意識をもって真摯に考えてみれば、無関係と思っていたことが関係のある"自分ゴト"になり、貢献できることは何かを具体的に見いだすチャンスになる。SDGsはそこから始まるということです。

社会課題解決のためのイノベーション

もとは銀行で証券、先物取引の定量分析に携わった山本さんは、米国留学、グーグル勤務などを経て、フィンテックや人工知能(AI)による事業のデジタル活用を推進するなかで、"社会課題解決の最強のツールはテクノロジー"との思いを強くします。そして、テクノロジーがイノベーションを推進し得る分野も、教育からビジネスなどまで、幅広いと指摘します。

例えば、途上国支援の一環で、ある村に学校を建設しても先生が不足していることがある。それがもし、海外の先生とリモートでつなぎ授業ができれば、子どもたちに教育の機会を提供できるようになる。また自動車を例に考えると、再生エネルギーを活用した次世代モビリティへシフトすることで、温室効果ガスの排出量を削減できるほか、自動運転が実現すれば、高齢化が進む日本において「高齢者のクオリティ・オブ・ライフ」を上げることが可能になるかもしれません。

証券業の“特性”
社会課題に対して、どういった形で貢献できるのか――。世界中でSDGs、ESGの潮流が経営と切り離せない自分ゴトになった今、「この会社でなければできなかった」ことを実践するのが企業市民としての責任です。

金融の原点に立ち返ってみると、グリーンボンドやソーシャルボンドなどの引受を通じて持続可能なビジネスモデルへの転換を図る事業会社をサポートする、M&Aアドバイザリーを提供することで社会課題解決に向けたイノベーション創出を支援する、事業のグリーン化に必要な資金を調達したい企業と、投資によって環境問題の解決に貢献したい投資家を結びつける、といった、正しいお金の循環を作り、良い経済の仕組みを作ることは、私たちの重要な役割です。

証券業の“特性”
社会課題に対して、どういった形で貢献できるのか――。世界中でSDGs、ESGの潮流が経営と切り離せない自分ゴトになった今、「この会社でなければできなかった」ことを実践するのが企業市民としての責任です。

金融の原点に立ち返ってみると、グリーンボンドやソーシャルボンドなどの引受を通じて持続可能なビジネスモデルへの転換を図る事業会社をサポートする、M&Aアドバイザリーを提供することで社会課題解決に向けたイノベーション創出を支援する、事業のグリーン化に必要な資金を調達したい企業と、投資によって環境問題の解決に貢献したい投資家を結びつける、といった、正しいお金の循環を作り、良い経済の仕組みを作ることは、私たちの重要な役割です。

金融は国境を越える。おカネは世界を駆け巡る――。日本の株式市場の売買の半分以上を外国人投資家が占めることが当たり前のこの時代に、山本さんは、「グローバルな感覚を持つ金融こそ、(社会貢献に向けて)実は非常に大きな役割を担っているのではないか」と期待し、「(野村という)特性があるがゆえ」にできることを、私たち一人一人が考える大切さを強調します。

お金の役割を考える

会社員の退職金が基本的には運用されているように、見えないところで投資はすでに私たちの人生に組み込まれています。その将来の生活設計に関するしくみを知っておくためにも、中学生や高校生はある程度のファイナンス知識があってもいい、と山本さんは言います。

2022年4月から高校の新学習指導要領がスタート。教科書に投資信託が登場し、家庭科では家計と経済の関わりなどについて学ぶ機会ができます。投資を行うことが、なぜ持続可能な社会づくりに役立つのか?そもそも株式投資とは?

そしておカネの役割とは何か?――。
お金は目的ではなく“手段”であり、そのお金で何をするかが大事ではないか、と山本さんは問いかけます。教育の現場で、経済やマーケットの動きを「自分ゴト化」し、ツールとしてお金について考える、そんな時代が当たり前になるのかもしれません。

山本康正氏
東京大学大学院で環境学、サステナビリティを学び米ニューヨークで三菱東京UFJ銀行(当時)に勤務。定量分析による証券投資に携わる。ハーバード大学大学院で理学修士号を取得。卒業後グーグルに入社し、フィンテックや人工知能(AI)などで日本企業のデジタル活用を推進。現在ベンチャー投資家として日本と海外のベンチャー企業のビジネスモデルを精査し投資している。主な著書に「次のテクノロジーで世界はどう変わるか」「テクノロジーの教科書」「2025年を制覇する破壊的企業」「スタートアップとテクノロジーの世界地図」「世界を変える5つのテクノロジー -SDGs、ESGの最前線-」など。

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