アドバイザリー&ファイナンス
野村グループは、お客様のニーズに合わせた商品・サービスの提供を通じて適切な資金循環を促し、経済成長と社会の持続的な発展に貢献することが金融サービス業の社会的役割であると考えています。また、グローバルに事業を展開する企業の責任として、気候変動問題や社会的課題の解決に資する金融サービスを提供するとともに、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けても取り組みを推進していきます。
ハイライト
サステナブル・ファイナンス実績
2026年3月までの5年間で合計1,250億ドルのサステナブル・ファイナンス案件に関与することを目指しています。
2024年3月期
285億ドル+
(累計約750億米ドル/2024年3月期実績)
資金調達のサポートを通じた環境・社会課題への対応
野村グループは、グリーンボンド、ソーシャルボンドに代表される債券の引受・販売を通じて、社会に貢献したいという投資家のニーズと、社会課題の解決を目的としたプロジェクトにおける資金需要との橋渡し役を担っています。ESG投資の重要性が高まるなか、国内・海外においてサステナブル・ファイナンスに取り組んでおり、資本市場を活用したSDGsの達成に貢献しています。
野村證券は、2017年に引受部門の一つであるデット・キャピタル・マーケット部にESG専任チームを設置し、2018年には、グローバルな体制を構築しました。また、2022年には、サステナブル・ファイナンス部を新設し、サステナビリティ関連ビジネスへの取り組みをさらに強化しています。欧州、米州、アジアとグローバルに構築されたプラットフォームを活用し、海外におけるサステナブル・ファイナンスにおいても最適なソリューションを提供しています。
サステナブル関連分野におけるアドバイザリーおよびファイナンス業務の強化
サステナブル・プロダクトに対する需要拡大や社会的ニーズを踏まえ、サステナブル関連分野のソリューションを提供していきます。成長分野への投資を継続し、お客様の新たなニーズに対応していきます。
ノムラ・グリーンテックによるM&Aアドバイザリー・サービスの提供
2020年4月、野村グループは米国におけるサステナブル・テクノロジーとインフラストラクチャー分野でM&A助言のリーディング・ブティックである、グリーンテック・キャピタルを傘下に迎えました。新たなブランド「ノムラ・グリーンテック」を立ち上げ、環境関連の優れた技術を持つ成長企業と投資家をグローバルにつなぎ、エネルギー、輸送、食品、水、廃棄物などの社会インフラがより持続可能なシステムへ移行していくことをサポートしています。
2022年4月、 チームの再配置や外部からの採用を通じて、約150名のバンカーからなる「グリーンテック・インダストリアルズ&インフラストラクチャー(GII)」というチームを設置しました。お客様の事業ポートフォリオ再編による脱炭素化支援など、サステナビリティ分野におけるM&Aアドバイザリー・サービスを、グローバルに強化・推進していきます。
エネルギー関連インフラストラクチャーへのファイナンスの取り組み
インフラストラクチャー&パワー・ファイナンス(以下、「IPF」)ビジネスでは、ニューヨークを拠点とする専任チームが、グリーン・プロジェクトやその他資産の案件ソーシング、組成、執行、販売までをグローバルに手掛けています。2017年のチーム発足以来、インフラやサステナブル資産のプロジェクトを150億ドル以上引き受けており、うち半分以上が太陽光発電やその他再生可能エネルギー関連となっています。
ケーススタディ
IPFは、Enfinity Globalによる400メガワットという大規模な稼働済み太陽光発電所のポートフォリオの取得を支援しました。同社は大手再生可能エネルギー事業者であり、この買収は日本と欧州での成長に続き、米国での事業拡大における重要なマイルストーンとして位置付けられています。IPFは約3億ドルの融資を引き受け、コモンウェルス銀行、フィフス・サード銀行、バイエルン州立銀行などのさまざまな金融機関に販売しました。Enfinity Globalが世界的な大手デベロッパーとして成長しているなか、この取引は日本で築いた当社との強固な信頼関係により、成立しました。
サステナブル・ファイナンスの発展に向けて
サステナブル・ファイナンスの発展に向けて、国際基準の策定の推進やセミナーの開催など、さまざまな取り組みを行っています。
野村グループでは、専門性を持ったプロフェッショナルな人材が国や地域、部門を超えて連携し、知見の蓄積、市場や法規制動向のモニタリング、サステナブルな金融商品・サービスの拡充等を図るとともに、業界の活動にも積極的に参加しています。当社は、国際資本市場協会(ICMA)のクライメート・トランジションファイナンス・ワーキンググループ、ソーシャル ボンド・サステナビリティ・リンク・ボンド・ワーキンググループの活動に参画するほか、ロンドン証券取引所のサステナブル・ボンド・マーケット・アドバイザリーグループ、サステナブル・ファイナンスに関する政府や日本証券業協会等の各種団体のメンバーとして、サステナブル・ファイナンスの分野におけるルール・メーキングにも積極的に関わること で、サステナブル・ファイナンス分野全体の活性化にも貢献しています。
ICMAのガイドラインに関する年次総会でリード・スポンサーを務める
2023年6月にシンガポールで開催された国際資本市場協会(ICMA)のガイドラインに関する年次総会で、当社がリード・スポンサーを務めました。経済産業省によるGX経済移行債(クライメート・トランジション・ボンド)についての基調講演が行われるなど、サステナブル・ファイナンスにおける日本の存在感を高める役割を担いました。
GX経営促進ワーキング・グループにおける取組み
当社は、2022年2月に経済産業省により設立された「GXリーグ」に参画しています。「GXリーグ」の主な取り組みの一つであるGX経営促進ワーキング・グループ(以下、WG)の幹事企業を2022年9月の設立以来務めており、企業が市場に提供する製品・サービスによる温室効果ガスの排出削減効果である削減貢献量について、どのように企業価値の向上に繋げられるかを議論してきました。2023年3月には、議論の結果を「気候関連の機会における開示・評価の基本指針」として公表したほか、削減貢献量の事業会社による開示、および金融機関による企業評価への活用を促進するため、2023年12月には「削減貢献量 -金融機関における活用事例集-」を、2024年5月には「削減貢献量 -事業会社による推奨開示仮想事例集-」を策定しました。また、2023年12月にドバイで開催されたCOP28では、ジャパンパビリオンで開催された削減貢献量に関するセッションに本WGを代表して当社社員が登壇し、本WGのこれまでの取り組みを紹介することで削減貢献量の国際的な発信に貢献しました。
インパクトスタートアップの取組みをサポート
野村グループでは、「社会課題の解決」と「企業の持続可能な成長」を目指すインパクトスタートアップの取り組みをサポートしています。2023年2月に、インパクトスタートアップのエコシステムを構築し持続可能な社会を実現することを目的として設立されたインパクトスタートアップ協会(以下、ISA)にプラチナ賛同会員として加入しました。2024年3月には、当社研修施設である高輪研修センターにて野村證券とISAとの共催イベント「Impact Camp2024」を開催しました。本イベントは、インパクトスタートアップ同士のネットワーキングや学び合いを目指して企画されたもので、当日はISA会員企業からCXOクラス約100人に加え、野村證券からは約20人が参加しました。当社からはエクイティストーリーやIPOをテーマとしたセッションを提供しましたが、いずれも大変白熱した議論が展開され、インパクトスタートアップの皆様の熱意に直接触れられる貴重な機会となりました。また、非上場企業の株式などをプロの投資家である「特定投資家」向けに発行・流通させる新しいファイナンススキームであるJ-Shipsを活用して、資金調達のサポートを行うなど、金融を中心とした側面からインパクトスタートアップの取り組みをサポートしています。