野村サステナビリティ・デー開催レポート

真に豊かな社会を支えるために

私たち野村グループは、ステークホルダーの皆さまとのお約束として、サステナブルな社会の実現に向けた歩みを加速していくこと、「Drive Sustainability.」を掲げています。真に豊かな社会を支えるために、For Our ClientsとFor Our Societyという考え方のもと、資金や資本の循環を通じてサステナブルに成長する社会づくりに貢献していきます。

今、野村がすべきことは何か?

野村サステナビリティ・デー 野村ホールディングス コンテンツ・カンパニー長 サステナビリティ推進兼金融経済教育担当 鳥海智絵

10月に開催された機関投資家向けIR説明会「野村サステナビリティ・デー」では、野村ホールディングス株式会社 コンテンツ・カンパニー長、サステナビリティ推進兼金融経済教育担当の鳥海智絵執行役員がプレゼンテーションを行い、目まぐるしい速さで変化するサステナビリティを取り巻く環境のもと、今、野村がすべきことは何か、に答えました。

経営の視点で考えるサステナビリティ

サステナビリティへの取り組みが企業価値に与える影響は年々大きくなってきており、企業が果たすべき役割も多くなってきました。特に金融機関に期待されていることは、「資金・資本の流れ」、「マネー」を通じた社会課題の解決、とりわけ脱炭素化社会の実現を目指した取り組みの加速です。

地球温暖化への危機感は世界的に広く共有され、世界全体のCO2排出量の83%に相当する世界137カ国・地域が期限を設けてカーボンニュートラルへのコミットを表明しています。その一方で、ウクライナ紛争を起点とするエネルギー価格の高騰を受けて、各国政府・国際機関によるエネルギー政策の見直しが相次いでいます。金融サービス業界では、各国の金融政策が大きく転換し、資本市場の動揺が続く中、好調だったSDGs債の発行も足元では世界的にペースダウン傾向にあります。

このような環境や情勢を踏まえてサステナビリティ経営を考えると、「不可逆的な長い波動に伴った社会課題への対応を『ビジネス機会』ととらえ、企業として社会に対してなすべきことを実行する一方で、短期間で変化していくトレンド動向を峻別して、それぞれに対して柔軟な経営判断をすることが重要なのではないか」と鳥海は見解を述べました。

野村グループのサステナビリティへの取り組み

野村グループのマテリアリティ

野村グループは、100周年を迎える2025年に向けた経営ビジョンとして、「社会課題の解決を通じた持続的成長の実現」を掲げています。これは、当社の創業の理念に通じるものであり、創業当時から一貫して、社会の持続的成長と当社の企業価値向上を同じ道の先に見ながら歩んできました。

今日、野村グループでは、社会が抱える数多の課題のうち、当社が優先的に取り組むべき社会課題、環境課題のカテゴリーと、それらに対して当社がその解決や対応に向けて重点的に取り組むべきテーマ(マテリアリティ)を特定しています。マテリアリティは、環境の変化や当社におけるビジネスの進展などを踏まえ、毎年見直しを行うこととしています。

For Our Society - 環境課題に対する自社の取り組み

For Our Society - 環境課題に対する自社の取り組み

サステナブルな社会の実現に貢献するためには、まず第一に、当社自身がサステナブルな存在であり続けねばなりません。2021年9月、野村グループは、脱炭素社会の早期実現に向け、環境課題を起点とした自社の取り組みについて、二つの目標を公表しました。

  • (1)2030年までに当社の拠点で排出する温室効果ガス(GHG)排出量のネットゼロ達成

    野村グループにおけるGHG排出量は昨年度で約3万4,000トン。大半は国内外におけるオフィスでの電力使用によるものです。このうち、約50%が再生可能エネルギー起源の電力に切り替わっており、2030年までにネットゼロを達成する見込みです。
  • (2)2050年までに自社投融資ポートフォリオのGHG排出量のネットゼロ達成

    この目標達成に向けて、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が発足させたNet-Zero Banking Alliance(ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス、NZBA)に加盟。その枠組みに沿って取り組みを進めており、2023年3月までに削減計画を公表予定です。

For Our Client - ビジネス軸での環境課題解決

「脱炭素化実現に向けたビジネスの取り組みは、野村グループにとっては『リスク』よりも『機会』の面が大きい。」と語った鳥海は、続いて野村グループの顧客向けの取り組みについて説明を始めました。

<サステナブル・ファイナンス>

サステナブル・ファイナンス

社会の脱炭素化を達成するために、2050年までに122兆ドル(約1京6,000兆円)もの資金が必要だといわれています。野村グループは、お客様による脱炭素社会への移行を支援するため、2026年3月までの5年間で1,250億ドルのサステナブル・ファイナンス案件に関与することを目指しています。

野村グループの強みは、幅広いスキームを組み合わせながら、当社のグローバルネットワークと市場を活用し、発行体と投資家のニーズに応じたさまざまなソリューションを機動的に提供できることだと鳥海は分析します。今期においては、現在、国内サステナブル・ファイナンス引受実績で首位となるほか、海外金融専門誌「The Banker」より3年連続で「Investment Bank of the Year」を受賞するなど、評価されています。

こうしたサステナブル・ファイナンス分野での戦略的、かつ複合的なアドバイスを可能にするため、組織再編による体制強化も行いました。お客様の事業ポートフォリオ再編による脱炭素化支援など、サステナビリティ関連M&A助言サービスをグローバルに提供する専任チーム「Greentech Industrials &Infrastructure (GII)」を2022年4月に設置しました。国内においては、サステナブル・ファイナンス部を新設し、引受とアドバイザリー、新規ビジネスの創出などの司令塔として機能させています。

※出所:Boston Consulting Group / Global Financial Markets Associationによる「Climate Finance Markets and the Real Economy (2020年12月)」

For Our Client - ユニークなソリューションで社会課題解決

野村グループでは、気候変動対応・環境以外の領域においても、グループの総合力を活かしたユニークなソリューションで、サステナビリティ関連課題の解決を目指しています。

<高齢化社会への対応>

高齢化社会への対応

2022年12月、野村リサーチ・アンド・アドバイザリーはジャパン・サーチファンド・アクセラレーター(JaSFA)と協働し、全国の事業承継の課題を抱える法人と次世代の意欲ある経営者を繋ぎ、事業承継を支援するサーチファンド「ジャパン・サーチファンド・プラットフォーム」を設立しました。投資家等のネットワークを活用しながら、事業承継と経営人材の増加を促進し、投資家に投資機会を提供することで、持続可能な事業承継プラットフォームとなることを目指していきます。

<金融・経済教育の推進>

金融・経済教育の推進

サステナブルな資金循環を促すためには金融リテラシー向上が必要となり、金融・経済教育の普及がその第一歩となります。野村グループでは、日本の小・中学生からシニア層まで幅広い世代を対象とした金融・経済教育に1990年代から他社に先駆けて取り組んできました。学校への教材の無償提供や情報発信を行い、特に出張授業の累計受講者数は延べ94万人を超えています。「あらゆる人が未来を考え、選択する自由を持ち、精神的・経済的な豊かさ(=ファイナンシャル・ウェルビーイング、financial well-being)を感じられる社会づくり」をビジョンに据え、取り組みの拡大・加速のために2022年4月にファイナンシャル・ウェルビーイング室を新設しました。

<フード&アグリ分野での取り組み>

農業は、サステナビリティ課題に深く関連する分野であり、近年ではスマート農業、アグリテック、フードテックなどのキーワードに新しい事業機会の創出に対する期待が高まっています。こうした潮流に先駆け、2010年、野村グループは農業を軸としたコンサルティングや実行支援の提供を通じて地域活性化を図り、日本経済の持続的発展に貢献することを目指したグループ会社・野村アグリプランニング&アドバイザリー(NAPA)を設立しています。

フード&アグリ分野での取り組み

2022年8月、NAPAは植物工場を経営するスタートアップ企業の資金調達にかかるアドバイザーを務めました。植物工場には、水や電力の消費軽減、フードロスの削減、省人化など、さまざまな社会的課題を解決する手がかりがあります。また、本件は未上場企業の資金調達ニーズと投資ニーズのあるお客様を橋渡しすることで、商品・サービス、お客様、デリバリー、それぞれの軸をパブリック領域からプライベート領域へと拡大・強化することを目指した当グループの事業戦略が具体化した案件となりました。

サステナビリティ推進の基盤

サステナビリティ推進の基盤

野村グループにとって、サステナビリティ推進の源泉は人材です。金融・サステナビリティ分野で高い専門性を培い、柔軟な発想を生み出すため、研修・育成プログラムから能力開発支援制度、ダイバーシティ、エクイティ(公平性)&インクルージョンの推進まで、野村グループではさまざまな施策を通じて、社会課題解決に貢献できる人材マネジメントを続けています。同時に、全世界の従業員を対象としたエンゲージメントサーベイを通じて、組織内のコミュニケーションや社員の満足度のモニタリングを実施。結果は社員へフィードバックされ、生産性向上や持続的成長に繋がるのか、という観点から検証しながら、課題へのアプローチを実施しています。

サステナブルな社会実現への歩みを加速

サステナビリティを経営戦略と捉え、幅広いステークホルダーとのパートナーシップで、さまざまな社会課題の解決へとつなげる力(ちから)を戦略的に高めていることを報告した鳥海は、野村サステナビリティ・デーを次の言葉で締めくくりました。

「引き続き、社会課題の解決を通じて、お客様および広く社会の持続的成長に貢献し、当社自身もしっかりと企業価値をあげてサステナブルな存在であり続けるよう努めていきます。」

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