江夏 あかね
- 世界の金融資本市場では近年、「グリーンウォッシュ」に着目し、リスク管理体制を強化する動きが鮮明化している。グリーンウォッシュとは、端的には、実態が伴わないにも関わらず、環境配慮を印象付けようとすることを指す。
- グリーンウォッシュは、1980年代頃から事例が見られるようになり、増加傾向にあったが、足元では規制当局等の監視の強化もあり、減少傾向にある。しかし、深刻なリスク事例は増加傾向にあるなど、予断を許さない状況である。
- 国際資本市場協会(ICMA)の調査分析結果によると、グリーンボンド等のサステナブル関連債券に関してグリーンウォッシュが広まっているわけではないが、サステナブルファンド業界においてはグリーンウォッシュが問題になっている。
- グリーンウォッシュに関して世界的な定義が存在しないことや、経済・社会情勢の変化、環境関連技術のイノベーションの進捗、情報・データの拡充等を踏まえると、適切な管理方法に唯一の解はないと言える。
- 金融資本市場参加者にとって適切な管理方法のカギになり得るのは、(1)誠実さ(integrity)と透明性(transparency)を軸に、コミュニケーションを行うこと、(2)国内外の法律・規制、ガイドライン、国際的な論考等を観察し、管理体制の最適化を継続していくこと、である。