西山 賢吾
- 野村資本市場研究所で算出した2024年度の「株式持ち合い比率」は前年度比で低下し、6年連続で過去最低水準を更新した。保有主体別にみると、株式持ち合い比率を構成する上場事業法人、上場銀行、生命保険会社、損害保険会社のすべてで低下した。特に上場事業法人は前年度に比べ0.7ポイント低下し、最大の保有比率低下主体となった。
- 2023年度は持ち合い解消、政策保有株式の売却が進む一方、株価の上昇で保有株式の保有金額が増加したため、保有株式の対自己資本比は2022年度に比べ上昇した。2024年度は年末の株価水準が2023年度と大きく変わらなかったこともあり、低下が進んだ。一方で、時価総額の相対的に大きな企業では保有株式の圧縮が順調に進んでいるものの、時価総額の相対的に小さな企業では圧縮のスピードが緩慢なように見える。また、金融業の中では、メガバンクや生命保険会社・損害保険会社では圧縮が進んでいるが、地銀ではあまり進んでいない模様である。
- 株式持ち合い解消促進の一要因である、機関投資家の議決権行使における過大な保有株式に関する基準は2026年度以降さらに厳格になる可能性が高く、株式持ち合い比率の更なる低下につながるであろう。株式持ち合いを巡る今後の注目点としては、(1)いわゆる「政策保有株式ウォッシュ」の懸念への対応が2025年3月期以降の有価証券報告書において行われたことの影響及び効果、(2)取引の縮減等を示唆することで政策保有株式売却、持ち合いの解消を妨げる、いわゆる「政策保有株式を売らせない」問題に関する議論の進展、(3)持ち合い解消、政策保有株式削減で獲得した資金の使途の明確化、などが挙げられる。