グループCEO永井浩二メッセージ

2020年のその先へ 代表執行役社長 グループCEO 永井浩二

私たちを取り巻く環境は、今後、大きく変わっていくと予想されますが、そのなかにあっても、「すべてはお客様のために」という基本観は変わりません。「2020年のその先」を見据えて、どのような環境下でも持続的に成長できるような盤石な事業基盤をつくるべく、「変革と挑戦」を続けてまいります。

持続的な成長のための"変革"と"挑戦"

2014年8月、当社は、2020年に向けた長期経営ビジョン「Vision C&C」を発表しました。そのなかで、当社は、2020年までに、どのような環境下であっても、持続的に成長できるような盤石な事業基盤を構築することを掲げました。その背景には、私たちを取り巻く環境が、これから大きく変わっていくであろうという想定があります。今後、日本では少子高齢化がますます進み、アジア各国の経済成長にともなってグローバルの勢力図も変化していくでしょう。イノベーションがさらに進展し、世の中の常識やビジネスの在り方が根本的に変わっていくかもしれません。もちろん、10年、20年先の未来がどのようになっているか、明確に予測することはできません。従って、こうした不確実性の高い環境においても、持続的に成長できるよう、今から一つひとつ着実に布石をうち、強固な地盤を固めておきたいと考えたのです。

このビジョンの実現に向けて、「国内におけるビジネスモデルの変革の推進」と「海外ビジネスの収益性のさらなる改善」という、二つの大きなテーマに取り組んでいます。営業部門では、真のパートナーとして、お客様一人ひとりに寄り添い、個々のニーズにお応えするコンサルティング営業へと変革し、ビジネスの多様化と拡大に挑戦しています。ホールセール部門では、お客様のニーズがあり、当社が強みをもつ分野にフォーカスし、さらなる高みを目指せるビジネス・ポートフォリオを再構築しました。

これらの取り組みは、すでに成果に結びついたものもありますが、「2020年のその先」を見据えたとき、まだまだやるべきことは数多くあります。当社が培ってきた強みを活かしつつ、内なる変革を起こしながら、果敢に挑戦を続けていくことで、成長のチャンスをつかみ取っていきたいと考えています。なかには、短期的な成果や利益につながりにくい取り組みもありますが、長期的な視座で、私自らがフルコミットし、旗振り役を務めていきます。

"リテール"と"ホールセール"が両輪となりシナジーを発揮する野村のビジネスモデル

当社は、もともと、日本でリテールの盤石な基盤を構築し、そのリテールの強みの上に、独立系の優位性を活かしたホールセールを併営することで、リテールとホールセールの「両輪モデル」を築き上げました。金融業界では、総じて、引受機能をもつホールセールが川上で、販売が川下という構図が一般的ですが、野村はむしろその逆です。だからこそ強みがある、ということをリテールとホールセールの両方を経験した私にはよく理解できるのです。

実際、発行体であるお客様も、野村の販売力を何よりご存知で、こうしたお客様の信頼にお応えしてきたからこそ、上場企業の6割以上からビジネス上の強固なパートナーとしてご指名いただいているのだと思います。さらに、全国の金融機関をはじめ、機関投資家を広くカバーすることで、幅広いお客様に流動性を供給することができ、グローバル・マーケッツの競争力につながる。当社が創業以来、一度もホールセールとリテールを分離することなく、一体運営を続けた理由はここにあります。つまり、このホールセールとリテールの「両輪モデル」により生み出されるシナジーこそが、野村の強みの源泉といえるのです。

法人のお客様からは提案力とともに強力な販売力を、個人のお客様からはコンサルティング力とともに引受による豊富な商品供給力を評価いただき、「だから、野村と取引する」と言っていただけることに、私たちは誇りを感じています。

"アジアに立脚したグローバル金融サービス・グループ"として、アジアと共に栄える

日本で成功したリテールとホールセールの両輪モデルは、地域によっては、海外でも十分通用すると考えています。しかし、欧米には長い歴史と伝統をもったブランド力の高い金融機関が数多く存在するため、そこで当社がリテールを一から展開し、ブランドを構築するのは容易ではありません。一方、日本を含むアジアを"マザーマーケット"と位置づける当社にとって、アジアには地の利があり、それができると考えています。

アジアと一言でいっても、国ごとに事情や人口の伸び具合、経済発展の段階などはさまざまです。直接金融において、本当の意味でのリテール・ビジネスが成立するには、一人当たりGDPが15,000ドル~20,000ドルに達し、いわゆる中間層が出現するのを待たなくてはなりません。今後、アジア各国はこのゾーンに入ってくることが想定され、長期的にはビジネス機会が十分にあると考えています。ただ、タイミングは早すぎても、遅すぎてもいけない。いつ、どこで、どのように布石を打つか。時期を見極めながら、決断することになります。

すでに、タイのCapital Nomura Securities(CNS)およびフィリピンのBDO Nomura Securitiesでは、オンライン取引を中心としたリテール・ビジネスを行っています。まずはここでしっかりと口座を増やし、今後、経済の成熟とともに現れてくるであろう中間層に対応していきたいと考えています。タイは、近い将来、そのタイミングに差し掛かるところであり、CNSでは、500人のファイナンシャル・アドバイザーが担当のお客様をもち、コンサルティング・サービスを提供し始めたところです。

また、中国(上海)自由貿易試験区において、現地金融機関との合弁会社を設立するなど、今後さらなる発展が見込まれる中国においても、着実にビジネス基盤構築を進めています。

1人当たりGDP※1と、アジアにおける当社のリテール、アセット・マネジメント関連ビジネス

1 出所:United Nations、台湾のみIMF

2 ホールセール・ビジネスも手掛ける

アジアのホールセール・ビジネス、特に、投資銀行ビジネスはフィーが薄く、競争が激しいという声も聞かれますが、両輪モデルのもう片方の車輪、すなわち、盤石なリテールの顧客基盤を構築し、強力な販売網を確立できれば、そういった競争にいたずらに巻き込まれることはないはずです。当社がアジアにおける両輪モデルを本格稼働させ、日本を含むアジア全体を、欧州・米州とつなげることによって、誰にも真似のできない「真の強み」になることは間違いありません。これこそが、私たちが目指す「Connecting Markets East & West(日本を含むアジアと欧米のマーケットを結ぶ)」の本質です。

押し寄せる"大相続時代"と"テクノロジーの進化"。世代を超えて、当社が選ばれる存在になるために

写真:代表執行役社長 グループCEO 永井浩二

翻って、当社の最大の強みである日本のマーケットでは、少子高齢化やテクノロジーの革新により、人々の暮らしや行動が大きく変化していくと予想されます。

「人生90年」が当たり前の時代を迎え、豊かな老後のためには、長期的な視点に立った個人の金融資産の形成と管理が必要になっています。国もさまざまな制度を導入しており、2018年からスタートする積立型NISAは、20年間の非課税期間があり、その間の利益には税金が掛かりませんし、個人型確定拠出年金(iDeCo)にも、税制上の優遇措置がなされています。こういった制度を活かし、シンプルで手数料の安い商品に長期的に投資していただけるよう、システム開発も含めて対応します。長期的な視座で、今から、こうした資産形成層のニーズもしっかりと取り込んでいき、20年後に大きな花が開くことを目指しています。

この資産形成層に対するアプローチに際しては、AIやビッグデータの活用など、最先端技術の活用が不可欠です。例えば、資産運用助言型ロボアドバイザー「野村のゴールベース」やスマートフォン向けアプリ「moneby(マネビー)」をリリースしたのは、その一環です。このような最新のテクノロジーの活用に際しては、社内に専門部署を設け、ベンチャー企業との共創など、オープン・イノベーションを推進するほか、イノベーティブなビジネスを推進しています。

また、年間50兆円を超える規模の相続が発生する、いわゆる「大相続時代」が到来するなか、お客様からは、資産運用だけでなく、相続や事業承継に関する悩みやニーズについてご相談いただくことが増えています。こういったお客様の声に応え、さまざまなソリューションを提供するために、専門部署を立ち上げ、また弁護士、公認会計士、税理士が当社に常駐して、日々のサポートを行っています。

1,800兆円にのぼる個人金融資産を、いかに守り、いかに増やしていくか。そのために、野村が果たすべき役割は数多くあります。現在、豊かな高齢社会の実現に向けた学際的研究である老年学(ジェロントロジー)の研究が内外で脚光をあびていますが、当社は、2016年10月、慶應義塾大学と共同で、「長寿・加齢が経済及び金融行動に与える影響(ファイナンシャル・ジェロントロジー)に関する研究」プロジェクトを立ち上げ、高齢者の資産管理に関する課題解決に向けて、研究・提言を行うこととしたのも、その一環です。引き続き、お客様のニーズに寄り添い、グループを挙げて取り組んでいくことで、世代を超えてお客様から選ばれる存在になりたいと思います。

「変革と挑戦」を支えるのは、いつの時代も変わらぬチャレンジング・スピリッツ溢れる人材

写真:代表執行役副社長 グループCOO 永井浩二

そのために、最も大切なのは人材です。

1925年に大阪で創業した当社は、東京では後発組の一社に過ぎませんでした。そして、常に「すべてはお客様のために」という信念のもと、「昨日より今日、今日より明日」という「あすなろ精神」、すなわちチャレンジング・スピリッツをもって、「変革と挑戦」を恐れずに事業に邁進し続けてきました。戦後復興期、「証券の民主化」を推し進め、日本の経済復興に貢献するという信念のもと、当社は当時禁止されていた投資信託の再開を目指し、当局と粘り強い折衝を重ねました。「証券の普及」に向けては、百貨店への投資相談所設置や、女性の投資家を意識した「婦人貯蓄投資講座」の開催を行うなど、社員が考案する新しい手法を次々と打ち出し、成果を上げました。こうした「変革と挑戦」の歴史が、当社には刻まれています。

当社が扱っているのは、製品のように目に見えるものではありません。金融商品を通じて、一人ひとりの価値観や人間性をお客様に買っていただいているといってもいいかもしれません。したがって、社員は、自らの価値観やひいては人間性を磨き、お客様から認めていただくというプロセスのなかで成長します。まさに、「明日は今日よりも成長しよう」という「あすなろ精神」がここにも流れています。

現在、野村グループでは、70カ国以上の国籍をもつ多様性のある社員が活躍しています。その一人ひとりがチャレンジング・スピリッツをもち、プロフェッショナルとして日々成長しながら、部門や地域の壁を超えて強いチームとなることで、大きな力となり、お客様に最適なソリューションを提供する存在であり続けるのです。

社会や環境の課題解決に貢献し、世の中に必要とされ続ける野村に

野村グループは創業以来、創業者野村徳七が説いた「創業の精神」を礎に、経済・社会の発展への貢献に努めてきました。私たちを取り巻く環境は、日々、変わっていきます。そのなかで、次世代に伝えるべきものと、時代の変化に合わせて変えていくべきものをしっかりと整理し、統合する必要があると考え、今般、企業理念として整えました。今後、この企業理念を象徴するコーポレート・スローガンを決定し、お客様をはじめとしたステークホルダーの皆様に共有できるよう、引き続き、社内で協議を重ねていきます。

野村グループ企業理念

社会的使命

豊かな社会の創造
金融資本市場を通じて、真に豊かな社会の創造に貢献する

会社のあるべき姿

お客様に選ばれるパートナー
最も信頼できるパートナーとしてお客様に選ばれる金融サービスグループ

わたしたち一人ひとりの価値観

「挑戦」 変化を尊重し、成長への情熱と勇気を持って挑戦を続ける

「協働」 新たな価値を生み出すために、多様性を尊重し、組織や立場を超えて協働する

「誠実」 高い倫理観のもと、正しい行動をとる誠実さと信念を持つ

私たちが社会から必要とされ、持続的に成長していくためには、幅広いステークホルダーの声に耳を傾け、社会の課題解決に貢献していくことがますます求められるでしょう。さらに、環境、社会、企業統治への配慮も重要です。それらが企業の持続的成長に資するという方針に基づく「ESG投資」も広がりを見せています。5年前に私がグループCEOに就任した際に約束した、お客様、株主、社員の満足度向上のためにも、このESGへの対応に力を入れていきたいと考えています。

私たちは、今までの当たり前が通用しない時代を迎えています。証券業もさらなる変貌を遂げるでしょう。どのような時代がきたとしても、私たちは金融という枠組みを起点として、社会や環境等の課題解決への貢献を大前提に、領域を広げ、進化を続け、世の中から必要とされていく存在になりたい。私たち野村が目指すのは、「今まで以上の未来」です。

Connecting Markets East & West 野村のブランドの考え方(新しいウィンドウ)
NOMURA 日本の挑戦を、サポートするという誇り。東京2020 ゴールド証券パートナー