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自然言語処理技術を応用したSDGs債の判定に関する研究の概要について

2021年10月1日

野村證券株式会社

野村證券株式会社(代表取締役社長:奥田健太郎、以下「当社」)は、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所(代表取締役社長、所長:北野宏明、以下「ソニーCSL」)の技術協力を得て、自然言語処理技術を応用した事業債のSDGs債判定に関する研究(以下「本研究」)を開始した旨を本年8月11日に公表しましたが※1、このたび、本研究の枠組みが定まりましたので、その概要をお知らせします。

近年、国連の持続可能な開発目標(以下「SDGs」)の広がりを背景に、サステナビリティに配慮した債券投資に機関投資家の関心が高まっており、また、起債市場においても、グリーンボンドやソーシャルボンド等の発行が相次いでいます。さらに、低炭素経済社会に移行(トランジション)するためのプロジェクトに資金使途を限定した、いわゆるトランジションボンドも登場し、投資の選択肢は増えています。こうした国際的な潮流を背景に、当社は2019年11月にNOMURA-BPIのサブインデックスとして、グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンド(以下総称して「SDGs債」)で構成されたNOMURA-BPI SDGs※2を公表しました。本インデックスは、SDGs債を投資対象とするポートフォリオのベンチマーク、また、インデックス運用における投資対象として開発されました。

しかし、我が国の社債市場においてサステナビリティに配慮した債券投資はいまだ黎明期にあり、投資対象となる債券の市場残高は、機関投資家の需要を満たす水準に至っていない状況で、NOMURA-BPI SDGsにおいても投資対象の拡充が課題となっていました。この課題を解決するため、SDGs債に分類されていない事業債についても、個々の発行要項や発行体のサステナビリティレポート等(以下「判定材料」)の言語解析を行い、資金使途とSDGs達成への取組みとの関連度を定量的に評価することで、サステナブルな債券投資のユニバース拡大を実現することが、本研究の出発点でした。
具体的には、「SDGs債であるか否か」という、いわば「1か0か」の離散的な判定をするのではなく、「どの程度SDGs達成への取組みに貢献する債券であるか」という「1から0まで」の連続的なスコアによる判定をします。既発行のSDGs債の判定材料との類似度を基に、評価対象となる事業債が「グリーン」、「ソーシャル」、「サステナビリティ」、「非SDGs債」の4カテゴリのそれぞれに属する確率値を算出すると同時に、SDGsの17目標(および169ターゲット)を定める国連文書の記載内容と、対象となる事業債の資金使途との類似度(確率値)を算出して判定をします。

この判定方法は評価者による主観的な判断によるものではなく、言語解析の客観的なアルゴリズムを採用することで、数多くの事業債に対して恣意性のない、一貫した評価を与えることができます。したがって、一般の事業債や、現状ではSDGs債とするか意見が分かれるトランジションボンドであっても、判定材料から読み取れる資金使途のサステナビリティへの関連度合いが客観的に評価され、一定の基準を設けることでサステナブルな債券投資の対象として認定することが可能となります。

本研究の内容等については今後、当社セミナー等で公表する予定で、論文発表も検討されており、研究成果を活用して、サステナビリティに配慮した債券投資のベンチマーク・インデックスとして、NOMURA-BPI SDGsの拡張や、新たな指数の開発を目指します。

Drive Sustainability.

野村グループは、「Drive Sustainability.」というコンセプトのもと、サステナブルな社会の実現と社会的課題の解決のため、ESG/SDGsに関連する活動に積極的に取り組んでいます。当社は今後、本研究の成果を用いたデータ提供やインデックス開発等を通じて、日本のSDGs債市場の発展をサポートしながら、経済成長と社会の持続的な発展に貢献していきます。

1 2021年8月11日付ニュースリリース「自然言語処理技術を応用したSDGs債の判定に関する研究開始について」をご参照ください。

2 NOMURA-BPI SDGs はNOMURA-BPIの構成銘柄を母集団として、その中からSDGs債を構成銘柄とする銘柄群の指数値やリスク指標を算出します。

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