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超名門コースでの過酷な戦いの行方は
「全米オープン」6月15日開幕

野村ホールディングスがスポンサー契約を結ぶ松山英樹選手が出場する今シーズンのメジャー第3戦「全米オープンゴルフ選手権」が6月15~18日にアメリカ・カリフォルニア州のロサンゼルス・カントリークラブ(CC)で開催されます。アマチュアでも条件を満たせば予選に挑戦できる「最強のゴルファーを決める」大会です。

誰にでも「オープン」な大会。地区予選には約1万人が挑戦

「オープン」を日本語にすると「開かれた」の意味。その名称の通り、アマチュアでもハンディキャップが1.4以下であれば地区予選に出場することが可能です。

4月の「マスターズ」は歴代優勝者や世界ランクなどの基準を満たした上で主催者のマスターズ委員会から招待状が届いた選手だけが出られます。5月の「全米プロ」はプロゴルファーのみの大会でした。対照的に今年アメリカ全土で9,693人が地区予選に挑んだこの大会は誰でも挑戦できるからこそ、その頂点に立ったゴルファーは「最強」となるわけです。

地区予選の次のステップとなる最終予選はアメリカ国外でも行われます。日本では5月22日に茨城ゴルフクラブで開催され、石川遼選手など3人が出場権を獲得しました。

舞台は1897年開業の超名門「ロサンゼルスCC」

今年の舞台は、セレブの豪邸が立ち並ぶことで有名なビバリーヒルズにある超名門、ロサンゼルスCCです。1897年にロサンゼルス在住の実業家が集まって設立されたコースは、第二次世界大戦前にツアー競技を開催したことがあるものの、その後はプロの大会は開催されていない「隠れた超名門」でした。メンバーにはロナルド・レーガン元大統領も名前を連ねていました。

1998年からは「次の100年」に向けた進化に着手。この流れの中で「全米オープン」を招へい、開催することが決まりました。大会で使う北コースは5年をかけて改造しています。そんなエクスクルーシブなコースについて石川選手は「イメージもないぐらい、ほぼ入れない場所だということしか知らなかった。5、6年前に『全米オープン』をやることが発表されてから憧れていて、3年ぐらい前からはLA(ロサンゼルスCC)でいいプレーができるようになりたい、と思いながらずっとやってきた」と表現したほどでした。

優勝スコアの想定はイーブンパー。普段のツアーとは全く違うセッティング。

アメリカPGAツアーの通常の大会では、優勝スコアが20アンダーとなることも珍しくありません。それが全米オープンでは「4日間をイーブンパーで回れば優勝」というセッティングとなり、コースの難易度が格段にアップします。そのため古くは18ホールの合計スコアが「157」や1ホールで「19」というスコアが記録されたこともありました。

近年の優勝スコアはアンダーとなることが多いですが、それでも2桁になることは滅多にありません。スコアが伸びない要因のひとつが、足首まで埋まる長さのラフ。ここでスイングすると芝がクラブに絡まって抵抗が大きくなり、長い距離を正確に打つのは困難です。ティーイングエリアに立つと天国(フェアウェイ)と地獄(ラフ)の差がはっきりと分かれて見えるため「何とかフェアウェイに打たないと」とのプレッシャーを感じながら打つと、トップ選手たちでもラフに曲げてしまい、スコアを落としていくことになります。

松山英樹は2017年大会で2位タイ。1980年は青木功 vs. ジャック・ニクラウスの「バルタスロールの死闘」

日本人が最も優勝に近づいた、と言われるのが「バルタスロールの死闘」と呼ばれる1980年大会でした。この時、青木功プロは「帝王」と呼ばれるジャック・ニクラウスと4日間全て同組で回り、最終日の最終ホールまで優勝争いを演じました。2021年の「マスターズ」に続くメジャー2勝目を狙う松山選手は2017年大会で2位タイになっています。

ちなみに「マスターズ」と「全米オープン」の両方に勝っている選手は過去に17人。そこにはニクラウス、アーノルド・パーマー、ベン・ホーガン、タイガー・ウッズといったレジェンドが名前を連ねています。松山選手が今年このレジェンドたちの仲間入りができるかどうかに期待が高まります。

文:森伊知郎

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