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アメリカPGAツアー 年間王者を決めるプレーオフのシステムとは

アメリカ男子ゴルフのPGAツアーは、8月3~6日の「ウィンダム選手権」でレギュラーシーズンが終了。翌週からはポイントランク上位者によるプレーオフシリーズ全3戦が始まります。最終戦の優勝者が2022-23年シーズンの「年間王者」となりますが、今回はそのシステムなどについて解説します。

「スーパーボウル」を筆頭に、アメリカのプロスポーツに欠かせない盛り上がりをゴルフにも

アメリカで一般的に4大スポーツと呼ばれるNFL(アメリカンフットボール)、MLB(野球)、NBA(バスケットボール)とNHL(アイスホッケー)は、レギュラーシーズン終了後に上位チームがプレーオフを行い年間王者を決めます。アメフトに興味がなくても、「スーパーボウル」がアメリカスポーツの祭典だと聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。この盛り上がりをゴルフにも、と2007年に始まったのがプレーオフシリーズ。夏場に行われるのは、NFL、NBA、NHLが続々と開幕する秋より前に最終戦を迎え注目を集めるためです。

なぜ獲得賞金ではなくポイントでランキングを決めるのか

PGAツアーのランキングは、各試合での成績によって得られるポイントの合計で争われます。かつては獲得賞金額によってランキングが決まっていましたが、賞金額は大会によって大小の差が大きく(今シーズンは最大6倍強!)、たとえば高額大会で5位になる方が、最も賞金が低い大会で優勝するよりも1試合での獲得賞金額がはるかに高い、といったことも。当然、賞金が高額になれば出場選手のレベルも高くなるので、上位になるほど難易度も増しますが、この積み重ねで正しい「ランキング」になるのかという疑問がありました。そこでポイント制度がスタートし、2007年からレギュラーシーズンの上位者によるプレーオフが行われるようになったのです。なお初代の年間王者はタイガー・ウッズでした。

試合の「格」によって得られるポイントは5段階

通常の試合で得られるのは500ポイント。一方、4大メジャーと「プレーヤーズ選手権」は600ポイントです。このように、試合の「格」によって獲得できる最大ポイントが600・550・500・400・300の5段階に分けられていて、選手は結果に応じたポイントを獲得します。優勝するとその100%を、予選落ち、棄権、失格だとゼロです。ポイントを積み重ねていき、シーズン終了時点のランキングでプレーオフ進出や翌シーズンのシード権が決まります。

プレーオフは全3戦。年間王者のボーナスは25億円!

プレーオフシリーズは第1戦の「フェデックスセントジュード選手権」、第2戦の「BMW選手権」、最終戦の「ツアー選手権」の3試合で行われます。これまで第1戦にはポイントランキング125位までが出場していましたが、今年から70位までと大幅に絞られました。プレーオフシリーズで獲得できるポイントは通常の試合の4倍(つまり最大2000ポイント)。レギュラーシーズンと合計し上位50位までが第2戦に進出します。第2戦を終えて上位30位以内に入ると最終戦の「ツアー選手権」で、1800万ドル(約25億円※1ドル140円換算)のボーナスと「年間王者」をかけた戦いに臨む権利を得ます。

最終戦をより盛り上げるために考えられたシステム

当初は最終戦もポイント制で行われ、シーズンの総合計で年間王者を決めていました。ところが絶頂期のウッズのように突出した選手がいると、最終戦を待たずとも結果はほぼ明確。プレーオフを勝ち抜いた勝者とどちらが"真の王者"なのかよくわからない…ということが起きました。そこで2019年からは、最終戦にはポイントは持ち越さず、第2戦終了時のランキングに応じてアドバンテージが与えられるシステムに変更。具体的には、ランキング1位は10アンダーからスタートします。2位は8アンダーから、3位は7アンダーからとなっていき、26~30位はイーブンパーです。4日間・72ホールを終えた時点で最もいいスコアの選手が「年間王者」に輝きます。

松山英樹は「最長記録」をさらに伸ばせるか

松山英樹選手は昨シーズンまで9年連続でプレーオフの最終戦に進出しており、これは継続中の選手では最長記録です。現在のポイントランキングは56位。10年連続に記録を伸ばせるか期待がかかります。

文:森伊知郎

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