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セキュリティ・トークンを活用した「グリーン・デジタル・トラック・ボンド」の発行に向けた検討について

2022年2月14日

株式会社日本取引所グループ

株式会社BOOSTRY

日本取引所グループ(以下、「JPX」)は、JPXグループ全体としてのカーボン・ニュートラル達成に向けて、またデジタル化を通じた債券発行に係る事務全体の効率化に向けて、株式会社BOOSTRYのもつ技術を活用し「グリーン・デジタル・トラック・ボンド(デジタル環境債)」としてセキュリティ・トークンを発行し資金調達することの検討に着手しましたので、お知らせいたします。

検討の背景

JPXは、JPXグループ全体で消費する電力の100%を再生可能エネルギーに切り替え、2024年度までにJPXグループ全体でのカーボン・ニュートラル達成を目指しています※1。今般、その一環として計画している太陽光発電への投資、廃食用油を燃料とするバイオマス発電設備への投資金額の一部を、今般検討する「グリーン・デジタル・トラック・ボンド」として調達することを検討します。

グリーン・デジタル・トラック・ボンドとは

グリーン・デジタル・トラック・ボンドとは、これまでの環境債で発行体・投資家双方で課題と認識されているグリーン投資にかかるデータの透明性やデータ収集にかかる作業の煩雑性に対し、ブロックチェーンなどデジタル技術を活用して、透明性の向上及びデータ収集の効率化を目指す債券です。この取り組みは本邦初の取り組みとなります。

具体的には、今回発行を予定する債券によって調達した資金使途の透明性を高めるため、太陽光発電設備・バイオマス発電設備の発電量を自動的に計測し、CO2削減量に換算する仕組みを構築します。こうしたデジタル技術を活用することで、投資家がいつでも外部からモニタリングできる仕組みを構築し、年次のレポーティングだけではない高い透明性を目指します。

また本債券はBOOSTRYが提供するセキュリティ・トークンのプラットフォーム(ibet for Fin※2)を用いることを予定しています。同プラットフォーム上に発電量/CO2削減量を記録することでデータの信頼性を高めることが可能となります。また、投資家の保有状況を即時・正確に把握できるセキュリティ・トークンの特性をIRにも活用していく予定です。さらに、現時点で具体的に発行を検討しているものではありませんが、将来的には、サステナビリティ目標の達成状況によって利率などの条件を自動的に変換させるサステナビリティ・リンク・ボンドの実装も検討することが可能になると考えております。

発行の詳細については今後検討し、追ってご案内する予定です。

また、その中で債券発行に係る事務全体のデジタル化という観点でも検証を行っていく予定です。グリーンボンドに係るレポーティング等の事務についても、発電量の自動計測・CO2換算や記録の保存の仕組みは、処理の効率性や記録の正確性というメリットが期待されます。こうした仕組みをJPX総研(本年4月事業開始予定のJPXグループ会社※3)を中心として検討を進めていきます。

本取り組みの一義的な目的は、発行体としてのJPXのカーボン・ニュートラル推進ですが、今後、本取り組みから得られた学びや洗い出された課題を共有していくことで、社会全体のカーボン・ニュートラルへの貢献を目指してまいります。

グリーン・デジタル・トラック・ボンド

1 2021年7月28日付リリース「再生可能エネルギーの創出等を通じ2024年度までにカーボン・ニュートラルを達成します」参照。

2 詳細はBOOSTRYが公開するibet for Finの紹介サイト 参照。

3 2021年11月25日付リリース「子会社の設立について」参照。

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