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「新しい資本主義」時代における企業と金融資本市場に関する研究成果を公表
~「サステナブルファイナンス3.0研究会」活動報告~2022年11月30日
株式会社野村資本市場研究所
株式会社野村資本市場研究所(代表取締役社長:飯山俊康、以下「当社」)は、2021年9月に学識者と実務経験者等で構成される「サステナブルファイナンス3.0研究会」(座長:加藤晃 東京理科大学大学院経営学研究科技術経営専攻教授、以下「本研究会」)を設立し、このたび、2022年3月まで7回開催した研究会での報告や議論の内容、その後の状況変化などを踏まえた活動成果を取りまとめました。
本研究会では、「今後のサステナブルファイナンスの課題および企業価値評価」、「非財務情報の可視化」、「資本主義の非物質化・脱炭素化と経済成長」など幅広いテーマを取り上げました。各テーマに内在する論点や課題について議論を重ねた結果、以下をはじめ多くの示唆や見解※を得ることができました。
- 「サステナブルファイナンス」の時代において、多くの上場企業の取締役会では今後、指名・報酬・監査の3委員会に加え、サステナビリティ委員会・イノベーション委員会を設置する必要性が高まる。情報開示・分析・モニタリング機能の充実が一段と進む中で企業価値評価を実践する上では、ファンダメンタルズを緻密に分析する「スーパーアナリスト」と、データサイエンスの知見を持つ「データアナリスト」との併存が理想であろう。
- 脱炭素化は温室効果ガスの排出削減問題にとどまらず、無形資産中心の経済への移行や産業構造の転換を通じ、日本経済がどのように新たな成長モデルを構築するかという課題と捉えられる。「環境か経済か」の二項対立的な議論から脱却し、カーボンプライシングの活用などにより日本の新しい経済発展をどう導くかといった、建設的な議論を開始すべき時期に来ている。
- 日本の株式所有構造が企業間の安定的な関係構築を主眼とした政策保有投資家中心から国内外機関投資家など投資収益の獲得を主眼とした純投資家中心へと変化する中、企業と投資家間の新しい関係構築が求められるが、そのキーワードは、「緊張感を孕んだ相互信頼関係」である。
なお、本研究会の活動成果については「新キャピタリズム時代の企業と金融資本市場『変革』」(加藤晃、野村資本市場研究所サステナブルファイナンス3.0研究会編著、2022年12月発刊)に詳細を記しています。
野村資本市場研究所では、今後も、深刻化するサステナビリティ関連課題の解決に向けて、多様なステークホルダーと連携しながら先進的かつ革新的な調査研究を行い、研究活動を通じたインパクトの創出を目指していきます。最近では、「非財務情報開示」、「ソーシャルファイナンス」、「サイバーセキュリティ」などを研究テーマとして取り上げています。

野村グループは、「Drive Sustainability.」というコンセプトのもと、サステナブルな社会の実現と社会的課題の解決のため、今後も脱炭素社会への移行をはじめとする、お客様のサステナビリティの取組みへのサポートに注力し、高い付加価値を継続的に提供していくことで、真に豊かな社会の創造に貢献していきます。
株式会社野村資本市場研究所、野村サステナビリティ研究センターについて
当社は、株式会社野村総合研究所で1965年以来行われてきた金融・資本市場および金融機関の制度・構造・動向等に関する調査の伝統を引き継ぎつつ、実務に根ざした研究および政策提言を中立的かつ専門的に行うことを経営の基本方針に掲げた株式会社として、2004年4月1日に発足しました。近年サステナブルな経済・社会の実現がグローバルで重要かつ喫緊のテーマとなる中、サステナビリティ関連課題の解決に一層コミットしていくことを目的に、2019年12月、当社内に「野村サステナビリティ研究センター」を設立しました。野村サステナビリティ研究センターは客観的・実践的な研究に立脚しつつ、金融・資本市場と密接なサステナビリティ関連テーマの組織的・戦略的な抽出・モニタリングを行い、情報発信や各種提言をはじめとする活動に取り組んでいます。
詳細は当社ホームページをご参照ください。