女性の労働参加が後押しするインターネット消費

論文2018年7月23日

野村證券 金融経済研究所 経済調査部 水門 善之、エクイティ・リサーチ部 青木 英彦、成清 康介

目次

  1. I.女性の労働参加とインターネット消費
    1. 人口減少社会の中、働く女性の数は増加が続く
    2. 働く女性は忙しい
    3. インターネット消費の活用による時短効果
    4. 働く女性によるインターネット消費の活用
  2. II.女性の社会進出の恩恵を受ける小売業
    1. 恩恵を受ける企業の特性
    2. 関連企業群

要約と結論

  1. 昨今、社会における女性の活躍が注目されている。アベノミクス以降の景気回復も相俟って、2013年以降、女性の就業者数の増加が続いている。働く女性の増加は社会に様々な影響を与えることが想定される。例えば、女性の有業者は無業者に比べて、家事や買い物などの時間が短くなる傾向があることからも、有業者の女性は日々忙しい生活を送っていることが窺える。今後も、政府の働き方改革や子育て安心プランなどが後押しする形で、女性の就業者数増加は続くと見られることから、時間短縮に対するニーズは根強いと考えられる。時短の方法として、インターネット消費の活用が挙げられる。例えば、インターネットを介した消費が、実店舗まで足を運ぶ場合に比べて、1回の買い物あたり、30分から1時間程度の時間節約効果があるとの調査結果もある。インターネット消費の市場規模は既に増加が続いているが、働く女性の増加はこれを更に後押しするものと考えられる。
  2. これらの流れをメリットにつなげうる小売業として、以下の2つの特性を合わせ持つ企業群が挙げられる。一つは、社会進出の増大が予想される25~44歳までの女性を対象とする小売業である。これらの女性は、より忙しくなると同時に、より所得が増える可能性が高い。彼女たちをターゲットとし、強い支持が見込める企業群に注目したい。もう一つは、利便性を提供する小売業である。就業で忙しくなった彼女たちに、時間の利便性(短時間で買える、いつでも買える)、距離の利便性(近くで買える)、手間の利便性(肉体的、精神的に楽に買える)の3つを提供する小売業は、持続的に成長する可能性が高いと考える。