日本企業ボトムアップ企業業績見通し集計(19~20年度)
-7期連続の経常増益を達成-

論文2019年6月5日

野村證券 市場戦略リサーチ部/エクイティ・リサーチ部 エクイティ・ストラテジー・チーム

目次

  1. I.概要と業績予想主要前提
    1. 2018年度実績の概要
    2. 2019年度予想の概要
  2. II.業種別・経常増減益寄与率
    1. 2018年度実績の概要
    2. 2019年度予想の概要
  3. III.経常利益予想修正(前回予想からの修正)
    1. 2018年度実績の概要
    2. 2019年度予想の概要
  4. IV.集計表

要約と結論

  1. 18年度はRussell/Nomura Large Cap(除く金融)で前年度比6.5%増収、同3.1%経常増益となった。12年度から7期連続で経常増益となり、02~07年度の連続6期を上回って過去最長となった。しかし、費用が増えていく中で、日本企業の収益構造は悪化してきているとみられる。実際に、Russell/Nomura Large Cap(除く金融)の売上高経常利益率は8.0%と前年度比0.2%ポイント低下と7期ぶりに悪化したほか、ROE(自己資本利益率)も10.3%と17年度の11.1%から低下した。
  2. 18年度の増収率は事前予想とほぼ一致した一方で、経常増益率は1.8%ポイント下振れた。また、19年度のボトムアップ予想でも、増収率が上方修正された一方で、経常増益率は3.1%ポイントの下方修正となった。経常利益の下方修正額が大きい企業をみると、資産売却の前提変更などの特殊要因を除いても、販売苦戦、原材料高などによるコスト増、市況悪化など、各社で事業環境が厳しくなっている様子がうかがえる。
  3. 19年度のボトムアップ予想はRussell/Nomura Large Cap(除く金融)で前年度比2.6%増収、同4.4%経常増益を見込む。18年度第4四半期は前年同期比4.1%増収、同2.3%経常増益と、18年度第3四半期の経常減益から脱却した。しかし、19年度上期業績予想は、前年同期比1.4%増収、同4.4%経常減益であり、増収率が鈍化することに加えて、減益を見込んでいる。
  4. 業績の回復を見込むのは19年度下期である。下期業績予想は前年同期比3.9%増収、同16.4%経常増益である。18年度下期に計上した一過性損失からの反発などを含むが、下期の大幅増益予想は製造業を中心に幅広い業種でみられる。リスク要因として、米中通商摩擦に係る対立が長期化して中国景気の回復が遠のいたり、米国経済の見通しが下振れしたりすることが挙げられる。