日本企業ボトムアップ業績見通し集計(19~20年度)
-下期の回復は従来予想より緩やかになろう-

論文2019年12月4日

野村證券市場戦略リサーチ部 マクロ・ストラテジーグループ

目次

  1. I.概要と業績予想主要前提
    1. 2019年度予想の概要
    2. 2020年度予想の概要
  2. II.業種別・経常増減益寄与率
    1. 2019年度予想の概要
    2. 2020年度予想の概要
  3. III.経常利益予想修正(前回予想からの修正)
    1. 2019年度予想の概要
    2. 2020年度予想の概要
  4. IV.集計表

要約と結論

  1. 2019年度第2四半期は、Russell/Nomura Large Cap(除く金融)で前年同期比0.6%増収、同20.8%経常減益となった。投資事業で大幅な損失を計上したソフトバンクグループを除くと、それぞれ同0.7%増収、同9.7%経常減益となる。同社を除くベースで集計した第1四半期業績は同1.1%増収、同15.0%経常減益であったことから、増収率は減速したものの、経常減益率はやや改善した。
  2. Russell/Nomura Large Cap(除く金融)の2019年度上期は前年同期比12.3%経常減益となった。前回予想(2019年8月26日時点、以下同)では同8.7%経常減益であったことから、表面的には上期は野村アナリスト予想に対して下振れて着地した。しかし、上述の理由でソフトバンクグループを除くと、2019年度上期は同11.8%経常減益であり、同12.3%経常減益を予想していた前回予想に沿った着地となった。
  3. 2019年度下期は前年同期比3.9%経常増益を予想している。前回予想では同12.0%経常増益予想とV字回復を見込んでいたが、引き続き製造業を中心に下方修正がなされた。従来予想よりも緩やかな回復を見込む格好となったが、前年同期比で見た企業業績が最悪期を脱しつつあるという見方に変更はない。ただしトップダウンの観点では、第3四半期は消費増税の反動減の影響を受けることから実態ベースの減益率の改善は緩やかとなろう。本格的な回復は第4四半期となるとみている。
  4. 2019年度はRussell/Nomura Large Cap(除く金融)で前年度比0.2%増収予想、同5.3%経常減益予想となった。経常減益は、仮に実現すれば、2011年度以来8期ぶりとなる。一方、2020年度は同1.8%増収、同9.3%経常増益予想と経常減益を脱する予想となっている。
  5. アナリスト予想の下方修正が続き、2020年度の増益転換が実現できないという懸念があろう。しかし、下振れ余地は縮小してきていると評価する。リビジョンインデックスは-16.9%と依然下方修正優位であるが、マイナス幅は縮小している。トップダウンの観点でも、外需が緩やかに回復し、消費増税による内需腰折れを回避するとの前提に立てば、ボトムアップ予想とほぼ同水準の2020年度の利益水準が導き出せる。逆に言えばマクロ環境がこうした見通しから下振れれば、下方修正モメンタムが再加速するリスクがあろう。