日本企業ボトムアップ企業業績見通し集計(19~20年度)
-19年度は8期ぶり経常減益の可能性が高まる-
論文2020年3月5日
野村證券 市場戦略リサーチ部 マクロ・ストラテジーグループ
目次
- I.概要と業績予想主要前提
- 2019年度予想の概要
- 2020年度予想の概要
- II.業種別・経常増減益寄与率
- 2019年度予想の概要
- 2020年度予想の概要
- III.経常利益予想修正(前回予想からの修正)
- 2019年度予想の概要
- 2020年度予想の概要
- IV.集計表
要約と結論
- 2019年度第3四半期は、Russell/Nomura Large Cap(除く金融)で前年同期比3.5%減収、同6.8%経常減益となった。前年同期比で減収となったのは、2016年度第3四半期以来3年ぶりである。米中通商摩擦等の影響で製造業の減収率が前四半期に比べて急速に悪化した上に、非製造業(除く金融)でも消費税率引き上げ等によって、増収率が前年同期比でマイナスに転じた。
- 2019年度のボトムアップ予想は、Russell/Nomura Large Cap(除く金融)で前年度比.0.7%減収、同8.7%経常減益となった。製造業を中心に業績見通しが悪化しており、2019年度は2011年度以来8期ぶりの経常減益となる可能性が高まった。
- 2020年度のボトムアップ予想は、Russell/Nomura Large Cap(除く金融)で前年度予想比1.1%増収、同9.8%経常増益である。年度半ばから景気が回復するという前提の下、景気敏感業種である製造業が中心となって増益をけん引すると見込む。
- アナリストの業績予想の修正動向を社数ベースで把握するリビジョン・インデックスは、Russell/Nomura Large Cap(除く金融)で-15.0%だった。6四半期連続で下方修正優位の結果だが、マイナス幅は前回集計の-16.9%から4四半期連続の前四半期比縮小となった。
- 前回の19年12月4日付「日本企業ボトムアップ業績見通し集計(19~20年度)」では、外需が緩やかに回復し、消費増税による内需腰折れを回避することを前提としたマクロ環境が下振れれば、業績予想の下方修正モメンタムが再加速するリスクがあると指摘した。現在、国内外で感染者数が増加している新型肺炎は、生産・消費活動の停滞を通じてマクロ環境を下振れさせるリスク要因である。